ドラム

YAMAHA HipGig の顛末

購入編
 ある日のことである。なにしに行ったのかは忘れたが、宇都宮の楽器店GELMでS店長(当時)と話をしていた。そのときに「そうだ、フラッツ(注1)の処分品がありますよ」とSさんが言う。なに言ってんの、それ去年買ってるよと言うと、あれ、ちょっと見てみるとカタログを繰り、示したのがヒップギグだ。勘違いしていたようだ。

 このヒップギグ、フラッツを買うときも候補に入れていたのだが、なんてったって値段が23まん8せんえん。とても買える代物ではない。当時は早々にあきらめていたのだが興味は持っていた。

 事情を聞くと、最近マイナーチェンジがあって、旧型の在庫をヤマハが20台くらいまだ持っており、それを処分価格で出すということだ。値段はそれでも結構高い。マイナーチェンジしたことを知らなかったので、変更内容をSさんに聞くとヤマハに問い合わせてくれた。返事は、マウントベースの位置や金具の変更であるということだった。うーん。ま、検討してみますと帰るのであった。

 家に帰って古いカタログをチェックした。新型と旧型の比較をしてみたのだが、こりゃ、明らかに新型の方がいい。特に、マウントベースとレッグの変更は大きい。キックのフロントヘッドが付いてる部分が外れて、中にタム類を収納できるようになっているのだが、旧型はマウントベースとレッグがフタの方に付いているために胴の継ぎ目にせん断力が入っちゃう。新型は胴の方に移動してそれを回避している。旧型は設計ミスだよな。ペダルの取付も良くなってる。(画像の上が旧型、下が新型)

 しかし、去年フラッツを買っちゃったもんな。うーん。でもなフラッツはシングルヘッドで音は好みじゃないし、スナッピーはオフにならないし、キックは音量でないし、色はチェリーウッドを選べば自分のセットとおそろいだから混ぜて使えたりするし、スネアは12インチでサブスネアとしても使えそうだし、フラッツはヤ○○クで売っちゃえばいいし、と完全に正当化にはいってしまった。

 んで、結局注文の電話をしてしまった。そんなことでいいのかと思いつつ、お風呂に入るのだった。

注1)フラッツ
 ヤマハが代理店をやっている英国のドラムメーカー、アルバイターの製品。リムとヘッドだけのようなセットだ。これを買ったことがあるんだよね。音はキック以外はまとも。しかし、アンサンブル演奏に使われることなく売り払われた。

注2)アコースティック
 宇都宮駅東口の練習スタジオ。お世話になってます。

納入編

 6月のある土曜日である。ドリームシアター・コピバンのライブに備えてアコースティックで個人練習をしたあと、銀行に寄ってお金をおろしてGELMへと向かった。

 Sさんにヒップギグの件を伝えた。フツーは来たら、おおあれねってすぐに思い出すよな。そして出てきたのは、巨大な段ボール箱が3つだ。コンパクトに収納された姿ではなく、スタンドやホルダーなどすべてのパーツがそれぞれに梱包されているのである。これじゃ、管理費や物流費がかかるよなー。さすが23まん8せんえん。こんなの持って帰れないよ、その場でばらしていいか聞き、再構築にかかるのであった。あ、いいです、自分でやります。てなわけで開梱作業をしていると、女の子がエレピの値段を私に聞くが、店員じゃないっての。

 さてと、これはイスでと、ああ重い。こちらはバスドラ。あれれ。ん。おおお。こ、これは、新型ぢゃん。ペダルの取付はと。あ、やっぱり新型ぢゃん。

 さて、取るべき行動を以下の2つから選べ。

1)だまって持って帰る
2)正直に伝える

 唯一、キックのヘッドのロゴは旧型なのだが、それ以外はぜーんぶ新型である。うーむ。あれやこれや悩みながらバラシを続けるのであった。どうしよう。言った方がいいかな。やめよかな。でもな、モノが来てるし、ここまであけちゃったし、取り上げられることは無いよな。気が付かなかったことにしてもらえばいいしね。ええい。「Sさん、これ新型だよ。」

 Sさんは「え、ホント? でも、もう伝票はあがってるので、うちは全然問題ないよ。」

 すげ〜ラッキー。

 しかし、こんなことで運を使ってしまっていいのか、などと思いながら作業を進めるのであった。タム3つを1つのソフトケースにいれ、それをバスドラの中に入れるのだが、どこかのHPにこの作業は一人ではきついと書いてあった。先にバスドラの中にソフトケースを入れておいて、それからタムを入れればいいんじゃん。あたまいいな、俺って。あら、スツールにスタンドを入れるのだが、順列組み合わせの工夫がいるね。さて、完成。2つのケースにうまく収まった。

