ロバート・スピッチーノは、1944年にイタリアはローマに生まれる。独学でドラムを始め、18才の頃にはプロとしてジャズを演奏し、ドラム教師を務めるようになった。古いKジルジャンに魅了されるようになった彼は、シンバル製作を志し、77年にイスタンブールへ行ったが、Kジルジャンの工場はすでに閉鎖されていた。彼はイタリアに戻り、80年にイタリア産のB20ブロンズ(80%の銅、20%の錫)でシンバル作成を開始した。数々の実験によって、彼は古いKジルジャンを模作し、ユニークな方法で自らのシンバルを開発した。彼のシンバルは、国際的にジャズ・ドラマーの間で人気となった。
89年、シンバルの材料を求めて中国のメーカー武漢(WuhanやDreamのブランドでシンバルを生産している)を訪れた。そこで彼は「SPIZZ」ブランドでシンバル作成を行った。91年にイタリアのペーシャ(トスカーナ地方)に戻ったが、その後も武漢は彼に無断で「SPIZZ」ブランドのシンバルを作り続けた。後に、彼は武漢に「SPIZZ」ブランドを売り渡した。
彼は現在、ペーシャにて独りでシンバルの製作を行っている。数年前まで、中国のサプライヤーからB20ブロンズを入手していたが、品質が一定しないために半分を破棄していた。そこで、トルコに新しい供給源を見つけ、現在はトルコ産の材料でシンバルを生産している。
彼は現在も改良を繰り返しており、その製品は有名なオーケストラやジャズ演奏家に珍重されている。
US Spizzichinoのサイトを参照下さい。
ということで、「スピッツ」「スピッチーノ」としてジャズ界では有名なシンバルだ。日本では、「スピッツ」と呼ばれることが多いか。武漢製の「SPIZZ」シンバルも流通しているようで、「R. Spizzichino」と刻印されたものが、現在彼が製作しているシンバルだ。中国産の材料で作られたものを「Asian Alloy」、トルコ産の方を「Turkish Alloy」と呼んで区別しているが、見分け方は不詳だ。
そんなわけで、ぜひライドをコレクションに加えたい。ネットで、サウンドファイルなどの情報を集めたが、やはり薄目のものがいい。20インチで1.8kg以下、22インチで2.2kg以下くらいを目安に探した結果、入手できたのがこいつだ。
Asian Alloyで、厚さはThinくらい。形状がフラットでピッチも低く、レイシングは浅めだ。カップの形状はイスタンブールのKクローンに似ているおわん型。音は、ピッチが低くダーク。そこそこトラッシーで、暴れる。
これまた繊細さが要求されるクローンだ。真価を引き出すには技術が必要かも。
Spizzichino Ride Asian Alloy (スピッチーノ ライド)
サイズ: 20インチ
厚さ: シン (Thin)
仕上げ: ハンド・ハンマリング
ノーマル・レイシング
重量: 1.8kg