ライブ

02/9/19 Pat Metheny Group at NHKホール

日程:
 02年9月19日(木)
会場:
 NHKホール(渋谷)
メンバー:
 Pat Metheny(g), Lyle Mays(key), Steve Rodby(b), Antonio Sanchez(ds), Richard Bona(vo,perc,b,g), Cuong Vu(tp,perc,g)

 メセニーのコンサートは初である。発売日にパルコのチケットぴあに並んだが、メセニーを買うヤツはおらず、Wind-sの女の子と森進一のおばさん達であった。発券時に20日のS席は完売となっており、19日のS席を確保したが、2階だった。ローソンで売るのやめろよな。

 パット・メセニー・グループ(PMG)は、新譜「SPEAKING OF NOW」発表時に、メンバーチェンジを行っている。長年連れ添ったドラマーのポール・ワーティコに代わりサンチェスが参加し、さらにボナとヴーが加わった。リチャード・ボナは、現在最も注目を集めているでベーシストの一人であり、彼がボーカル・パーカッションとして参加したことは、大きな話題となった。USでのツアーの模様がジャズライフに載っていたが、ベースも弾くことが報じられており、期待は高まるのであった。

 実は、NHKホールは初めてである。おお、パイプオルガンだ。席はちょっと遠いけど、双眼鏡を持ってきたぜ。客はおやぢばっかりであったが、開演後にごそごそ入ってくるのはやめて欲しいな。お前らに「最近の若者は」なんて言う資格は無いぞ。

 会場には、珍しいことに BGMが流れていない。そして客電が落ちないまま、メセニーがアコギを持って登場し、ソロ演奏による「LAST TRAIN HOME」でコンサートは始まった。オリジナルとは全くフォーマットの異なる演奏で、美しいリハーモナイズが観客を魅了する。セルフ・カバーのアコギソロなんてアルバムがあってもいい。そしてサンチェスが登場し、メセニーとのデュオだ。ドラムのPA音はかなり小さく、生音が聞こえる。デッドで暗めの音色であった。3曲目の「PHASE DANCE」でメンバー全員が揃う。全体に音量が小さく、アンサンブルを聴かせることを重視しているのか思いきや、PAにトラブルがあったらしく徐々に音量が揃う。

 20日昼の追加公演は、WOWOWの収録がはいるということで、チケットが千円安いということは聞いていたが、19日の公演にもカメラが入っていた。聞くとことによると、20日夜を含めた3回の公演でDVDが作成されるらしい。20日も同じ服を着ていたそうである。

 中盤は新譜の曲を中心に演奏された。完成度は素晴らしい。4リズムにボナ・ヴー組のアコギ・パーカス・マリンバが絶妙にからむ。ボナのボーカルもいい味が出ている。メセニーも、アコギ・フルアコ・ギターシンセを使い分け、変幻自在な演奏を聴かせてくれる。曲調もPGM得意のいわゆるワールドミュージックのみならず、バラード、ジャジー、ハードチューンの「THE ROOTS OF COINCIDENCE」ではディストーションギター弾きまくりと緩急自在である。

 「FIRST CIRCLE」では観客に手拍子が求められるが、これは恒例だそうだ。練習しておくんだった。個人芸も魅せてくれる。「THE GATHERING SKY」ではサンチェスがロングソロをきめる。カウベルで左足クラーベを刻み、タムのロールを中心とした展開であった。「ON HER WAY」が終わるとカリンバを演奏しながらボナが歌う。さらにサンプラーを用いてリアルタイムで多重コーラスを作り上げる。「INTO THE DREAM」でメセニーは41弦のピカソギターでソロパフォーマンス。ヴーのソロは、ロングディレイとリバーブを使った環境系だ。メイズは「IN HER FAMILY」でピアノソロを聞かせてくれた。

 ハイライトは「BRIGHT SIZE LIFE」だろうか。ボナがベースを持ち、メセニー・サンチェスとトリオで演奏した。ここでのボナはフレットレスを弾くというより、つまびくというイメージであり、次元の違う演奏であった。この曲のオリジナルでは、ジャコ・パストリアスがベースを弾いている。ちなみに、9月21日がジャコの命日である。

