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ユーノス800ニノロウ 〜私のユーノス800

 03年秋に購入。

○キーワードは「10年基準」

 10年の間はその価値がもつよの意。その名の通りに10年間売り続けられた。







○V6搭載のFF中型セダン

 北米市場向けなだけに、サイズは4825x1770x1395とデカイ。エンジンはV6で、2.3リッターのミラーサイクル+スーパーチャージャーと、2.5リッターの自然吸気(NA)の2通り。後に、2リッターV6が廉価版として追加される。私のは、革シートと16インチタイヤをおごったMC-Vというグレードで、オプションのダブル・エアバッグ(当時は標準では無かった)、サンルーフ、ソーラー・ベンチレーション、4WSなどが装着されており、売価は500万近くになる。こんなの、よく買うヒトがいたな。

○ミラーサイクル・エンジン

 量産車では世界初。通常のガソリンエンジンはオットーサイクルだが、それに比べて膨張比が高いのが特徴だ。仕組みは簡単で、吸気弁が閉じるタイミングが遅いだけである。膨張比が高く効率が良いため燃費がよいとされているが、排気量当たりの出力が小さい。ユーノス800ではスーパーチャージャーを組み合わせることでこの欠点を補い、2.3リッターながら220馬力を絞り出している。プリウスやエスティマ・ハイブリッド、ティーノ・ハイブリッドなども同じ方式のエンジンだが、トヨタはミラーサイクルという用語を避け、以前は「アトキンソン・サイクル」現在は「高膨張比サイクル」と呼んでいる。

 本来の「アトキンソン・サイクル」は複雑なリンクを使い、吸気行程よりも膨張行程のストロークを大きくすることで高い膨張比を得ている。それを簡単にしたのがミラー・サイクルだ。バルブタイミングを変えるだけだから、フツーのエンジンをミラーサイクルにするのは簡単ではないかと思ってしまうが、そのままだと混合気が少ないため圧縮比が低くなってしまう。圧縮比を通常のエンジンと同等にするため、燃焼室がストローク方向にコンパクトになっているのだ。つまり、バルブタイミングの変更機構だけではミラー/オットー可変というのは実現できない。

○リショルム・コンプレッサ式スーパーチャージャー

 市販車のターボチャージャーやスーパーチャージャーのほとんどは、ルーツ・ブロアーと呼ばれる方式だが、ユーノス800ではリショルム・コンプレッサが採用されている。この方式は高効率で、特に高回転時の圧縮性能が優れている。性能はいいのだが、加工精度を要求されるためにコストが高い。マツダはこいつのために、わざわざIHIに開発させている。NAに比べミラーサイクル・エンジン搭載車の価格が大幅に高いのはこいつのせいだ。なお、メルセデスのSLKもこのタイプで、こちらもIHI製だ。

 なお、インタークーラーを装備し、冷却用の水噴射もある。すごいな。

 おかげでかなりパワフル。

○前後マルチリンク・サスペンション
 サスペンションは専用設計で、他に流用されていない。なんてバブルな・・・。デビュー当時、FFでリアがマルチリンク式なのは珍しかった。そのため、当時それ関係のあれな仕事をやっていた関係で、サスペンション関係の測定を行った。インホイールタイプのダブルウィッシュボーン変形で、アームはアルミ製。ラバーマウントされたサブフレームに懸架されている。

 ロードノイズが悪いな。(--;)

○ヨー感応式4WS
 4WS(four wheel steering)というのは、その昔に流行った後輪も操舵する仕掛けである。低速時は小回りが利き、高速時はスタビリティが高い。ユーノス800はデカイ割りに最少回転半径は5.0m(4WSナシは5.7m)と、ひとまわり小さいユーノス500よりも回転半径が小さい。

 ヨーというのはクルマが向きを変える方向の動きで、その速度をヨーレイトという。簡単に言えば曲がる速さで、もちろん食べられない。ヨー感応式は、このヨーレイトを検知して後輪の操舵量を修正するって仕掛けだ。高速旋回スタビリティのコントロール性に優れている。スカイラインGT-RのスーパーHICASなんかもこの方式だが、コストが高くかなりの少数派だ。しかし、このクルマに必要か?

 で、実際に乗ってみると大舵角時はかなり違和感がある。4WSであることよりも、パワステのアシスト制御がうまくないコトの方が大きいかも。

○アルミボンネット
 初期型のボンネットはアルミだった。ノーズが軽くなり回頭性(曲がりやすさ)がいいらしい。私のは残念ながら鉄。しかし、このクルマに必要か?

○ハイレフコート塗装
 ぐるぐる回しながら焼き付けるらしい。きれいらしい。私のはディープグリーンマイカ。

○ソーラー・ベンチレーション・システム
 サンルーフに太陽電池が仕込んであり、その電力を使って換気を行うことで、夏場の室温上昇を低減するという仕組みだ。換気しないときはバッテリーのチャージに使える。

○テレスコピック・ステアリング
 チルトが無くシート高でポジションを合わせるという、昔の欧州車に多いタイプ。

○左右非対称ドアミラー
 メルセデスのまねっこ。対米仕様もあるのに贅沢な。

○オルガンタイプのアクセル・ペダル
 メルセデスのまねっこ。

○本革シート
 グレーでなかなかシック。前席は電動で運転席側のみ高さ調整付き。

○BOSEサウンドシステム+CDチェンジャー
 スーパープレミアムオーディオという名前が付いている。5スピーカーで、5個目はインパネの上に付いている。なかなか音は良く、このまんまでいいやというカンジ。

○その他主要装備
 両席エアバッグ、ABS、TRC(トラクション・コントロール)、クルーズ・コントロール、電波式キーレスエントリー、16インチアルミホイール、などなど。MC-Vはフロントブレーキのサイズがひとまわり大きく、16インチ専用で15インチがはいらない。タイヤが高いぜ。(T_T)

 装備から考えると「スポーティー・セダン」ということになりそうだ。

 しかし、専用部品ばっかりだ。バブル期のマツダはかなりおごった設計をしており、例えばマツダに勤務していた後輩によると、ユーノス500のトランクリッド・オープナーのノブは専用だそうだ。で、パーツで頼むとかなり高いとか。800のオープナーは、トランク・フューエルともわざわざ電動。専用かな? ミレーニアはこの間まで作ってたから、大丈夫かな。

 相当に開発費をつぎ込んだと思われる。こんな売れないクルマなのにね。ご苦労様ってカンジだが、ヒトのことは言えない気もする。

 ということで、かなーりバブリーというかオタッキーな装備を持っている。私向きかも。

'96 EUNOS 800 MC-V (ユーノス 800)

サイズ:      4825 x 1770 x 1395mm
ホイールベース:  2745mm
トレッド:     FR 1520 / RR 1520mm
車両重量:     1560kg
エンジン:     水冷V型6気筒DOHC24バルブ ミラーサイクル 2254cc
          リショルム・コンプレッサー式スーパーチャージャー
          出力:220ps 最大トルク:30.0kgm    
サスペンション:  FR マルチリンク / RR マルチリンク
ブレーキ:     FR ベンチレーテッドディスク / RR ディスク
タイヤ:      215/55R16 RX-7の5スポークアルミホイール
カラー:      ディープグリーンマイカ
主要装備:     4WS、両席エアバッグ、サンルーフ、革シート、
          スーパープレミアムオーディオ、HDD/DVD ナビ

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Last Update : 2003/11/04