PDP(Pacific Drums and Percussion)は、DWのディフュージョンブランドだ。中国製の廉価版がラインナップされている。ドラムでディフュージョンブランドを持つところは他にはないかのな。みんな同じブランドで廉価モデルを出している。ギターだと、ギブソンとエピフォンとか、フェンダーとスクワイヤーとかあるけどね。
ここの2000年代のハードウェアが面白かったのね。その代表が、このB.O.A.(Bow Oriented Action)というシステムのペダルだ。通常のペダルはコイルスプリングを使っており、プレートはヒール部と可動ヒンジで結合されている。しかしこいつにはスプリングもヒンジも無い。プレートは樹脂製で、下の画像のようにヒール部にネジで固定されている。この結合部が曲がることでプレートが動くという画期的な構造だ。この固定部分のプレートはスライドするようになっており、その板厚は後ろ(下の画像では右)にいくほど薄くなっている。プレートを右に動かして固定すると、板厚の厚い部分で固定され、左に動かすと薄い部分で固定される。つまり、右に動かすと曲げ剛性が高くなり、左に動かすと下がる。これによって、ペダルのバネをコントロールしているのだ。フツーはそんなこと考えないよね。機構的に調整するとプレートの先端位置が変わってしまう。そこは、リンクの固定位置を可変にすることで吸収している。しかしながら、この部分の有効長が短いので微妙な調整が難しい。
また、ビーターを動かす機構にはリンクを使っている。これはそれなりに一般的だが、結合部にベアリングを入れているものは他に無いんじゃないかな。また、リンク長が変えられるので、レバー比が変わりビーターの動きが変わる。
ビーターも変わっていて、まず、四角い。その四角い部分は前後に動くので、打点を変えることができる。ついでに角度を変えられるようにすればよかったのにね。
なお、同じ構造のハイハットスタンドもあったのだ。
踏み心地だが、フリクション感が高くあまりスムーズに動かないカンジだ。ベアリングの抵抗が大きいのか、プレート結合部のダンピングが高いのか、それともプレート自体の内部損失か。なんとなく結合部かなあという気はする。また、いろいろなところがいじれるので、セッティングがなかなか決まらない。全く使えないというわけではないが、他のペダルに対する優位性はないなあ。
ということで、相当にキワモノなので、コレクターの方にお薦めです。
Pacific Drums and Percussion Bow Oriented Action Single pedal
(PDP by DW B.O.A. シングル・ペダル)
タイプ; シングルペダル
ドライブ:ベアリング付きのリンクによるダイレクトドライブ
バネ: プレート端部の曲げ剛性を利用
連結: ヒール部の固定は、プレートをヒンジ無しで固定