ちょっと手がすべって買ってしまった、フェンダー・ジャパンのストラトである。Eシリアルなのでおおむね85年前後のものであり、おそらくフジゲン製だ。当時のストラトのラインナップは、54・57・62・72年モデルで、型番は最初のSTがストラト、次がモデルの年式を示し、最後が価格だ。たとえば72年のコピーだと、シリーズ最廉価版がST-72-55だ。最後の数字が65だとピックアップがUS製になり、80は塗装がラッカーで、115はパーツがUS製になる。
72年ストラトの最大の特徴は、ネックジョイントのボルトが4本から3本になり、マイクロ・アジャストという機構が付いたことだ。それに伴い、トラスロッドのネジはネックエンドからヘッド側に移動し、形状からブレットと呼ばれている。USフェンダーの72年以降の3点止めは人気がないのだが、それでも最近は高くなっている。
さて、ボディはかなーりきちゃなく黄ばんでいるね。でも、傷や打痕は少ない。さて、どうしようかと考えていて思い浮かんだのがレリック化だ。つまり、ホントの72年ものみたいにボロくしようというのだ。雑誌を参考にして塗装のはがし、打痕付け、バックルクラッシュ加工等々を行った。これがまた、サンドペーパーをかける、ハンマーで叩く、釘抜きでひっかく、外に出て道路にこすりつける、マジックで汚れをつける、と通常は考えられない仕打ちを施したのだった。しかし、この作業、最初はおもしろかったのだが、収拾を付けるのが大変だった。やりすぎは修正が必要なのだ。ああ、疲れた。また、エルボーのはがれは資料によるとこのへんなのだが、自分だとポジションが高いからこんなところは削れないな。バックルクラッシュも、こんなとこじゃないや。ブリッジも錆びてた方がいいのかなとおもったが、機能部品はきちんとしようと洗ったら、きれいになってしまった。しかーし、ステージで投げるとかしないと、こんな風にはならないな。これでいいのか?
ところで、こいつはEシリアルなのだが、Aシリアルのとボディのルーティング(ざぐり)が違う。こいつにはリアピックアップ下の、配線を通すえぐりが無い。オリジナルのピックアップも、こいつのはセンターが逆磁相でハーフトーンはハムキャンセルになるのだが、Aシリアルは同磁相だ。同時期なのにこの差はなんだ。下請けメーカーが違うのかな。フジゲンはどっちだ?
ネックにはCST-50というスタンプがあった。これってスクワイヤー、それともグレコの流用か。ネックのレリック処理はやめ、フレットのエッジを磨き、裏側は1500番のペーパーでサテン仕上げとした。また豪勢にも、ペグはゴトーのマグナムロック(シャーラーM6タイプ)をおごった。アーム付きのギターはほとんどロック式にしている。ストリングガイドも3・4弦側は撤去した。しかし、ペグだけみょーにきれいだ。ネックポケットはクリーニングし、マイクロティルトは使わない設定にした。
ピックアップはフロントにディマジオYJM、ミドルとリアにHS-3というイングヴェイといっしょのコンビネーションだ。調達はすべて中古。YJMはイシバシで買ったのだが、未使用だよ。ラッキー。電気系は全交換で、ポットは国産、コンデンサはオレンジ・ドロップ、配線材はベルデン、ハンダは除去がめんどうなのでフツーのやつにした。トーンはフツーのフロントとミドルに効くパターンだ。ミドルのトーンはスイッチポットで、引くとフロントとミドルがシリーズになる。
音はけっこういいね。リアを歪ませると、すとらとーって感じがする。ちょっとパワーが低くて、SANSAMP GT2のクリーンだとあんまり歪まないな。フロントもよろしい。しかし、ミドルが弱いな。なんでかな。ハーフトーンも今ひとつだ。ま、でも、こんなもんでしょう。コストパフォーマンスは抜群だ。
やっぱり白のストラトだ。
Fender Japan ST-72 (85年頃製)
ボディ: たぶんバスウッド 3P
ネック: メイプル1P
ピックアップ: ディマジオ フロント/YJM ミドル&リア/HS-3
コントロール: 1V、1T、5点スイッチ、シリーズ・スイッチ
ペグ: ゴトー・マグナムロック(シャーラーM6タイプ)
カラー: 黄ばんだ白
追記:
売却されました。