ライブ

04/4/10 神保彰ワンマンオーケストラ at 六本木 ピットイン

日程:
 04年4月10日(土)
場所:
 六本木 ピットイン
メンバー:
 神保彰(ds)

 リットーから神保さんの新しいインストラクションDVD、「ソロ・ドラム・パフォーマンス」が発売された。神保フリーク(かな?)としては、当然即買いだ。内容はここんとこ数作と同様で、ソロ・パフォーマンス半分のインストラクションが半分だ。違っているのは、従来のソロ・パフォーマンスはオリジナル曲が主体だったが、今回はカバー曲が収録されていることだ。ここ数年、神保さんはこのソロ・パフォーマンスをワンマンオーケストラと称し、日本はもとより世界各国を回っている。それで、聴衆になじみのある曲をやる必要があるんだろうね。ライブではかなりいろいろなカバーをやっているようだ。しかし、公式メディアに収録されるのは今回が初めてだ。

 このワンマン・オーケストラだが、なかなか文章で説明するのは難しい。通常、ドラムクリニックなどで披露されるデモは、オケに合わせて演奏するのがほとんどだ。しかし、神保さんの場合はDTXTREMEを中心としたトリガーシステムを用い、パッドやタムタムなどを叩くとコード、メロディー、ループなどが発音され、それらと生ドラムを組み合わせて曲を構築するのだ。百聞は一見に如かず。機会があったらDVDやビデオを見て欲しい。

 ぴあでワンマン・オーケストラの情報を見た。ちょっと行ってみようかなということで、チケぴのネット通販でチケットを入手した。発売日から数週間過ぎていたが、整理番号は32番だった。

 ピットインに着いたのは開場の10分前。並ぶことしばし、中に入ると通常のステージを降りたところにドラムセットが組まれていた。ステージ上にもイスがあり、神保さんをぐるりと取り囲んで客席が配されていた。向かって左側の最前列を確保した。

 客はかなり入っており、立ち見も出ていた。およそ150人位か。年齢層は30代が7割くらいで、下方めに若干の偏差がある。女性が約3割と意外に多い。当初、ドラムフリークが4割と予測していたが、それ風のヒトは少なく2割に満たないと思われる。

 定刻に登場したのは神保さんらしい。新曲の「Asta La Vista」でステージはスタートした。

 DVDやビデオで見ているため、特に驚くということは無い。とりあえず。。。セットはヤマハのビーチカスタム・アブソリュートだ。席がドラムの近傍なので、聞こえるのはほとんど生音だが、以前渋谷のヤマハで叩いたときよりもずいぶんと硬い音だなという印象だ。タッチの差か。また、スネアのピッチがいつもより低い。パッドやパーツ類はキレイにタコ足されている。神保さんのローディーのインタビューがドラマガに載っていたが、かなりビジュアルには気を配っているそうだ。そのインタビューの中で話題になっていたタムの浮きあがるミュートだが、8,10は無しで、12のは効かないようにしてあった。演奏時の姿勢だが、体軸がずいぶん後で前後動が激しい。背もたれ付きのスローン(イス)で無ければ転げ落ちそうだ。ハイハットのロッドは当然の様に、要らない部分は切り詰められている。これはずーっとずーっとやろうと思っていて、できていないことだ。セッティングを変えたら・・・と思ってもったいなくてできない。部品代はたいしたことないと思うのだが。また、左足クラーベの時に、つま先でハイハット、かかとでジャムブロックというヒールアンドトゥをやるため、ハイハットとジャムブロックのペダルが内側を向いている。それらに追いやられるように、キックの左ペダルはかなり内側を向いてしまうため、ちょっと踏みづらそうだ。お、靴が新型だ。白のレザースニーカーで、「AJ」とステッチが入っている。沼澤尚さんみたいに、シグネーチャーモデルとして市販されるのだろうか。ナイキのスーパーフライを2足も買ってしまったのに。。。

 続いてはなんとツェッペリンだ。移民の歌のサンプリング「あああー」では笑ってしまった。そして天国への階段とブラック・ドッグ。ちゃんとボンゾお得意のフレーズを決める。しかし、サンプリング音源によるギターの音が耳障りで、このメドレーはイマイチだ。

 ジャズのメドレーと紹介され、11曲が演奏された。後半はウェザーにハンコックだ。DVDにも収められている十代の町(英題はティーン・タウン。こんな邦題が付いているがこれで呼ばれることはまず無い。なお、ディズニーランドにあるのとは違う。)のフレーズのキレがかっこいい。ただ、メロを左右のパッドをオルタネイトでやるのがビジュアル的に今ひとつだ。全体に緩急が付けられ、なかなか構成はよろしい。

 10分の休憩後、長いMCから2ステはスタートした。通常はまず無い構成だ。則竹裕之さんとのユニットであるシンクロナイズドDNA用に作られたという曲が紹介された。これはGWに開催されるドラム放題(行きます)で披露される予定だそうだ。続く戦場に架ける橋では、プログラムチェンジの都合だろうかBメロのアタマのメロディーを食わないのがちょっと気になる。

