ライブ

02/12/15 Tribal Tech at 新宿 MARZ

日程:
 02年12月15日(日)
場所:
 MARZ(新宿)
メンバー:
 Scott Henderson(g), Gary Willis(b), Scott Kinsey(key), Kirk Covington(ds)

 いとこにメシをたかられた。おかげで3分遅刻してしまった。せっかく整理番号が20番だったのに、もう入場が始まっている。すいません20番なんです通して下さい。

 会場はキャパが200くらいの小さなライブハウスだ。1階は椅子席が30でその後はスタンディングだったのだが、ちょっと遅れたおかげで座れず、スタンディングの最前列スコヘン(スコット・ヘンダーソン)真正面5mにポジションを確保した。

 友人に誘われるまま来てしまったトライバル・テックだが、ここんとこのアルバムはいまひとつ。昔はハードどフュージョンだったのだが、最近はジョー・ザビヌル(元ウェザーリポート)っぽいワールド系にヒップホップ系(かな)のリズムを導入したという感じだ。楽しめるのかなと思いつつも、スコヘンがこんなに近くで見られるならいいか、とコーラを飲むのであった。

 今回のツアーは、メンバー全員がMI(米国の音楽学校)であることから、MI-JAPANの主催だ。ライブは東京・名古屋・大阪の3回で、それよりも全国各地にあるMI-JAPANでのクリニックの方が多い。友人はこの前日に行われた、仙台校のクリニックに参加している。

 なかなかフレンドリーで、薄いスクリーン越しにステージが見えるのだが、自分達でセッティングをやっていた。チューニングのチェックを終えたカークが、わけのわからない日本語を飛ばしてうけをとっていた。

 客電が落ちメンバーが登場した。スクリーンが上げられ、パワーブックG4を使った打ち込みが流れる。最新アルバム、といっても2年前の発表になる「Rocket Science」のオープニングナンバー「Saturn 5」でライブは始まった。

 スコヘンはアームを握りながら、確実にピッキングする。なめらかな演奏ではあるが、アタックがきつく音がやや硬い。フレージングは、以前よりかなりブルージーだ。いかにもリックというフレーズが少ない。昔は、コンディミ、ホールトーン、スケールアウトおおおおってのが特徴だったのに。

 特筆すべきはボリューム「ノブ」だ。足元にボリュームをコントロールするノブがひとつだけ付いた箱が転がっており、スコヘンはこれをつま先で回して音量をコントロールするのである。それも、ステージの間ずーっと、フレーズごとに回すのである。おそらく、ディストーションなどのエフェクターのレベルつまみを足で回し始めたのが最初なのだろう。特製の大型ノブ付きの無機質な箱が異彩を放っている。他にBOSSのボリューム・ペダルが転がっているのだが、こちらはちょっとだけやったボリューム奏法と、チューニング時の消音にしか使われず、細かいボリュームコントロールは、「ノブ」で行われた。

 ゲイリー・ウィリスのベースがすさまじい。右手の腹でミュートし、親指・人差し指・中指で高速フレーズをたたき込む。そのコントロールが素晴らしい。タッチが絶妙である。

 ドラムは、現在ザビヌルのバンドでも叩いているカーク・コヴィントンだ。演奏はファンクをベースにした高速シングルストローク系で、コブハムを荒っぽくした感じ、もしくはデニチェンのマネをしているバーナード・パーディーという雰囲気だ。タイムはしっかりしているが、どうにも荒い感じがなじめない。

 スコット・キンゼイが引っ込み、トリオでブルージーなナンバー「Song Holy Hall」を演奏すると、次の曲ではスコヘンが退場する。スコット・キンゼイはoxygen 8を膝に乗せて弾き出す。もろにザビヌルだ。友人の情報によると、このバンドは彼が仕切っているそうで、確かに昔の音楽性とはかなり変わってきている。トライバル・テックというと、スコヘンとゲイリーの双頭バンドという認識ではあるが、実際の音楽性はスコットのコントロール下にあるような気がする。

 ハンコックの曲である「Actual Proof」が演奏される。彼らの定番曲だそうだ。最近のハンコックも、ヒップホップ系のビートを取り入れている。ベクトルは近いのかも知れない。昔のどフュージョンの方法論である、テンションコードとそれに乗っかるテーマ、リズムのキメ。そんなアプローチに限界があるのはわかる。ダンス系のファンクビートとミュートの効いたベースからなるリズムに乗って、インプロビゼーション主体の演奏を展開するというスタイルは、ま、慣れてしまえばこれもありかなという感じではある。しかしながら、もう少しテーマの提示が欲しい。やや単調で飽きがくる。一般人には受け入れられがたいのではないか。おそらく会場のほとんどは楽器をやる人々であろう。MIの生徒が多いのかも知れない。

 アンコールは「Foreign Affairs」と「Face First」だ。「Face First」のギターソロ終盤で1弦が切れる。

 終演後はスコヘンが客席に現れた。「今日のライブは素晴らしかった。お会いできてうれしい」とかなんとか叫んで握手してもらうのだった。

 ギターはもう少し甘い音で、変態フレーズばりばりの方がいいな。今のスコヘンはちょっとブルージー過ぎる。


セットリスト:
 Saturn 5
 Nite Club
 Space Camel
 Canine
 Knothead
 Actual Proof / Herbie Hancock
 Big Fun
encore
 Foreign Affairs
 Face First

楽器のコーナー

Scott Henderson:
 サー(Suhr)のスコット・ヘンダーソン・シグネーチャー1本のみ
 ストラトシェイプで、ピックアップはHSH パーツは黒 色は濃い紫
 アンプはカスタム・オーディオ・エレクトロニクス(CAE)
 スピーカーはマーシャルの4発で紫色
 エフェクトもCAEのパッチング・システム。
 ボリュームノブってのがおもしろい
 BOSSのボリュームペダルは、ボリューム奏法とチューニングの時だけ使っていた。

Gary Wills:
 アイバニーズのゲイリー・ウィリス・シグネーチャー5弦
 アンプはaguilarのスタック 日本ではあまり見ない。(見たこと無い)

Scott Kinsey:
 2段の、上はノードリード2
 下はヤマハEX5
 MIDIMANのoxygen8という小型キーボードも、膝に乗せて使用。
 Mac Powerbook G4 は打ち込み用。やっぱりマックだよ。

Kirk Covington:
 ヤマハ・オークカスタム レンタルでしょうね。
 2バスは左足が18インチ。右端に8タムがちょこんとある。
 サイズは22,18キック,10,12,14,8タム,16フロア
 スネアは12×7くらい。ヤマハ・メイプル・カスタムのラグなので、カスタムメイドか。青っぽい白。
 シンバルはジルジャンだが、ライドが2枚。配置も変わっていて、ドラマーの左手側から16チャイナ,20ライド,16クラッシュ,22ライド,18クラッシュ,20チャイナ。(サイズはかなりいいかげん)

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Last Update : 2003/11/01