ライブ

98/9/12 Tower of Power at ON AIR EAST

日程:
 98年9月12日(土)
場所:
 ON AIR EAST(渋谷)
メンバー:
 エミリオ・カスティロ(vo), デビッド・ガリバルディ(ds), ロッコ・プレスティア(b), (key), (g), (tp), (tp), (ts), スティーブ・クプカ(bs)

 久々のライブ鑑賞は、ひたちオーシャンブルー・ジャズ・フェスのチケットを買いに行った時、ついでに買ってしまったTower of Power(以下TOP)である。

 TOPについて説明しよう。30年前に結成されたホーンを主体としたファンク(ソウル)バンドで、全盛期は20年前くらい。メンバーチェンジを激しく繰り返した後、一時活動を停止していたが、再結成され活動再開したのが10年くらい前である。全盛期のリズム体は、ベースがロッコ・プレスティア、ドラムがデビッド・ガリバルディである。ロッコは2フィンガー(指弾き)のみで弾きまくる、マスター・オブ・グルーブの名を欲しいままにした人気ベーシストである。ベースマガジンにも良く登場しており、最近ソロアルバムを発表した。デビッド・ガリバルディは、これまた人気ドラマーだが、あなたが知らないように一般の知名度は低い。しかし米国「モダン・ドラマー」誌の人気投票で何年だか連続して1位に選ばれたことからも分かるように、ドラマーの間では特に人気が高く、村上ポンタ修一、つのだ☆ひろ、神保彰さん、ジェフ・ポーカロなど多くのドラマーがフェイバリット・ドラマーに挙げている。ベース、ドラムの名盤紹介やミュージシャンのフェイバリット・アルバム紹介にはTOPの「バック・トゥ・オークランド」と「ベスト・ライブ」は必ず出てくるのでこの2枚はチェックした方がいい。なお、好きなドラマーはと聞かれたときに、デビッド・ガリバルディ、バーナード・パーディー、ジム・ケルトナーなどの名前を出すと感心されると思われるが、ガッドやウェックルというと馬鹿にされる。スタイルはオークランド・ファンクスタイルと呼ばれるらしい古めのファンクだが、2拍4拍にスネアが来ない曲が異常に多い。これは、デビッド・ガリバルディの得意なスタイルである。なお、再編成TOPにはデビッド・ガリバルディは参加していなかったが、今回復帰した。こりゃ見にいかにゃとなった次第だ。

 渋谷道玄坂にあるドラムショップ「ゲイトウェイ」を出て、ON AIRへと向かった。このライブハウスはホテル街のど真ん中にあり、女性の方で男性と2人でON AIRに行った場合は帰ってはこられないだろう。いわゆる立ち見なので油断していたが、チケットの発券順に整理番号がつきその順に入場させるので、早めに買った方がいい。私の整理番号は640番台だ。おかげでステージはライブハウスにしてはかなり遠く、立ち見のためもありあまり良く見えない。観客は意外に若く、20代が7割くらいいる。再結成後のファンなのか。また、TOPはいわゆるサンプリング・ループのいい素材らしいが、DJばっかりとも思えない。意外とミュージシャン率は低いかなとも思われたが、隣では「あの曲は○○さんが演奏を放棄したんだよねー。どおする?」などと語り合っていた。そうこうするうちにメンバーが登場し、おもむろに演奏が始まった。

 最初の方の曲はおそらく新しめのアルバムに入っているものと思われるが、昔とおんなじ音である。ちなみに、再結成後のアルバムは全くチェックしていない。30分くらい演奏した後、「このショーは結成30周年記念で、なんやかんや、素晴らしい人が帰ってきた、デビッド・ガリバルディだ」とデビッド・ガリバルディが紹介され、「それじゃ、歴史的な曲をやるぜ」ということで昔の曲が始まった。全くおんなじ音である。

 リズム体の格好良さはもちろん申し分無いが、ギターがまたいい。音はジャキジャキの古い音だが、リズムが良くかっこいい。キーボードもほとんどがオルガンだがこれまたよろしい。ホーンもリズムが素晴らしく、トランペットのハイトーンも伸びやかだ。また、テナーサックス兼プロデューサー兼ボーカルのエミリオ・カスティロが客をあおるのがおもしろい。誉めまくっているが、もともとそれほど特別にTOPが好きな訳では無い。しかしこうやって大きな音で聴かされると、ノックアウトされてしまう。こういうファンクチューンはおうちで静かに聴いていてもだめで、やっぱりダンス音楽なんだなとつくづく思った。あなたもボリュームをぐっと上げて、踊ってみなさい。

 何曲か演奏された後、「我々は彼をドクと呼んでいる。みんなもドクと呼んでくれ」とバリトンサックスのスティーブ・クプカが紹介され、バリサクのリフで始まる「スクイブ・ケイクス」が演奏された。この曲ではデビッドのソロも短いながら聴くことが出来た。そこからラストの曲「ホワット・イズ・ヒップ」になだれ込んで、ライブは最高潮を迎えた。アンコールはバラードの「ヤング・マン」(西城秀樹じゃないよ)と「それじゃあ一番新しいアルバムからクールなソウルの曲を演奏するぜ」ということで演奏された知らない曲の2曲であった。しかし昔とおんなじ音である。

 約1時間40分のステージであったが、思ったよりもかなり楽しめた。ステージ後方2階の楽屋から聞こえてくる「聖者の行進」に送られて、帰路に着くのであった。

楽器のコーナー

ドラム:
 ヤマハのメイプルカスタム・ビンテージ。意外なのはクローズハットがセットされ、多用されていたことだ。右14クローズの左13か。サイドスネアにピッコロがセットされていたが、使ったのは1曲のみ。スネアは当然ヤマハのデビッド・ガリバルディ・シグネーチャーと思われるが見えなかった。まあ、セットは借り物だろう。

ベース:
 ナチュラルのフェンダープレシジョン。ロッコって、フェルナンデスのエンドゥーサーじゃなかったっけか。
 アコースティックのアンプ。

ギター:
 テレキャスとストラトで、アームを使うソロのある曲はストラト。7:3位で使い分けていた。どちらもジャキジャキ。エッジが効いてるってやつか。

キーボード:
 ハモンドXB-32、レスリースピーカ、ローランドのローズピアノ(電子) ほとんどオルガンで、たまにピアノ。

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Last Update : 2003/07/18