ライブ

98/9/10 辛島文男 4 at 田町 スウィング三田倶楽部

日程:
 98年9月10日(木)
場所:
 田町 スウィング三田倶楽部
メンバー:
 辛島文男(pf), 土岐英史(as), 加藤真一(b), 大坂昌彦(ds)

 今回の「出張行ったらなんか見よう」は、ジャズライフと相談の結果、道下和彦(NHK教育の「ジャズの掟」にもでていたギタリスト)対大坂昌彦で、大坂さんの勝ちであった。ちなみに大坂さんも、「ジャズの掟」のレギュラーだった。

 土岐さんは、チキンシャック、TOKIクラブなどのフュージョンバンドで活躍するかたわら、ジャズ畑でも都内のクラブを中心に活動している。また、ジャンルを問わずいろいろなレコーディングに参加しており、例えば山下達郎のアルバムの常連だ。大坂さんは、日本を代表するドラマーのひとりで、今やジャズ界ではNO.1といってもいいと岡安さん(ギタリスト)がしみじみ語っていた。テクニック、音楽性ともに文句無しだそうである。なお、教則ビデオが3本出ているが、全部持っている。アルバムも、原朋直との連名で何枚かと、純粋ソロも何枚か出ている。これも5枚くらい持っている。また、ドラムマガジンにも連載コラムを持っている。とにかくとてもかっこいいドラマーである。

 このクラブは演奏開始が6:45と早く、2・3ステージも8:15、9:45ときっかりに始まるので、3ステージの半分くらいまでは、いられる。場所は田町駅から徒歩5分なので、最終新幹線へ向けての離脱時間は10:15である。6時半に到着し、大坂さんの左1mの席についた。

 演奏曲であるが、1曲も知っている曲が無い。曲の紹介も無かった。例によって左後方2mの席で、メンバーが話しをしていたが、それによると・・・わからない。ただオリジナルが数曲あるのは確かなようで、大坂さんに辛島さんが「なかなかいい曲じゃない」というようなことを言っていた。いわゆるストレート・アヘッドのスタイルであったが、ブルースは1曲しかなかった。

 土岐さんは、歌うタイプの演奏で、思ったより古典的な印象であった。辛島さんは、やっぱりやや元気がないという気がした。ソロアルバムやピットインで見たような、ぶっとばす感じは少ない。フロントや店にあわせているのだろうか。加藤さんはリズムがニュートラルで、伸びのある音で、落ち着いた演奏である。それに引き換え、大坂さんは飛ばしまくっていた。テクニックは申し分なく、ダイナミクスも大きく、ある時は繊細で行くときゃ行くし、ブラシもまた素晴らしい。しかし、なんかやや乖離しているという感はある。落ち着いたフロントとニュートラルなベース、それに突っ込む激しいドラム。これでいいのか、よくわからない。ピアノはノーマイクで、線が細かったしなあ。そのせいかもね。

 後方2mでメンバーが会話をしていたが、まあ、いわゆる、盗み聞きをしていたわけだ。その中で、大坂さんが最近ロイ・ヘインズにインタビューをした時の話をしていた。チック・コリアの「ナウ・ヒー・シングス〜」のレコーディングの時の話や、音楽に対する考え方の話をしていた。その内容や、大坂さんがドラマガに書いているコラムに書かれていることによると、ジャズ界においては、大御所はアバンギャルドで若手は古典的である傾向が強いということである。ロイ・ヘインズ、エルビン・ジョーンズ、ジャック・ディジョネット、トニー・ウイリアムス、といった大御所たちは、ジャズをリアルタイムに接しその進化とともに歩んできたわけで、そのまま進化をし続けているようだ。ところが、若手は古典芸能のジャズの芸術性を高める作業を行なっているようだ。それもあってか、大御所はタムの数が多いが、若手は3点(キック・タム・フロアタム)の場合が多いとのことだ。これはロックにおいても言えるようで、最近3点セットの若手が多い。池袋のKEYに行ったら、展示しているセット(4セットくらい)はみな3点で、ビンテージ風モデルだった。ロックも古典芸能となりつつあるのかもしれない。いかんなあ。ちなみに、大坂さんのソロアルバムを聴くと、かなり変なリズムの曲があったり、変わったアプローチがあったりで、なかなか斬新である。「TVジャズ」というテレビで流れていた曲(主にアニメの曲)をジャズにアレンジするという企画物にも参加している。辛島さんもソロアルバムを聴くと、古典的という感じはしないのだが。

 ということで、米国の古典芸能(?)であるジャズの、日本のジャズクラブにおける姿をお送りしました。

楽器のコーナー

ドラム:
 セットはたぶんクラブのものの3点セット スネアはヤマハ・メイプルカスタム・ビンテージの5半
 ペダルはヤマハのFP-720 ドラマガのコラムで右足の4分を踏むように言っていたが、確かに軽く音が出ないくらいに踏んでいる。
 また、ブラシの置いてあるフロアをばしばし叩いていた。ブラシがたびたび飛んでいったのは言うまでもない。
 ライドシンバルはメーカー不明だが22インチでシズルが近接して2個 サイドは2枚とも20のジルジャンで、左のサイドにはシズルが3個 ハイハットはKジルの意外や13インチ

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Last Update : 2003/07/18