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ゴルフワゴンニノロウ 〜歴史

 フェルディナンド・ポルシェは、ヒトラーの国民車計画により38年にタイプ1(ビートル)を完成させる。戦後、フォルクスワーゲン社がタイプ1を生産することを目的に設立され、45年に市場にタイプ1を送り込む。以後、03年まで58年の間生産されたが、これほど延々と作り続けられることを当時誰が予想しただろう。50年に商用車であるタイプ2(トランスポーター)がデビュー。タイプ1の後継としては、61年にVW1500(タイプ3)、68年にVW411(タイプ4)がデビューしたが、タイプ1の人気は堅調で、とってかわられることはなかった。

 タイプ4のファストバックは、私のおじが乗っていた。買った直後に駐車場でぶつけられ、補修したリアの色が合ってないのが記憶に残っている。

 しかし、これまでの空冷フラット4をリアに積むというレイアウトでは、ユーティリティや走行性能などに限界がある。VWは水冷エンジンをフロントに横置きし、FF方式を採用した製品を市場に送り込むことを決めた。73年デビューのパサートがその第1弾だ。そして74年、ウォルフスブルグでのタイプ1の生産が中止されると、シロッコがまず発売される。シロッコは基本コンポーネントをゴルフと共用し、クーペボディをまとっていた。そして74年のフランクフルトショーで初代ゴルフが公開された。

 初代ゴルフは優れたパッケージングと性能によって、世界中に大きな影響を与えた。コンパクトなボディはジウジアーロのデザインで、全高を高くとったために室内スペースとラゲッジルームはボディサイズから考えると広大であった。今では常識となっているこの2ボックススタイルは当時としては斬新で、多くのフォロワーを生み、Cセグメントと呼ばれるカテゴリーを作り出した。日本にも導入され、ここ10年はベストセラーになっている。

 3代目ゴルフのデビューは91年秋のフランクフルトショー。ワゴンは93年に追加された派生モデルだ。5ドアのホイールベースはそのままに、全長を320mm延長しラゲッジスペースにあてている。なお、本国ではゴルフ・ヴァリアントと呼ばれる。5ドアは97年に4代目に、03年には5代目にモデルチェンジした。しかし、ワゴンはまだ4代目のまま売られている。

 基本的には5ドアがベースだが、リアサスのダンパーとスプリングの配置が変更されており、荷室の張り出しを小さく押さえている。また、2リッタークラスのステーションワゴンの全長はだいたい4.7m前後だが、ゴルフワゴンは4.4mを切っている。これは1.5リッタークラスのカローラ・フィールダー、ウイングロード、エアウェイブなどとほぼ同じ。コンパクトなステーションワゴンだ。

 日本でのゴルフのイメージは「中流」。当初の代理店であったヤナセの販売政策の成果か。郊外のこじゃれた住宅地でよく見かける。

 現在はフォルクスワーゲン・ジャパン・グループ(VJG)および、トヨタとの合弁であるDUOで主に販売されている。

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Last Update : 2005/10/28