日程：
　01年12月4日（火）
場所：
　日本武道館
メンバー：
　エリック・クラプトン(g), アンディ・フェアウェザー・ロウ(g), ネーザン・イースト(b), スティーブ・ガッド(ds), グレッグ・フィリンゲス(key), デビッド・サンシャス(key)

　＊＊年ぶりの武道館だ。前に来たのはグラハム・ボネット時代のレインボーで、それが初めてのロックコンサート体験だった。席も同じ２階で、コージーのスティックが飛んでこないかな（来るわきゃない）と思ったもんだ。また、ここからのアリーナの眺めは、パープルのライブ・イン・ジャパンのジャケットを思い起こさせる。そんなこんなで感慨深い。

　客電が落ちクラプトンが登場する。アコギを抱えてのアンプラグドからコンサートは始まった。まずはギターのみで「キー・トゥー・ザ・ハイウェイ」を演奏した。フィンガー・ピッキングだけでのコントロールは絶妙だ。また声がよく出ており、TV放映された２年前の日本公演の時よりずっと若々しく感じられた。続いて「新しいアルバムから何曲かやるよ」と、バンドを伴って２曲披露した。ネーザン・イーストのベースはエレアコ、ガッドはブラシだ。そして、「ティアーズ・イン・ヘブン」「レイラ」ときて、アンプラグドの最後は「チェンジ・ザ・ワールド」だ。

　続いてはブルース・コーナーだ。ギターは２トーンサンバーストとヘンなペイントのストラトだ。思ったよりハードに弾きまくる。それほど指が動くというわけではないが、ギターのコントロールは素晴らしい。さすが超ベテランだ。曲の構成はスローな曲とハード目の曲をうまく混ぜていた。静かな曲ではフルアコも手に取る。ここで「この曲をジョージ（ハリスン）に」と演奏されたのは、クリームの「バッジ」だった。なんでだろうと思ったのだが、同行のＡ氏によるとこの曲はジョージとの共作で、オリジナル版のリズムギターはジョージだそうだ。

　左のキーボード、グレッグ・フィリンゲスはオルガンをメインに、右のデビッド・サンシャスはピアノと管系の音色でのソロを中心に演奏された。管系の音はヤマハのモデリング・シンセだ。ネーザン・イーストはヤマハTRB-NEの５弦で、今回は真っ白のカラーリングだ。端の客席に愛嬌を振りまく。ギターのアンディ・フェアウェザー・ロウは堅実なプレイで、ブルースチューンではクラプトンのソロの時だけささっと出てきてバッキングを決めるなど、裏方に徹していた。ガッドは、時にはブラシを４本、また激しい曲ではマッチドでと、緩急を付けていた。ハードな曲では、オーバープレイとも思われる演奏を繰り広げ、２時間もつのかと思わせた。

　武道館の音響は、出だしの静かめな曲では良かったが、やはりラウドになると解像度が極端に低下してしまう。特に低音がぐるぐると渦巻いてしまう。まあ、コンサート・ホールではなくイベント・ホール（？）だから仕方がない。

　おとなしかった観客も「コカイン」のイントロで半数が立ち上がった。ラストはよもやのレイラだ。アンプラグドで演奏されたので、まさかエレクトリック版で聞けるとは思わなかった観客の興奮は最高潮に達した。（月並みな表現だな）

　足並みの揃わないアンコールの拍手で再登場したクラプトンが、「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ」のリフを弾く。場内は大合唱だ。続いてアコギに持ち替えて、しばしゆっくりしたリズムのワンコードでアドリブをぽろぽろと弾く。そして歌い始めたのは「オーバー・ザ・レインボー」だ。Ａ氏によると楽屋ではこの曲ばかり弾いているということだ。６人が並んで挨拶し、最後にネーザンのひとこと「オツカレサマデシタ」でコンサートは幕を閉じた。約２時間だった。

　観客の年齢層は非常に幅広かった。普通のコンサートではあまり見られない、いわゆる「おばさん」（失礼）の数が非常に多く、けっこうのりのりで楽しんでいた。概して２階席の方が盛り上がっており、この辺に真のファンはいるんだろうなとＡ氏と話した。また、子供連れのパパも多かった。Ａ氏は、自分が若かった頃に夢中になったミュージシャンのコンサートを、息子・娘と一緒に見られるとはなんて素晴らしいことだろうと語っていた。彼の５才の娘は、この日彼が演奏するものと勘違いし、連れていけとねだったそうだ。このパターンでの子連れ鑑賞は、私にもできるのだろうか。クラプトンはもうツアーをやらないっていうし。ジェフ・ベックとチック・コリアが頼りかな。


Set List
　Key to the highway
　Reptile
　Got you on my mind
　Tears in heaven
　Layla
　Bell bottom blues
　Change the world
　River of tears
　Goin' down slow
　She's gone
　I want a little girl
　Badge
　Hoochie coochie man
　Five long years
　Cocaine
　Wonderful tonight
　Layla
encore
　Sunshine of your love
　Somewhere over the rainbow