弦楽器

SCHECTER Semi Acoustic C-1 E/A

 シェクターはデビッド・シェクターが76年に立ち上げたブランドだ。当初はフェンダー系ギターのリプレイスメントパーツとして、ピックアップやブリッジなどを作っていた。ポールピース径が1/4インチのピックアップ、クォーターパウンドシリーズが有名だ。徐々に製品を拡大して、ギター1本がまるまる作れるほどの部品を扱うようになり、完成品のギターを生産するようになった。それはフェンダーのデザインを用いた高級ギターで、いわゆるカスタムブランドの走りだった。しかーし、83年にデビッド・シェクターは、ブランドを投資家に売り渡す。この後の4年間は、低品質シェクター大量生産の時代であった。そして87年、ESPのオーナーがブランドを手に入れ、元の高級カスタムギター路線に戻す。そのシェクターが98年に発表したのが、韓国産の廉価版であるダイヤモンドシリーズだ。廉価版とはいえ、価格は10まんえん以上に設定されている。

 創業者がそのままブランドを保持してるのって、少ないかも。サドウスキーはえらいね。

 ダイヤモンドシリーズのCシリーズは、ストラトキャスターのデザインに似たシェイプのボディをアーチドトップにし、ギブソンのようなセットネックを組み合わせた製品だ。C-1が6弦、C-7が7弦で、そのC-1シリーズのセミアコモデルが、このC-1 E/Aだ。

 このギター、フツーのセミアコのようだが、ES-335のようなセンターブロックが上から下まで貫通した構造ではなく、ブリッジとテールピースの下にしかブロックがない。この構造は、イーストマンのT186MX、ポール・リード・スミスのホローボディなどと同じだ。フロントピックアップは、ネックエンドの上に取り付けられているが、リアピックアップの下は空洞になっており、よりアコースティックに近い構造になっている。なんとなくコンバットのSTウォームに似たカンジだが、STウォームはテレキャスター・シンラインのように、ボディの片側がざぐってあるだけなので随分と違っている。しかしながら、重量は3.4kgとそれほど軽量ではない。

 ブリッジとテールピースは、トーンプロスのロック式が採用されている。通常、チューン・オー・マチックのブリッジは、スタッドの上に乗せてあるだけだし、テールピースは引っかけてあるだけなので、弦を外すと脱落する。それをイモネジでスタッドに固定するというものだ。弦交換がらくちんだし、振動伝達効率もいいということだが、音がどのくらい変わるかは不明だ。しかし、こんなのがあるなんて知らなかった。

TonePros Locking Tuneomatic Style Bridge Models
http://www.tonepros.com/products.htm

 さらに、ブリッジのサドルは、RMCのピエゾピックアップ内蔵型が採用されている。型番のE/Aはエレクトリック/アコースティックというコトなのだろう。ピエゾからアコースティックな音を得ることを狙っている。

RMC Pow'r Bridge 'G' Piezo Pick Up
http://www.rmcpickup.com/powrbridgeg.html

 ということで、結構こだわりのスペックだよね。しかーし、マグネチックのピックアップは、韓国ダンカンのHB-102だ。これをUSダンカンのSH-**になんでしないかね。ここがちょっとがっかり。まあ、音はほとんど変わらないんだろうけど、スペック重視のワタクシとしては残念だ。

 では、バラシましょう。あー。ピエゾのプリアンプ基盤だが、フロントとリアピックアップの中間くらいの位置で、ボディバック底面にマジックテープで取り付けてある。そのマジックテープのボディ側接着が、はがれているよ。固定方法にちょっとムリがあるけど、うーん、他にどうするかっていうとどうするかな。ここはとりあえず接着し直しと。ボディと指板をクリーニング。エスカッションとトグルスイッチのノブを黒に交換。ノブはアンバーのトップハットに交換。弦は、011〜のダキスト・フラットワウンドに交換。テールピースは、テンションを考えてやや高めに設定し、弦高を調整。ネックはやや順ぞりに設定し、オクターブを調整。ピックアップ高を調整しておしまい。

 はい。弾いてみましょう。うーん。それほどアコースティックなカンジはしないなあ。特に、リアはかなりソリッドだ。また、ピエゾがじゃきじゃきだな。ギターアンプだと厳しい音だけど、アコースティック用アンプだとどうかな。まあ、用途としてはほぼフロント・ピックアップしか使わないんだけどね。

 ということで、なかなか気合いの入った仕様だが、あんまり売れなかったのかな。現在はラインナップから消えている。

 セッションデビューを目指し、こいつで練習にいそしむのだった。
 
シェクター C-1 E/A (Schecter C-1 E/A)
 ボディ トップ:キルテッド・メイプル
     バック:マホガニー セミホロー構造
 ネック:    マホガニー3P ローズ指板 セットネック
 ペグ:     グローバー 102
 ブリッジ:   トーンプロス T3BT ロッキング・ブリッジ
         RMC Pow'r Bridge 'G' ピエゾ・ピックアップ・サドル
 テールピース: トーンプロス T1Z ロッキング・テールピース
 ピックアップ: ダンカン・デザインHB-102、RMCピエゾ
 コントロール: 1V,1T(マグネチック),1V,1T(ピエゾ)
 カラー:    ダーク・ビンテージ・サンバースト
 年代:     03年製

 Body : Quilted Maple on Mahogany
 Neck : 3-Piece Mahogany, Rosewood fingerboard (Set Neck)
 Peg : Grover 102
 Bridge : TonePros Model T3BT Locking Nashville Tune-O Matic Bridge
      with RMC Pow'r Bridge 'G' Piezo Pick Up Saddle
 T.P. : TonePros Model T1Z Locking Tailpiece
 Pick Up : Duncan Design HB-102 / RMC Piezo
 Control : Magnetic Vol/Tone, Piezo Vol/Tone
 Scale : 25.5inch
 Color : Dark Vintage Sunburst

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Last Update : 2008/08/11