日程:
99年12月3日(金)
場所:
宇都宮市文化会館大ホール
メンバー:
Chick Corea(pf,marimba), Steve Davis(trombone), Bob Sheppard(fl,ss,ts,cass-cl), Steve Wilson(fl,ss,as,cl), Avishai Cohen(ac-b), Jeff Ballard(ds)
一番好きなミュージシャンは、とよく聞かれる。なかなか難しい質問である。ひとつ挙げるのは困難だ。そういうときはとりあえずチック・コリアと答えている。根拠は「持っているCD枚数が一番多い」である。海外ミュージシャンで一番多く見ているのもチックだし、まあいいんじゃないかと。そのチックがオリジンというバンドで宇都宮に来た。当然行かねばなるまい。
このオリジンは、チックがアコースティックバンドを解消した後に結成され、チックとしては、モンクへのトリビュート・アルバムの次に発表した音源になる。3管に3リズムの構成で、アコースティック・ジャズをやっている。3管のアンサンブルを聞かせるタイプの楽曲が多く、リズムアレンジも凝っている。また、ラテン系の曲も多い。新進気鋭のベーシスト、アヴィシャイ・コーエンとチックとの出会いが、このバンドを成立させたということになっている。アルバムが3枚出ているので買ってみて欲しい。特に「Changes」はお勧めだ。
会場の入りは、7割といったところだろうか。話によると、かなり売れ行きが悪かったらしい。知り合いの音楽関係者で、むりやり頼まれて来たというひとがいっぱいいた。私がチケットを買ったのは文化会館で、発売日に並んだのは5人だった。一番前の中央が売れてしまったのでその次に良さそうだった4列目を選んだのだが、私の前方2列目に余ったチケットを買わされて来ていた音楽関係者がいた。ということは、あらかじめ一般に売り出されなかったチケットがあり、それが残ったということである。ああ、悲しい。次回はどこかに頼んでおこーっと。
ステージにこじんまりとセットされた楽器群は、バス・クラリネットとマリンバ(木琴)が目を引いた。客席がやや暗くなり、メンバーが登場した。チックは太ったねーというのが第一印象である。照明も音響も最小限であった。
曲はすべてオリジンのアルバムから、前半2曲、後半3曲、アンコールが1曲であった。少ないようだが、全員がソロを回すと1曲が20分近くにもなる。しかしよく譜面無しで演奏出来るもんだという、アンサンブルやリズムの難しい曲ばかりだ。3管の和声が美しく、サックスはクラリネット、バスクラ、フルートなどに持ち替え、多彩な演奏を披露してくれた。ベースは相当に期待されている新人らしい。リズムの良さとリズムアレンジのかっこよさはうかがえる。ドラムはチック系でリズムがきっちりしている。ジェフはオリジンの2枚目から参加したが、1枚目のドラム(誰だっけ)より好みである。出だしはブラシかと思いきや、手でスネアをひっかいていた。これは初めて見た奏法である。ソロでもタムやシンバルなどに手をかなり使っていた。しかし、つぎつぎとうまい人が出てくる。
もちろんチックは言うまでもなくかっこいい。
「Little Flamenco」では皆がパーカッションを手にして盛り上げるが、みんなリズムがいいって当たり前か。こういうラテン曲のチックは特によい。「Wigwam」では、練習しているとアルバムのライナーに書いてあったマリンバをチックが披露した。アンコールはミディアムテンポのブルースだが、アルトが1コーラス早く最初のテーマに入ってしまい、照れ隠しなのかそのフレーズをかなりしつこくモチーフにしてソロを吹いていた。でも、ブルースは他の曲に比べて良くない。みんな良くない。ちょっと早い変則ブルースの曲があったが、それは結構良かったのに。なんででしょう。ブルースの呪縛なのかな。
演奏終了後、某ビッグバンドのN氏は、舞台前でドラムセットをながめて「なんであんな音がでるんでしょうね」と語るのであった。
ということで、久々に会った人がいっぱいというコンサートだった。家に帰り風呂に浸かりながら、アルバムを復習するのであった。お供はダイエット・コークとプレイヤー誌であった。
4曲は確実な Set List
Double Image
Wigwam
Little Flamenco
Home
Night〜Awakening
encore
Early Afternoon Blues
楽器のコーナー
ドラム:
ヤマハ・メイプルカスタム・ビンテージ 18BD,10,12TT,14FT キックは最近ヤマハ自慢のフローティングだ。
スネアはメイプルカスタム・ビンテージの14×5
これらはたぶん借り物でしょう。
シンバルはたぶん自分の物で、向かって右から以下である。
14ハット:むちゃダーク
18:ぼろでサスティンが少ない。ひびが入っているし、エッジが欠けていた。
20:音は一番明るい
20:比較的あたらしい新ロゴのジルジャンだがかなりダーク
ということで、全体にかなりダークな音であった。ダークってわかりづらいね。サスティンが短く、高域が出ない音だ。ちんちんちきちんというよりざんざんざかざんという感じ。また、どれにもシズルがいくつか付いている。若手は古い楽器を使って、ベテランは新しめというハナシがあるが、そのとおりという感じ。また、じゃらじゃら系(名前がわかりません)のパーカッションが並んでいた。
あとの楽器はわかりません。ま、ピアノとマリンバはヤマハ。
追記:
このコンサート、あんまり評判が良くなかったようだ。もともとオリジンが不評。わからなくはないけど。確かに、チックらしさってのは希薄かも。ずっと後になるが、でもオリジンいいよねーと守屋順子さんとは盛り上がった?