弦楽器

K-Yairi Custom

 これはある青年がアコギを購入するまでの、血と汗と涙の記録である。

動機

 アコースティックギター(以下アコギ)には、興味が無かった。特に、スチール弦のアコギを買おうと思ったことは無い。アコギは最近はやっているようで、結構売れているようだ。若者が買って、じゃかじゃかじゃんの「き〜み〜が、あのその、きみ〜の〜」なのである。そんなもの誰が買うか、であった。しかしながら、ナイロン弦のエレアコには興味があった。リー・リトナーやアール・クルーが弾くエレガットにあこがれ、何本か買っている。その昔、アコースティック・デュオなんてのをやったときは、P-ProjectのAI-Nという、ナイロン弦のセミソリッドでやった。ということで、ナイロン弦のエレアコも、ソリッドかセミソリッドくらいが興味の対象だった。アンチ「スチール弦アコギ」だったのである。

 小学校6年の時、最初に買ったギターはヤマハのクラシックギターだった。洋楽を聴き始め、ギターを弾きたいなというほのかな願望が芽生えたとき、クラシックを弾いていた叔母が選んだのは、当然のようにクラシックだった。しかしながら、これってポップスに向いていない。ネックも太く、小学生にはムリがある。Fを押さえるのは、いわゆるフォーク(スチール弦のアコギ)より困難だ。そんなこんなで、ほとんど弾かずに放置された。

 中学になると、周囲にギターを弾く友人がちらほら出てくる。まあ、いわゆるフォークが多く、グレープ(さだまさし所属)やかぐや姫(みなみこうせつ所属)なんてのがメジャーだった。そんなH君が、モーリスのちょっといいやつに買い換えたということで、さきのクラシックと交換してくれたのが、ヤマハのFG-110だ。ワタクシはこれで、カーペンターズやポール・マッカートニーなんかを弾いていた。やがてロックに目覚め、高校になるとエレキに持ち替える。さきのH君も同様の道を歩み、一緒にバンドを組むのだった。

 アコギを買おうと思った理由は以下だ。そのころSIAトリオというバンドでライブをやろうとしており、その中で「アンプラグド」コーナーをやろうかという案があった。そんな話の中でA氏に「え、○○(本名)さん、アコギ持ってないんですか?」と言われた。A氏は81年製マーチンD-18を持っており、それがいい音なのだそうだ。ううむ、ライブで使うかも知れないし、1本くらい持っていてもいいかなと考え始めた。

 さっそくインターネットや雑誌をチェックし、まあ、オベーションが無難そうかなと考えていた。ある友人がディープボウルでないとだめだと言うので、じゃ、オベーションのディープボウルならなんでもいいや。中古で適当に探そうという結論にたどり着いたのである。

宇都宮の楽器店

 ゴールデンウィークのある日、天気もいいし、たまにはミジェットを転がそうと出かけた。行き先が楽器屋というのが、一般の理解を得られないとは思う。その楽器屋で転落が始まるのである。

 なにげなく立ち寄ったなじみの楽器屋である。おおお、そこにオベーションがぶらさがっているではないか。それもディープボウルである。人生とはこういうものである。黒のエリートだかなんだかで、下取りしたものだそうだ。早速試奏にはいるのだが、店長は弾き始める前に予防線を張るのである。生音はいわゆるオベーションの音で、期待しないで下さいと。オベーションはアンプにつないだときに真価を発揮するように作られているとのことである。実際のところ、アコギの音がわからない自分にも、生音はそんなに良いとは感じられない。後ほど友人達からも聞くのだが、エレアコとアコギは違う楽器であるということだ。エレアコはライブでの使用を重視しており、ハウリングを防ぐこととや、ピックアップが拾った音がいい音になるようにチューニングされており、生音は犠牲にされているらしい。特にオベーションはそれが顕著であるとのことだ。そこで試奏を勧められたのがタカミネの8万くらいのエレアコである。たしかに生音はこれの方が美しい。さらに試したのが普及品のエレクトリックでないアコギである。あららら。なかなかいい音である。オベーションは生音ではわずか数万のアコギに負けてしまうのである。自分がどう使うかを考えても、ライブで使うのは一生に一度かも知れない。普段爪弾くには生音がいい方がそりゃいいというものだ。悩める子羊となってしまった。