 「MINUANO」ではお決まりのマリンバ・デュオ。さらにはボナが本日初使用のフォデラでジョージ・ベンソン風スキャット&ベースソロを聞かせてくれる。ここで本編は終了。アンコールは「SONG FOR BILBAO」1曲だ。しかし、曲が終わって客電が点いても拍手が鳴りやまない。コンサート終了のアナウンスが流れ、ようやく帰途につき始める。3時間10分、密度の濃いコンサートであった。

 しかしながら、なんでメセニーがこんなに人気があるのかわからない。確かにいいとは思うけど、他のジャズ系アーティストとの集客力の隔たりが理解不能だ。ホールでコンサートが出来るのは、メセニーと、チック・コリアとキース・ジャレットくらいだもんね。

出典付きSetlist:
 LAST TRAIN HOME (Acoustic Guitar Solo) / STILL LIFE
 (GO) GET IT (Guitar & Drums Duo) / TRIO 99 > 00
 PHASE DANCE / PAT METHENY GROUP
 THE BAT / 80/81
 PROOF / SPEAKING OF NOW
 AS IT IS / SPEAKING OF NOW
 HOW INSENSITIVE / SECRET STORY LIVE
 THE GATHERING SKY / SPEAKING OF NOW
 YOU / SPEAKING OF NOW
 THE FIRST CIRCLE / FIRST CIRCLE
 SCRAP METAL / WE LIVE HERE (video)
 ANOTHER LIFE / SPEAKING OF NOW
 〜vo. solo
 ON HER WAY / SPEAKING OF NOW
 INTO THE DREAM / IMAGINARY DAY
 〜tp. solo
 ARE YOU GOING WITH ME / OFFRAMP
 THE BRIGHT SIZE LIFE / THE BRIGHT SIZE LIFE
 THE ROOTS OF COINCIDENCE / IMAGINARY DAY
 MAP OF THE WORLD 〜 IN HER FAMILY / STILL LIFE
 MINUANO (SIX-EIGHT) / STILL LIFE
encore
 SONG FOR BILBAO / TRAVELS


楽器のコーナー

Pat Metheny
・Ibanez PM-20 フルアコ。現在生産中止。シングルカッタウェイの1ピックアップ。現行のPM-100でもPM-120でもない。これが日本で売られていた記憶がないが、USのサイトをみるとユーザー・レポートがあったりする。せめてPM-100を使わないと、Ibanezを買った日本のファンは納得しないよね。
・Roland G-303 ギターシンセが3本。アーム付きでヘッドの長いカスタムメイドのものを多用。シンクラビアのコントロールがついたのは、ディストーション・ギターとして「THE ROOTS OF COINCIDENCE」のみで使用。
・Linda Manzer エレアコ。スチール弦でシングルカッタウェイ。
・Guild エレアコ。スチール弦でシングルカッタウェイ。チューニングが違うらしい。主にスタンドに固定して使用。
・Linda Manzer エレアコ。ガット弦でシングルカッタウェイ。「ANOTHERLIFE」で使用。
・Linda Manzer ミニギター。5度高いらしい。「MAP OF THE WORLD」で使用。
・Linda Manzer ピカソギター。41弦。「INTO THE DREAM」でのソロは美しかった。しかし、チューニングが大変だろうな。

Lyle Mays
・スタインウェイのグランドピアノ。MIDI化されている。
・その上にカーツウェル K2000
・KORG TRITONが左上
・その下がYAMAHAかな
・なんと「THE ROOTS OF COINCIDENCE」ではエレキを弾いていた。モノは不明。

Steve Rodby
・アコベ
・フォデラの5弦エレベ。

Antonio Sanchez
・ヤマハメイプルカスタム・アブソリュート。浅胴で、20キック、10,12タム、14,16フロア。スネアも同シリーズの5インチ。色はすべてチェリー・ウッドで、私のと同じ。サブスネアはヤマハ・デビッド・ガリバルディ・シグネーチャー
・ジルジャン・シンバル
・左足クラーベ用カウベル その他パーカッション類

Richard Bona
・ペンザ・サー4弦フレットレス。「BRIGHT SIZE LIFE」で使用。すげーかっこ良かった。
・フォデラ・インペリアル5弦。「MINUANO」で使用。
・Guild エレアコ。
・パーカッション多数。マリンバも。

Cuong Vu
・当然トランペット
・パーカッション。マリンバや小さい鉄琴(なんていうんだっけ)も。

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Last Update : 2003/11/01