80年代後半のことである。パールはそれまでのGAXシリーズ(メイプル・グラスファイバー材)に代わる、最高級シリーズを発表した。それが「最上の鳴り」という名前が付けられた、Zenithal ResonatorことZシリーズである。ZシリーズはスタンダードのZとバースアイ・メイプルを使用したさらに高級版であるZCの2つがあった。特徴は8プライ10mmの厚胴メイプルシェルとハイテンションラグである。また、深胴中心で浅胴はラインアップされていなかった。タムのマウント方式も、各タムをブームスタンドでマウントする方式が提示され、ルックスは重厚長大であった。色も他のシリーズにない、暗めの渋い専用色が与えられた。
しかし、時代はクラシックへと向かうのである。DWが先鞭を付けた薄胴+レインフォースがブームとなり、同時にRIMSに代表されるフローティングマウントがもてはやされるようになった。パールは主力を薄胴+レインフォースでISSというフローティングマウント方式を採用したMRシリーズへと転換し、Zシリーズは生産中止としてしまった。
というのがZシリーズだと思っていたが、末期にはまた違った商品展開があった。音域に合わせてということで、3種類の厚さを用意したのだった。それらはZH(8プライ 10mm)、ZM(6プライ 7.5mm)、ZL(4プライ 6mm)という名称だった。ZMはMX、MRXとなり、ZLはMR、MMXへと発展する。これは最近まで知らなかった。
ある日ある時ある所にZのスネアが転がっていた。以前に6半を持っていたのだが、これは5半。アンチメイプル薄胴派なので、厚胴のZはひいきにしている。なので、ついつい買ってしまった。
最近、ぼこぼこっとスネアを買ってしまったので、スタジオに持ち込んでチェックしてみた。おお。このZが一番いいカンジ。締まってるしスナッピーの反応も好み。さすがメイプル厚胴、とその時は思っていた。
割りとキレイなので、軽く磨くだけかな。ヘッドを外してラグのビスを増し締め。と、あれ、この胴、厚くないぢゃん。メジャーを持ってくる。あらー、7mmくらいしかないよ。どうなってるの? ということで調べたところ、先のようなことが判明し、こいつはZMであることがわかった。中厚ぢゃん。あらま。
Zシリーズは外見は全く同じでも、違う厚さ・キャラクターのものがある。購入の際は注意しましょう。
Pearl ZM-5314(パール ジーニサル・レゾネーター)
サイズ: 14×5.5
シェル: メイプル6プライ 7.5mm
カラー: マット・ウォルナット・ラッカー
フープ: 亜鉛ダイカスト 10テンション
スイッチ: 片側調性
スナッピー: パール ハイカーボン 20本 内面当たり
ヘッド: 打面 レモ コーテッド・アンバサダー
裏面 レモ スネアサイド
年式: 90年代前半