クロサワ楽器の中古楽器センターに転がっていた。とりあえずはスルーしたのだが。
ネックとなったのは、ボトム側のフープのベッドの所(スナッピーが通っている穴)の補強が折れていることだ。フープなんか買えばいいのではと思うでしょう。ところがこのスネアは12テンション(ボルトが12本)なのだ。12テンションは70年代後半から80年代前半にかけて流行ったもので、現在は消滅している。都内のドラムショップに電話をかけてみたが、ラディックのコンサートスネア(クラシック用)が12テンションなので、時間をかければ手にはいるかも知れないという情報が、ゲイトウェイから得られたのみである。また、パールの旧型センシトーンに付いているようなフックタイプのフープであれば、フックを2個買い足せばいけそうである。まあ、あそこが折れていても強度上はほぼ問題無いのでよしとしよう。歪んでいたら困るのだが、その時はその時。ということで、電話をかけて通販で手に入れた。
このスネアはソナーのライトで、シェルは7ミリ厚のバーチ、深さは7・1/4インチだ。色はブラック・ラッカーで、フープは12テンションのダイキャスト、スイッチはパラレルアクションだ。それから、黒のファイバーケースが付いてきた。
さて、パラレルアクションであるが、これはスナッピーの両側に金具が付いていて、これが連動して上下するものだ。最近はすっかりすたれたシステムである。機構上全面あたりとなるが、最近の主流は内面あたりだ。左右の金具を連動させるために、スネア内を2本の棒が貫通している。片方の棒がレバーを回すと回る棒で、それにカムが付いていてもう一方が上下する。これらをばらして磨いてグリスアップし、替えられるナット・ワッシャ類はカンセキで調達した。カンセキがまた、混んでいて、わしゃあワッシャを買いに来ただけなのになといったおやぢギャグで乗り切った。
続いて各部を調整するのだが、これがまたやりづらい。金具の取付構造に問題がある。棒にネジが切ってあって、M6のダブルナット、金具、バネ、バネワッシャ、M6ナット、M6袋ナットの順に組むのだが、左右の位置出しが難しい。ヘッドを張った後に微調整しようとしたら、スパナが入らない。また、ダブルナットと金具の間にワッシャが入ってないので追加した。それから、最後のダブルナットもスパナが入らない。袋ナットのみだと締まりきらない。そこでナットのみとした。ちょっと無理のある構造だ。
また、パラレルアクションだと、スナッピーのテンションと、ヘッドへの当て方を独立して調整できる。これまた、セッティングが難しい。とりあえずだいたいの位置を出しておいて、スタジオで微調整することにしたが、ボックスレンチかスパナを2本もって行かねばならない。また、スナッピーは本来22本のところ、おそらく前オーナーが調整したのだと思われるが3本切って19本にされていた。このスナッピーは取付部が特殊な形状になっており、ソナー製を買うと6,700円もする。タマのなんかでも工夫すれば付けられるだろうが、とりあえずこのまま使おう。
フープだが、心配されたゆがみは無い。そこで、破損したところを根本から切り、ヤスリをかけた。もう片方も同じ形状に切ってしまえば、もとからそういう物のようにも見えるが、面倒なのでやめた。ボルトはかなり錆びている。状態のいいのを上面に持ってきた。ワッシャはカンセキで買ってきたものだ。ボルトなんか交換して、ワッシャもドラム用のを買えばいいのにと思うだろうが、ソナーのボルトは頭が四角でなく丸にスリットという新田氏の家紋のようになったもので、他のメーカーのよりボルトが太く、さらにゆるみ止め加工がされている。ワッシャも穴径が大きく、他社のものが入らないのだ。それに、ソナーはいちいち部品が高いので、ボルト24本で1万円くらい平気で取るだろう。
ヘッドは世界の標準コーテッドアンバサダーとスネアサイド・アンバサダーだ。シェルにはワックスをかける。そうして組上がった姿を2m離れて見るとぴかぴかで新品のようだ。
さっそく、使ってみた。音はなかなかよろしい。スナッピーの当たり方で低域の出がかなり違う。裏のピッチが変わるのも要因のひとつか。パラレルアクションなので、当たり方とスナッピーの張力が独立だから、この辺の調整はまだ有余がある。めんどくさいなあ。個人練習の時にセッティングを出そう。深胴はピッチが高くても低音が出るのがよろしい。反応も思ったほど悪くない。
しかし、これ「ライト」なのにむちゃむちゃ重い。やんなっちゃう。
SONOR Lite LD-557 (ソナー ライト)
サイズ: 14 x 7・1/4インチ
シェル: スカンジナビアン・バーチ 12プライ 7mm
カラー: グラファイト・ラッカー(GL)
フープ: ダイキャスト 12テンション
スイッチ: パラレルアクション
スナッピー: 全面当たり22本
ヘッド: 打面 レモ・コーテッド・アンバサダー
裏面 レモ・スネアサイド
年式: 80年代後半
パラレルアクション!
追伸:
売却されました。音がでかすぎるのとセッティングしづらいのがネック。スイッチがでかいからなー。