 「じゃあ、これを弾いてみませんか」と店長が勧めたのは70年代のマーチンD-28である。最近は70年代のマーチンが人気らしい。比較的手頃な値段で、いい音が得られるとのことだ。さっそく弾いてみると、確かにいい。低音のパンチがあるし硬さが無く全体にバランスがいい。続いてテイラーを試した。これはD-28より低音は出ないけどブライトだ。これまたいい。しかし、どちらも20万を越えるのだ。店長は、エレキはエフェクターを使うと良くても悪くてもよくわからないが、アコギはてきめんにその差が出る。1本良いものを持っていた方がいいのではと言う。これは後にA氏からも言われるせりふである。A氏もエレキには金をかけていないが、アコギとフルアコはいいものを持っている。しかし、アコギを知らない私にはこのD-28がリーズナブルなのかどうか判断できない。それならばと店長は、他の店に行って何本か弾いてきてはどうかと勧める。よおし、ものは試しだ。行って来るか。

 試奏時における最大の問題は、自分はそんな高い楽器を買うような人に見えないということである。美貌が災いしているのである。Y氏も同じ事を言っていったが、彼もタイプは違うがやはりそうは見えない。我々は一見の楽器屋では比較的冷たくあしらわれるのである。

 まずは通りすがりのバックビートをのぞくと、70年代のD-18がある。D-28のサイド・バックはローズウッドだが、18はマホガニーだ。続いてロックインだが、高いアコギはガラスケースの奥にしまわれている。また、目指すD-28は無いが、000-28があった。これはクラプトンの使用で人気が高まったもので、D-28よりひとまわり小さい。さっさと島村へ向かう。ここにD-28(AJ)の新品がバーゲンプライスでぶら下がっていた。早速試奏するのであった。ここは商品知識ゼロのやつがいっぱいいるので、それっぽいおじさん店員をつかまえて弾かせてもらう。なるほど、新品でもなかなかいい。他にめぼしいものは無いかと尋ねるとテイラーを勧められた。これもなかなかいい。幸運なことに、つかまえた店員はアコギの知識があるようで、在庫の中ではこの2本がいいと言っていた。店にあるギブソンその他はいまひとつなのだそうだ。正直で好感が持てる。おじさんはあなたのスタイルならばテイラーがいいと勧めてくれた。もう一度D-28を弾いてみると、あなたが弾き始めたので、さっきよりも鳴ってきているとおじさんはのたもう。ううむ。しかしながら、アコギの雑誌を2冊買うのみにとどめ、店を後にした。

 さて、某楽器店に戻り結果を報告した。店長は売る気満々で、D-28の弦を交換してくれた。もう一度D-28とテイラーを弾いて、その日は帰るのであった。

豆知識コーナー

マーチン D-28
 ワールド・スタンダードなのだそうだ。ドレッドノートと呼ばれる大きめのボディからは、迫力に満ちた音がはなたれる、と言われている。D-45はこれの豪華版。ネックにはロッドが仕込まれており、85年以前はSQと呼ばれる角形で調整できないものであるが、それ以降はAJと呼ばれる調整できるものが登場している。現行は両方あるがSQは高い上にやや入手困難だそうだ。また、84年以前はピックガードの上からクリアラッカーが塗られている。60年代はサイドとバックにブラジリアン・ローズウッド、通称ハカランダが使われており、高価である。70年代からはインディアン・ローズウッドに変更され、そのへんのものはおおむね20万円代と手頃(?)かつSQということで人気があるらしい。プレイヤーの広告でもいーっぱいある。サイド・バックがマホガニーのD-18はやや甘めの音になるらしい。

テイラー
 よくわかりません。たぶんアメリカの手工ギターメーカー。評判がいいらしい。今回試奏したのは2本とも、ややこぶりでシングルカッタウェイのものだ。けっこういいかも知れない。


