解説

カバーを考える 〜その1 槇原敬之

 「槇原敬之」というパッケージ商品は結構好きだ。メロディがきれいだし、アレンジのセンスが好みだ。これで歌詞を何とかしてくれればなと痛切に感じる。この間も、槇原が好きという女の子がいて、おおお、これは、と思ったけど、世界観がいいっていうんだよね。好きなのはそれ以外だっての。

 さて、本アルバムだが、選曲がかなり微妙だ。しかしながら、割と好きな曲が多く親近感が持てる。アレンジはまさに槇原敬之で、すっきりしていてよい。とはいえ、曲に合っているかというとどうかなと思うものも多い。

 いいなと思うのは「春よ、来い」「空と君のあいだに」だ。これらはもともとの歌唱がねちっこく、槇原のすっきりした歌声に好感が持てる。いまひとつなのは、「ミス・ブランニュー・デイ」か。この曲はJ-POPS史上、十指にはいる名曲だと思っている。曲がいいし、オリジナルの疾走感のあるアレンジが素晴らしい。この曲はパルスが命だとおもっているので、槇原すっきりアレンジだと良さが生かされない。また「MONKY MAGIC」もおどろおどろしくないといかん。原曲のイントロとなっている「Birth of Odyssey」が無いとさみしい。

 まあ、こういうのは原曲と比べるのはナンセンスなのかも知れないな。他人の曲を題材に、そのアーティストの音楽を作るのだから、原曲のイメージを捨てた方がいいかも知れない。と、考えれば、うまいことトータル・コーディネートされており、よくプロデュースされた好盤といえよう。

 おぼろ月夜をシングルカットしてたら、古時計くらい売れたかな。

Listen to the Music / 槇原敬之 1998
 蒼い月の夜〜Lady In Blue〜
 海と少年           大貫妙子
 秋の気配           オフコース
 Rain             大江千里
 ミス・ブランニュー・デイ   サザンオールスターズ
 君に、胸キュン        YMO
 David             矢野顕子
 朧月夜            (文部省唱歌)
 春よ、来い          松任谷由美
 MONKY MAGIC         ゴダイゴ
 空と君のあいだに       中島みゆき
 月の船            池田聡

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Last Update : 2004/03/19