大坂昌彦さんが、ライドは22インチだぜ、というようなことを最近(2006年の夏ごろです)言っている。確かに、アイドルドラマーには22ライドの使用者が多いし、レガートのピッチも低目がはやりのようだ。さらには、グレッグ・ハッチンソンがセミナーで22ライドを使っていた。この生音がかっこいい。こりゃいくしかないなと。
ワンポイント講座:
シンバルは薄い方がピッチ(音の高さ)は低い。大きい方がピッチは低い。
ターゲットはグレッグが使っていた「Zildjian K Custom Dry Complex Ride Thin 22」だ。ああ長い名前。昨今、シンバルの種類が増えすぎて、名前も長いし、どれを選んでいいかよくわからん。このコンプレックス・ライドってモデルはビル・スチュワートがプロデュースしたということだ。ビルはメセニーがどジャズをやるときに起用しているドラマーで、メセニーとは2枚のアルバムが出ている。
US Zildjianによると以下だ。
「このユニークなライドは、ジルジャン・サウンド・ラボとビル・スチュワートとの2年以上の共同開発による究極のシンバルだ。非常に高い曲率は、複雑な倍音を生みだし、Kカスタムとしては最大のカップを持つ。表面にはKカスタム伝統のレイジングが施されているが音構は無く、ルーズなサウンドを得ている。裏面は外周を残して軽く削られており、豊かな倍音を含ませている。全面にハンマリングが施されており、2種類の厚さが選べる。」
厚さはThinとMedium Thinがあり、ビルはMedium Thin、グレッグはThinを使っている。なお、初期出荷50枚はビルがチェックし、本人のサインがはいっていたそうな。
しかし、このモデルはすでに国内のカタログから消えている。というか、カタログに載ったことがあるかどうかもわからない。ネットで探すと、大阪のアクトと渋谷のヤマハが引っかかった。メールを打ったら両店とも在庫があるという。アクトからのメールには価格もあり、定価58,380円の35%OFF+送料だった。
海外通販ではどうかと調べてみると、あらま、USの定価は$603だよ。1$=115円で69,345円。USの方が高いんだな。ネットショップで40%くらいOFFになってはいるが、それでは日本で買った方が安い。
そうこうするうちに、幸運にもこのシンバルについて、グレッグと直接話す機会を得た。すると、本人はあんまりいいコトを言わないんだよね。というより、やめとけ、ってカンジだ。で、イスタンブールを勧められてしまった。。。
しかしながら、それでも欲しいのがファン心理。一応試奏しておこうかと。7月8日にライブで上京するので、渋谷ヤマハに行こうかと。ところが、その日は休日出勤になってしまった。渋谷に行くのは時間がかかりすぎる。うーみゅ。
ライブハウスは馬喰町。Yahoo!の地図で場所を確認すると、あ、秋葉原からこんなに近いんだ。秋葉原といえばリボレ(イケベ楽器)。ここには結構シンバルの在庫がある。問い合わせてみよう。お、メールが返ってきた。お、コンプレックスの在庫があるって。てなわけで、ライブの前にリボレに行くことにした。いつもライブで使っているライドを持っていくので、比較できるのも好都合だ。
リボレに行って試奏してみた。外観はといえば、ラフなハンマリングだなー。かなりランダム。では叩いてみましょう。えー。こんな音なの? かなーりトラッシー(日本語だとゴミ箱のフタっぽい?)。うーん。うーん。自分が使うときには、おそらくシズルを付けるだろう。シズル有りだとかなりキャラが変わる。持参したプロマークの簡易シズルである「ラトラー」を使ってチェック。うーん。うーん。えーい、買ってしまえ。
カードで支払いを済ませる。あ、スペシャル・エディションってあるのかな。聞いてみると、20インチならあるとのこと。それでは、と試奏するのだった。うーん。うーん。やっぱりちょっとピッチが高いか。22を試したいところだ。「もっと大きいのは無いんですか」と聞くと、店員さんはノートを取り出す。こんなものの在庫状況を把握してるんだね。すごいな。22は無いけど、21ならメーカー在庫があるという。良かったら試奏できるので取り寄せますとのこと。一応納期を確認してメールを下さいとお願いしてライブハウスへ向かうのだった。
その日のJ's J-Planetsのライブで、さっそく使うのだった。プロマークのラトラーを付けて。うー。うー。どうなんだろ。
帰宅後に、ビルのサインのことを思い出す。あ、そういえば裏側になんか書いてあったな。確認すると、あ、サインだ。ってことは初期ロット50枚の内の1枚なんだな。わーい。
そのままだとキビシイ雰囲気なので、さっそくシズルを打った。グレッグは4本をクラスターで打っているが、まずは2本で。
では使ってみましょう。うー。ほんとにトラッシー。シズルが付いた方がまだマシか。もう少しミュートされた方がいいな。
おそらく生産数は少ないだろう。その割にオークションでよく見かける。ムリないかもなと思える扱いづらさだ。ビル・スチュワートってこんなんじゃないよなー、と思っていたが、ジョンスコのアルバムを聴くと、ちょっとだけそれっぽい。
グレッグが勧めないのもわかるよね。ということなので、購入を考えている方は慎重な判断が必要です。(笑)
Zildjian K Custom Dry Complex Ride Thin 22(ジルジャン コンプレックス・ライド)
サイズ: 22インチ
厚さ: シン (Thin)
仕上げ: ハンド風マシン・ハンマリング
表:レイシングあり 音構は浅い
裏:カップ裏とエッジ部はレイシング無し
重量: 2.1kg
登場したシンバル:
Zildjian K Custom Dry Complex Ride Thin 22
istanbul Agop Signature Mel Lewis Ride(自前)
istanbul Agop Signature Special Edition Jazz Ride 20
登場したショップ:
大阪アクト
渋谷ヤマハ
秋葉原リボレ ここはいつもながら親切だし知識も情報量も豊富でいい店だ