新大久保の楽器店

 やってきたのは新大久保だ。さて、ここいらで試奏をしようと思うのだが、絶対値評価に自信がない。ま、当たって砕けろである。

 まずはthe中古楽器屋である。アコギの在庫も豊富だ。70年代のD-28は2本あった。まずはきれいな方から試奏した。状態はすごくいいのだが、音はやや硬い・・・かな。値段は比較的安い方だ。そうこうしていると、店員はもう1本の弦を交換している。売る気満々である。そちらも試奏する。状態はあまり良くない。指板は削れているし、フレットも限界に近い。しかし、弾かれているせいか、こちらの方が良く鳴っている気がする。すると、90年代のAJもあるので試奏しないかと勧められる。これが、なかなか悪くない。これなら70年代にこだわることも無いのかなとも思った。弾き込めばさらに良くなると言われたが、誰が弾き込むのだろう・・・。実際のところ、島村でド新品も弾いた感触も含めると、新しいものでもいいのかなという気がした。「これからほかも回られるのですか」との言葉に送られ、店を後にした。そういう人が多いようだ。

 50m先にある黒澤楽器はマーチンの輸入代理店で、新大久保店は電気楽器を他に移してアコギ専門にしてしまった。もちろんマーチンに力を入れている。店は改装したてで非常にきれいだ。GW中なのでけっこう客も多い。ギターもいっぱいあり、ざっと見ただけで70年代のD-28が5本くらいある。接客中の店員に声をかけ事情を簡単に話し、お勧めのものを選んでもらった。これはさっき弾いたものに比べて、随分良い。変な硬さがないのに高域が美しい。しかし、それは試奏環境によるものもあるだろう。ここは壁や床が板張りで、かなりライブである。きっと、ねらっているんだろうね。しかしこのギター、ピックガードは交換してあり、ネックの根本にエンドピンがささっている。また、お値段も高い。さらに、心配されたように接客態度はいいとは言えない。

 ここまででわかったことは以下である。

1)バラツキはかなりある。
2)新しいものも悪くない。
3)探せばいいものはあるのだろうが、判断力に欠ける。

 であるとしたら、トーシローの私はどうしたらいいのだろうか。以下であろうか。

1)鑑定人を立てて探す。
2)信頼できるショップで相対評価。
3)新品を買う。

 D-28にしぼっても、都内を回れば相当の数がある。ううむどうしようか。30秒考えた後、ジャムセッションへと向かうのであった。

アコギ基地

 やってきたのは氏家(現:さくら市)にできたアコギ基地である。友人に推薦された店だ。地図を頼りに行くと、フツーの住宅地に突然現れるのであった。(注:現在は氏家駅前に移転しています)アコギが150本くらいある。不定休、というより電話をしておけば自宅から店に来てくれるというシステムだ。行く前には必ず電話をしよう。

 接客してくれたのはたまに店番をしているという、仮称SGおじさん(注:寺田茂さんです。。。)だ。ギターグラフィックにヤマハSGの記事を書いており、オーナーによるとSGに関しては日本一詳しい人だそうだ。例によって事情を説明し試奏にはいる。ここで好きなギタリストはと聞かれ、うっかりディメオラと言ってしまうと、SGおじさんはディメオラの曲を弾いてくれるのであった。まずは2本ある70年代D-28だ。これを基準としよう。続いて、K・ヤイリ、タコマを3本、ヤマハ、コリングスを2本、D-62(メイプルサイド・バックでトラ目がすごい)、新し目のD-28カスタム・パワフルバージョン、・・・と10本以上。ふうううう。よくわからん。ついでにオベーション・・・却下。

 印象が良かったのは3本だ。さすがに世界のスタンダードD-28はバランスが良い。それから、パワフルなタコマ。SGおじさんのお勧めである。このブランドは最近有名ミュージシャンが使っているそうで、こいつはチャーのモノと同じチーフというモデルだ。3本あったが、ローズウッドサイド・バックの艶消しがいちばん良かった。もう1本はK・ヤイリのカスタムだ。仕上げがきれいで弾きやすく、音もしっかりしている。ただ、ちょっと弦高が低い。

 オーナーにいろいろ話を聞いたが、彼は国産が好きなようだ。D-28の音は認めるが、それはいつでも手に入るものであるということを主張していた。それよりもちょっと変わった楽器と出会う事が楽しいと言っていた。これは納得できる意見である。この店では、ギターに値札が付いていない。この3本の値段を聞き、帰宅するのであった。

豆知識コーナー

タコマ
 新進気鋭のブランド。アコギ基地には3本の在庫があるが、すべてチーフというモデルで、サウンドホールが左肩に空いている。3本ともサイド・バックの仕様が異なり、マホガニー、ローズウッド艶消し、ローズウッド艶有り、であった。石田長生のはマホガニーで、チャーのはローズウッド艶有りである。アコギマガジン参照。弾くとバックもサイドもばんばん振動し、ガツンと音が出る。かなり安くなっているそうなので、お勧めかも知れない。