 新曲「Asta La Vista」を題材にして、トリガーシステムの解説が行われた。しかし、このコアな聴衆だとみんな仕組みを知ってるだろうな。

 新作DVDに収められている、ジャパニーズ・トラディショナル・ソングから長いメドレーに入る。ハイサイおじさんを聞くと志村けんを思い出すのは私だけか? ショーターのネイティブ・ダンサーに収められている「Ponta De Areia」が意外だ。そしてメドレーが終わると、今日のセットはここまでだという。通常はまず無い構成だ。フツーは「それでは最後の曲となりました」ってやるもんね。どうするかと思ったら、「ではアンコールをやります」だそうだ。なんかアマチュアのライブみたいだ。そして演奏が終わり、退場すると客電が点き音楽が流れる。しかし、アンコールを求める拍手は鳴りやまない。神保さんが再度登場し、かわいいアイシャ(英題はイズント・シー・ラブリー。これまた邦題では呼ばれないね。)で幕を閉じた。

 テクニックは素晴らしいし、オケのアイディアもなかなか。しかしながら、音楽としてはちょっと難しいかも知れない。どうしてもキワモノになってしまう。フツーのヒトだと2時間聞くのはつらいだろうと思う。私でさえ、ビジュアルが無かったらキビシイだろう。ゲストを呼ぶなどの演出が欲しいと思う。また、どロックをカバーするなら、ギターの音は避けるアレンジを施した方がいい。

 開演が7時半。終演が9時45分くらい。六本木ピットインで最後まで聞いて、最終の新幹線に間に合ったのは初めてだ。 

Set List

1st
 Asta La Vista (New Song)
 Immigrant Song (Led Zeppelin)
 〜Stairway to Heaven (Led Zeppelin)
 〜Black Dog (Led Zeppelin)
 Night in Tunisia (Dizzy Gillespie)
 〜Round Midnight (Thelenious Monk)
 〜So What? (Miles Davis)
 〜Giant Steps (John Coltrane)
 〜Black Market (Weather Report)
 〜Teen Town (Weather Report)
 〜A Remark You Made (Weather Report)
 〜Birdland (Weather Report)
 〜Butterfly (Herbie Hancock)
 〜Rock It (Herbie Hancock)
 〜Mayden Voyage (Herbie Hancock)
 〜Rock It (Reprise)

2nd
 Synchronized D.N.A. NO.1
 〜NO.3
 〜NO.4
 〜Bridge over Troubled Water (Paul Simon)
 (explanation about trigger system with "Asta La Vista")
 Japanese Song Medley
  Akatonbo / Asadoya Yunta / Hai Sai Ojisan
  / Mari to Tonosama / Takeda no Komoriuta / Yagi Bushi
  / Sohran Bushi / Sosyu Yakyoku / Ue Wo Muite Arukou
 (solo)
 〜The Girls from Ipanema (Antonio Carlos Jobin)
 〜***
 〜Ponta De Areia (Wayne Shorter)
 〜***
 〜Oye Como Va (SANTANA)
 〜***
encore
 ***
 Isn't She Lovely? (Stevie Wonder)

楽器のコーナー

YAMAHA BEECH CUSTOM ABSOLUTE
 従来のアブソリュート・ラグ(現行製品はヌーヴォー・ラグってのが売り)仕様。色はスパークル・ホワイト。22BD,8,10,12,14,16TT。スネアはもちろん神保モデル。ペダルはDFP-9310。

Zildjian Symbals
 ジルジャンのカタログを見よう。あれ、現行のには載ってないな。ちょっと古いのを見よう。ってムリかな。ライドは K Custom Dark Ride のハズだが、カップの周囲と肩のハンマリング・パターンが異なっている。モデル名を示すロゴもない。プロトかな。

DTXTREME IIS
 プロト機とかかれたガムテが貼ってある。パッドTP-65(S)が6個。それに加えて、各タム、スネア、キック、ジャムブロックにトリガー・ピックアップが配されている。

Roland XV-5050(音源)
KURZWEIL K2500R(サンプラー)
 なぜヤマハを使わない? MOTIF-RACKとA5000でいいんじゃないの。なお、ヤマハへの配慮からメーカーロゴ等が消されている。

BEHRINGER UB802
 ミキサー。DTXTREMEや音源の出力をミックスし、卓に送っている。

BEHRINGER UB502
 ヘッドホンアンプとして使っているミキサー。通常の場合はモニター信号をPA卓から送ってもらうのだが、その気配がないので、このシステムで自己完結しているようだ。とすると、DTXTREMEの音源は使わずに、キック等の音をモニターに送ってるのかも。出力ケーブルはスローン(椅子)へと這わされ、座面下にコネクターが貼り付けられている。

SHURE E5
 インナーイヤーホン。ワイヤレスのインナーイヤー・モニター・システム用に開発されている。能率(感度)が良く、出力の小さいワイヤレスのレシーバーでも、充分な音量が得られる。多くのプロが使っているが、サウンドハウスでも4まん5せんえん。(--;) ちょっと欲しいけど、ワイヤードのモニター・システムだったら要らないな。 

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Last Update : 2004/04/12