日程:
06年7月15日(土)
場所:
宇都宮 グランドホテル オーベルージュ・ジャルダン
メンバー:
大坂昌彦(ds), 道下和彦(g), 宮里陽太(as), 川村竜(b)
宇都宮に英国屋というアンティークショップがある。そこの社長がジャズファンらしく、プロのミュージシャンを呼んで、ライブを開催しているそうだ。また、栃木アンティークフェアという催しが、この店の主催で毎年行われている。今年の会場はグランドホテルで、併催されたのがこのライブだ。
大坂さんのHPにあるスケジュールに、宇都宮の文字があった。グランドホテルに電話して、主催者に連絡を取ってもらった。
会場はホテルのフレンチ・レストランで、お値段は1まん2せんえん。ディナーショーということだと、ひとりでは行けない。よって、2まん4せんえんもかかる。ま、都内のジャズバーに行けば、ひとり5せんえん以上はかかる。交通費を考えれば、んで、ちゃんとしたご飯も付くことだし、ま、お得といえばお得、だよな、とかなんとか自分を納得させざるを得ない。
キャパは15卓×4名の計60名。一般にはほとんど宣伝されていないようで、客のほとんどは店のお得意さんや関係者だと思われる。おそらく、普段はジャズを聴かない層だろう。50代以上の熟年カップルがほとんどで、40歳以下は5名くらいか。平均年齢は60を越えているだろう。いわゆる富裕層かな。アンティークショップのお客だもんね。
まずはご飯。かなりあわただしい。ここは比較的評判のいいレストランのようだ。ランチしか来たこと無いけどね。でも、この日はイマイチ。ま、60食を1時間で食わせなきゃなんないから、無理もないか。
レストランは1階にあり、外の庭園を見渡すことができる。店の奥側に楽器が無造作に並べられている。宇都宮名物の雷雨のなか、稲妻をバックにメンバーが登場する。オープニングはブルースナンバー「Straight No Chaser」だ。曲がスタンダードなのは、主催者側の要望だろう。なにしろ客はジャズファンではないし、おそらくリピーターが多い。前回までの演目とかぶらないスタンダードをやって欲しい、というようなカンジだろう。枯葉やミスティやイパネマはすでにやってしまったのか、超スタンダードの次に有名、といった選曲だ。
いい演奏だった。曲はどスタンダード。大坂さんのドラムは、歌うドラムだ。これが「The Most」や「EQ」だと、無機質系フレーズや、なんとか連符奇数取りーみたいなメカニカルなフレーズを主体にする。そういったアプローチを封印した、歌心に富んだ演奏だった。ピアノレスなのでベースはかなりベーシックで、リズムもいい。アルトも派手さはないが、流れるようにフレーズが出てくる。これまたよく歌う演奏で好感が持てた。ベースとアルトは20代前半。洗足学園の教え子だったそうだ。うまいヒトっていっぱいいるな。ま、ギターはあんまり好きじゃないな。このヒトはプログレの方がいい。(失礼)
アレンジもちょっとだけひねってある。とはいえ、この曲をこのテンポで、とか、この楽器から入ろう、とかその程度。「Wave」はベースから出て、大坂さんはハンドドラム、なんてカンジだ。でも、知っている曲がちょっと違うアレンジで演奏されている、という雰囲気が良く出ている。ま、演奏者の力量から言えばたわいもないレベルだろう。でも、それが、ああジャズっていいなという空気をかもし出している。こういった演奏を聴くとジャズファンも増えることだろう。こんな演奏ができたらなと思う。
難点は、ヘンな手拍子を叩くおじさんおばさんかな。
大坂昌彦・プレイズ・スタンダード、いいカンジだった。企画としてもいいかも。
Set List:
1st
Straight No Chaser
On Green Dolphin Street
The Nearness of you
Summer Time
2nd
Stable Mates
Wave
There Is No Greater Love
Rhythm-a-ning
encore
Bye Bye Blackbird
In a Sentimental Mood
楽器のコーナー:
ドラム:
YAMAHA Maple Custom Absolute Nouveau 16BD, 12TT, 14FT
YAMAHA Maple Custom Absolute Nouveau 14x5.5
Zildjian K Constantinople Medeum Thin High Ride 22(右)
Zildjian K Custom Left Side Ride 22(左 シズル3個)
Zildjian Vintage K Hihat 14
今月(06/8)のドラマガ参照。大坂ファン必見。セットの色はビンテージ・ナチュラル。全てウッドフープ付き。16のキックは特注。全体にかなりばさばさ、ざらざらした音だった。キックはサスティーンは長いけどボリュームが小さい。これは狙いだそうだ。
スネアもばさばさ。ちょっとピッチが低め。
ハイハットはKジルジャンのオールドらしい。ドラマガではレフトサイド・ライドを右側で使っているとあったが、ちゃんと左で使っていた。現場の状況と曲調を考えてのことだろう。なお、このモデルはピーター・アースキンのプロデュースで、厚さはMedium Thinだ。やっぱりライドは22か。
レガートはかなり柔らかい音だった。ドラマガによると、新しいシグネーチャーモデルのスティックは、メイプルになるそうで、試作品を使っているとのこと。その影響もあるかも。コンスタは結構ピッチが高い。
レガート時は以前よりも親指が反り、肘が上下に動くようになった気がする。
3点セットにシンバルは2枚という最小限セット。少ない点数でボキャブラリー重視ということだそうだ。
スティック・ケースはこれまたピーター・アースキンがプロデュースした、ヤマハの新型だ。組み立てると台になって、上にスティックやブラシが置ける。ちょっといいかも。しかーし、かなりでかいな。
機械式時計に凝っているそうで、アンティークフェアということもあり、うんちくを披露していた。世界初の腕時計はカルティエが作らせたんだって。
ギター:
コンバットのテレキャスターシェイプ。ピックガードレスで、2ハムでボディにバインディングがあるタイプ。割とフュージョン系にあるようなやつ。ホローかもね。音はかなりくぐもった柔らかめの音だった。
アンプはGKの12インチ1発。
ベース:
1800年代のチェコ製だそうだ。