K・ヤイリ
 今回弾いたモノは、カタログモデルを基本に特注されたカスタムモデルだ。選ばれた材料を使っているらしい。スプルース単板トップ、ハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)単板サイド・バック、目の詰まったエボニー指板、にかわによる接着、ウッド・バインディング、無着色のエボニーブリッジ、薄い塗装など。

ハカランダ
 ブラジリアン・ローズウッドの通称。ま、よーするにブラジルで採れるローズウッドだ。指板やアコギのボディ、仏壇などに使われる。乱伐により種の存続が危ぶまれたため、ワシントン条約で輸出入が禁止されている。現在作られているギターに使われているものは、大昔に輸入したもの、もしくは密輸品である。製品の輸入も許可が必要で、誰だっけかな、有名ミュージシャンのギターは成田で3ヶ月過ごしたそうだ。通常、ローズといえばインディアン・ローズウッドであり、ナバホ族などが伐採したものである。(うそ)
 ワシントン条約といえば、べっこうも禁輸品である。リッチー・ブラックモアのピックがべっこうだったのだが、持ち込めなかったのはいつの公演だったかな。私が高校生の頃はまだ施行されていなくて、べっこう製のリッチー・ブラックモア・モデル・ピックが買えたのである。弾くと削れて粉になって舞い、それがくさいのだな。値段は1枚300円でした。当時の大卒の初任給が3万円くらい。(うそ)レスポールが45万でストラトが19万8千はホント。ギブソン・フェンダーとも品質が最低の時代である。この頃はメイプルネック、つぎはぎボディのくせに45万だもんなあ。そりゃあつぶれるよね。って、そんなハナシは関係ない。


再びアコギ基地

 雑誌やインターネットから情報を得ていろいろ考えたが、メンテナンスや情報収集を考えると、近くになじみの店があった方がよい。また、D-28を探しまくる必要はなく、出会いを重視する自分の楽器選びスタイルでいいだろう。となると、あそこに行くことになる。

 最初の訪問から2日後、再びアコギ基地を訪れた。戦略は、D-28を基準として、前回抽出したタコマ、K・ヤイリの2本を中心にもう少し試奏して決めようというものである。また、D-18を試しておくこととした。18はサイド・バックがマホガニーで、ローズウッドの28より甘い音がするとのことだ。

 まずは上記の4本を試奏した。印象は前回とほぼ同じだ。D-18は意外にも28とそんなに違う感じではなかった。28のばらつき範囲内くらいではないか。さらに、コリングス、ヤマハのジャンボ・ボディを試したが、このあたりはそれなりに良い。あとは好みだろうか。今日もSGおじさんが来ており、あなたのプレイスタイルならばシングル・カッタウェイの方がいいとタコマを勧める。また、オーナーは「このギターはこんな値段ではなかなか出ませんよ。ハカランダですから、来月のプレイヤーに載せたらすぐに売れますよ。」とK・ヤイリを勧める。国産ギターシンパである。しかし、音のバランスならばD-28だ。

 長考の後、決断が下された。音はちょっぴり硬いかなと思ったが、まだ弾き込まれていないこと。弾き易さと良いつくり。ハカランダという言葉の響き。K・ヤイリである。これに決めた。

 弦高がやや低いので、ブリッジを調整してもらうこととし帰宅した。

三たびアコギ基地

 例によって電話をかけてから氏家へと向かった。

 行ってみるとS・ヤイリがいっぱい並べてあった。雑誌の取材があって写真を撮ったそうだ。こんなにS・ヤイリが集まっているところは少ないらしい。その中の一本、一番鳴っているというものを弾かせてもらった。前のオーナーは名古屋のコレクターで、そのさらに前のオーナーが長い間引き込んだために、とてもいい状態にあるということで、社長いわく歴史的遺産なので非売品だそうだ。さて、どうでしょう。むむむ、硬い。確かに音量はがつんと出るが硬いなあ。しかし、社長ならびに来店中のリペア屋さんは絶賛するのであった。うーむ。まだまだアコギはわからん。