 しかし、重い。思っていたのの5割増しくらいだ。ひとつだけでも一人で運ぶとしたら30mで力つきる重さである。これでは、台車がいるな。

 車に積み込み帰るのであった。しかし、さらに自宅での置き場に困るのであった。ちゃんと考えておきなさいっての。

シェイクダウン編

 夏休みの初日だったかな、ヒップギグのシェイク・ダウンを行った。7月中はちょっと忙しかったので、ひと月以上放ってあったのだった。

 場所はアコースティック。シンバルは、ハイハットとスプラッシュを持っていった。タムのヘッドはレモ・コーテッド・アンバサダーに交換だ。最近、セットもコーテッドにしてしまった。デイブ・ウェックルもヴィニー・カリウタもガッドもコーテッドだもんね。ちなみにスネアは標準でコーテッドだ。

 さて組みましょう。ううむ。なかなかセッティングが出づらい。スネアとロータムがいい位置に来ないが、まあそこそこで妥協した。シンバルもかっこわるいな。

 では、叩いてみましょう。ううむ。タム類は結構良く鳴る。コーテッドなのが奏功し、明るくていい感じだ。スネアも思ったより音量が出る。12インチなのだが、メインにも使えそうだ。問題はキックだ。ミュートを工夫しなければダメだな。今日は、ちょっと高めのノーミュートとしておこう。さらに、チューニングをいろいろ試すのだった。安定したところで叩きまくるが、なかなか気持ちがいい。買って良かったなー。

 デイブ・ウェックルは教則ビデオ「ナチュラル・エボリューション」の中で、このセットを叩きまくっている。かっこいいぜ。デイブと同じ黄色にすれば良かったかな。また、大坂昌彦さんは、最近サブスネアとしてこのセットのスネアを使っているそうだ。こっちはお揃いの色だ。

 ということで、ヒップギグ、なかなか良いよ。でも、高すぎかな?

実用編

 ヒップギグには、実用上の問題点がいくつかあった。

1)ハードウェアケース兼用のイスが重い。
2)スネアのセッティング自由度が低い。
3)シンバルスタンドがかっこわるい。

 1)は、軽量のイスを買い、ハードウェアのケースはホームセンターで買ったプラスチックの衣装ケースを使うことにした。

 2)はスネアはスタンド置きにすることにした。もともとはキックからホルダーを出すのだが、これが使いづらいのだ。

 3)はシングルレッグのストレートスタンドを購入して対応した。これはジャズの時のセットでも使うことを想定した。しかし、シングルレッグのシンバルスタンドって、国産だとヤマハしか無いのね。

 このようにして、友人の笘I宴でドラムソロを叩くのであった。

 画像はHipGig運搬時のフルセット。シンバルケースは台車に乗っているが後に隠れて見えないね。これで全部だ。

シーケンス編

 披露宴でソロを叩くという、なんだかわけのわからない用途にしか使われていないHipGigくんであった。ああ、悲しい。

 ソロの構成は以下である。

1)とりあえずフリーソロで出る。おおむね2分くらい。
2)オケを流して叩く。中間にソロパートを入れるのがセオリー。

 アレンジがキモになる。なんかをモチーフにしてオケを作るんだけど、原曲がなんだかわからなかったりする(--;)。しろうとさんにもわかりやすくするのがポイントかも知れない。

 シーケンスはperformerで作って、MDに落とす。Lチャンネルにクリックとオケ、Rチャンネルにオケのみを入れ、Lチャンはフォステクスのヘッドホンアンプからイアホン、Rチャンは会場の卓に送る。

 画像はシーケンスのセットだ。かなりコンパクトにまとまっている。

 また、レパートリーは以下だ。(Jul/03 現在)

1)Smoke on the Water(Techno?にアレンジ)
2)Samba de TENTO-MUSHI(てんとう虫のサンバを速めのサンバにアレンジ)
3)Old Clock 2003(古時計を、どフュージョンにアレンジ)

 なかなか選曲が難しい。なるべくみんなが知っている方が望ましいだろう。しかしながら、会場には老若男女いろいろいるので困難だ。なおかつフツーのパターンがかっこよくて、ソロパートを挿入できねばならない。「Smoke on the Water」はリフしか使ってないが、最近のヒトは知らないのだった。「TENTO-MUSHI」はこの間叩いたとき、若い女の子が「その選曲ってなに?」というような事を言っていたそうだ。「Old Clock 2003」は平井堅が流行らせてくれたのでラッキーと思いきや、アレンジを凝りすぎてかなりのヒトが元曲を認知できなかったらしい。次回は、参加者がかぶるので、なんかネタを仕込まなきゃ。

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Last Update : 2003/06/16