 今回は店を出した経緯を聞いた。もともとはコレクターで120本ものアコギを所有していたそうだ。その趣味が高じて自宅そばに店を出すことになったそうだ。出店に際しては、培ってきたコレクターのルートを活用し、品揃えをしたそうだ。コレクターのコネなしにはこういった店はやっていけないだろうと言っていた。また、海外のディーラーとも取引があり、タコマなどはそのルートから仕入れているということだ。商品は委託のものが多く、委託手数料が低いことから、全国から依頼があるということだ。ただし、ローンは手数料の関係からあつかっていない。

 また、たまたまリペア屋さんがきており、修理途中の社長所有のタコマを持ってきていた。トップの割れを直し、ヘッドをカスタマイズし、塗装をし直し、ピックガードを新作するそうだ。ヘッドは付き板が当てられ、違う字体でブランド名が入れられていた。ピックガードはべっこう風のものが作られていた。このようなカスタマイズもここで請け負うそうだ。

 では、調整してもらったK・ヤイリを弾いてみましょう。ケースを開けると、ハカランダの甘い香りがただよう。というが、本当にこれがハカランダのにおいなのかは不明である。さてと、あら、まだ6弦の弦高が低い。本当にブリッジは作り直されたのかな。その旨をうったえると、あなたの演奏スタイルだとその方がいいとさかんに勧める。とりあえずこれで弾いてみますと答える私だった。また、ネックエンドに安っちいエンドピンが打ってあったので、これはもう少しいいのがないかというと、ハカランダのものがあるということで、それをある条件のもとに付けてくれた。これもコレクターが持っていたものらしく、そこそこ貴重なのだそうだ。ぱらぱらと弾いてみるのだが、そのS・ヤイリより自分のKの方がいいけどなあと思ったが、所長は「それも弾きこんでこのSみたいに鳴るようにして下さい」とのたもうのであった。深い。

豆知識コーナー

S・ヤイリとK・ヤイリ
 もともとヤイリというブランドでギターを作ってきた矢入兄弟がけんか別れして、兄がK、弟がSとなった。まるでジルジャンかくるまやラーメンである。現在のSヤイリは、弟が亡くなってから途絶えていたS・ヤイリブランドをその息子が引継ぎ、寺田楽器からのOEMで売っているものである。よって昔のS・ヤイリとは全く関係なく、ブランド名だけであり、さらにはその息子はギターを作らない。よって・・・(以下配慮) 昔のS・ヤイリは評価されている。もちろんKはずっとギターを作り続けている老舗である。

「謎」コーナー

 今回の楽器選びの中で、ギブソンを勧めた人は誰一人としていないのだ。なぜなのだろう。友人に言われて気が付いた。

SIAトリオのライブ

 2ステージ目冒頭のアコースティック・コーナーで、K・ヤイリはデビューしたのだった。右はAさんとD-18。

Acoustic Corner Set List:
 Mediterranean Sundance(地中海の舞踏) / Al DiMeola
 Just the Way You Are(素顔のままで) / Billy Joel

私のK・ヤイリ

 カタログモデルをベースに特注されたものだそうだ。材料も吟味されており、指板材のエボニーも目の詰まったものが使われている。かなり凝った仕様なのだが、発注者は売っちゃったんだね。その上、製造後8年も経っているのに、ほとんど弾かれていない。どこが気に入らなかったのだろう。まったくアコギは深い。アコギ基地には、下取りで入ってきたそうだ。

 音はちょっと硬くて音圧も低いのかも知れないが、弾き込まれていないので今後に期待しよう。つくりはていねいで非常に弾きやすい。所有欲をそそられるのである。なんだかんだ言って、D-28って作り自体はあんまりいいとは言えないよね。

 しかし、音がでかいのでアパートで弾くのはなかなか困難。ああ、どうしよう。ヒトのことは言えない。おそらくムダヅカイであろう。

K-Yairi Custom(92年製)
 ボディ:      トップ  スプルース単板
           サイド・バック ハカランダ単板
 ネック:      マホガニー エボニー指板
 ブリッジ:     エボニー(無着色)
 ナット・ブリッジ: 牛骨
 特徴:       ドレッドノート、シングル・カッタウェイ
           極薄塗装 にかわ接着 透明ピックガード
           ウッド・バインディング(メイプル)
           ハカランダ・エンドピン

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Last Update : 2008/07/12