活動

ドラムマガジンのコンテスト '98

 毎年、夏にドラムマガジンという雑誌の主催で、誌上ドラムコンテストというのが行われる。雑誌にCDが付いてきて、オケとクリックが入っている。これにドラムをのせて編集部に送り、競い合うという形式のものだ。今年のはまだ間に合うので、みんなも応募しよう。まずはドラマガ7月号をゲットだ。

 過去の記録を紹介する。まずは1998年。この年が初の開催だ。


 これはあるいたいけな好青年がドラムコンテストに応募し、海の藻屑と散るまでの記録である。

準備編

 (当時やっていたバンド)で録音を行なったが、ドラムの出来が不満である。それは、演奏技術もさることながら録音に関するノウハウが不足していると思われる。今後を考えるとやはり、スキル向上を図る必要があるだろう。

 題材は、98年7月号のドラムマガジンに掲載されたドラムコンテストとする。なお、締め切りは9月30日消印有効である。急がねば。

 まず、録音場所の確保である。スタジオ・アコースティックに個人練習というシステム(600円/1h)があるが、それで録音が出来るかどうか電話してみると、可能であるとのこと。マイクも1時間200円で貸してくれる。今回は4本使うので、1時間あたり1,400円ということになり、結構かかってしまう。マイクはハードディスクレコーダー(HDR)につなぐのであれば持ち込みも可ということだ。購入も考えてはいるが、SM57が15,000円とすると元を取るのに75時間かかる。とりあえず借りることにする。

 続いて、ドラムマガジン付録のCDからHDRに落とす作業である。私が使っているローランドVS-880旧型は同軸コアキシャルしかデジタル入力が無いので、光 to 同軸のコンバーターを買ったのだが、コアキシャルのケーブルを買い忘れている。インピーダンスのマッチングから専用品を使うよう勧められているが、そこらにころがっているフツーのケーブルを使用した。コネクタの規格がRCAピンなので、とりあえずつながる。試した所、音質は劣化しているかもしれないが録音は出来た。これでいいことにするいいかげんな私であった。トラック割りは、オケを7チャンに、クリックを8チャンに入れた。

 課題曲は2曲で、「Song for Juice」と「Song for Juju」というタイトルだ。応募は2曲でも、どちらか1曲でも構わない。「Juice」の方がテンポ120くらいのファンクチューンで、途中にドラムソロを入れるスペースがある。「Juju」はテンポ86くらいの、ミディアムからやや速いバラードという曲調である。プロドラマーによる模範演奏もCD入っている。一応構成は憶えた。リハーサルをやっていないが、まあいいかといういいかげんさである。これが後に死を呼ぶことを、この時はまだ知らない。

 最後に、録音計画の立案である。といっても、決めたのはマイクの使い方とトラック割りだけである。マイクはトップ2本とスネア、キックの4本。トラックは1から4に入れる。あら、これだけかい。VSはヘッドホン出力が小さく、密閉のヘッドホンを使っても音質のモニターはきびしいので、現場での音決めはなるべく避ける。ヘッドホン出力は新型で改善されているらしいな。ホントはアシスタントがいるといいなとは思うものの、前回のアシスタントは・・・だったので頼るのは自分だけにした。よって、基本的に録るときはノー・エフェクトとして、処理は後でやることに決めた。

 Xデイは9月17日である。


録音編

 17日は有休であった。その日の12時ごろアコースティックに電話してみると、ばっちり空いている。ちなみに個人練習は前日からしか予約が出来ない。とりあえずCスタジオ(一番小さいとこ)を3時間借りることにした。

 2時にスタジオに入りセッティングを始めた。シンバルはすべて持ち込んだ。また、スタジオの楽器にありがちなノイズの発生もあったが、キックのレッグにボルトがガムテープで止められているのを発見し解決した。マイクとHDRの設置、ドラムのチューニングを終えるとすでに30分以上が過ぎていた。

 続いて音決めである。ところが、やはりヘッドホンの外から入ってくる音が大きく、リアルタイムでのモニターは不可能だ。まったくもって、ヘッドホン出力が小さすぎる。仕方が無いので、とりあえず録音して音を聞いてみた。ううむ、よく分からん。スネアがボケ気味なので、少し近づけた。トップはこんなもんかなあ。マイクの位置を決めたところで、すでに1時間近く経過している。

 続いて演奏の録音である。まずはバラード系の「Juju」から始めたのだが、難しい。やりづらい。いやなテンポである。イントロの導入に悩み、Aメロをハイハットを8分か16分か悩み、サビへの持っていき方に悩みと試行錯誤するうちに時間はどんどん過ぎるのである。かつ、演奏がへたくそだ。プレイバックするとなんじゃこりゃの確実性の無さである。リハーサルをきちんとやっとけば良かったと思えど後の祭りだ。時間も無いので仕方なくバーチャルトラックを利用して5テイク録音して、次の曲に移った。

 続いて「Juice」である。これは比較的得意めな曲調であるが、問題は曲の最初のピックアップソロと中間の16小節のソロである。へたくそなのだから、あらかじめソロを作っておけばいいのに、その時の気分でやるという神をも恐れぬ手法を取ってしまった。ベーシックなリズムをさっさと録ってしまって、ソロパートを繰り返し録るが、なかなか粒がそろわない。16小節もやると、必ずどこかひどい所が出来てしまう。そうこうするうちに時間が来てしまったので、仕方なくもう1時間延長することにした。

 コーラを飲み休憩を取り、再度録音作業を開始した。この最後の1時間で「Juju」を2テイク、「Juice」のリズムを1テイクとイントロ、ソロを5テイクずつ録った。休憩前に録ったものと合わせて「Juju」が6テイク、「Juice」のリズムが2テイクとイントロ、ソロが5テイクキープされた。それにしても、出来は悪い。失意のうちにおうちへ帰る私だった。

 結局、現場での一番の問題は演奏力であった。当たり前といえば当たり前である。

今回の教訓:
 レコーディングの前に、リハーサルは入念にやりましょう。


編集編

 下から読んでも編集編。

 いよいよ編集作業に入る。まずは、トラックを選ぶことから始めた。何テイクか残したので、それらを聴いて使えるテイクを選び、さらに必要であれば各テイクのいい所を集めつぎはぎをやるのだ。

 しかして聴いてみると、これがまたひどいね。よくこんなに使えないテイクを集めたもんだという感じである。それでも無理矢理選んだのだが、すべて最後の1時間に録ったテイクだ。リハーサルの重要性をさらに痛感した。「Juju」(バラード系)は一番最後のテイクを基本に、サビは最後から2番目のテイクを繋いだ。「Juice」はやはり最後のテイクを使い、イントロのピックアップとソロを選んで繋いだ。しかしソロは、飲みすぎでろれつが回らないデイブ・ウェックル、という風になっているな。(--;) また、このつぎはぎ作業だが、コピーアンドペーストでただ繋いだだけだと、つぎあとがよく分かってしまう。自動的にゼロクロスで繋いで欲しいと思った。また、クロスフェードで繋ごうかとも思ったが、めんどくさいので我慢してしまった。

 続いて、問題のエフェクト処理である。まずはとりあえずでっちあげるということで、「トップ基本、スネア・キックは補助」という作戦NO.1でいってみることにした。難しめの作戦は、後でやることにし出来を比べることにしよう。

 まずはトップのコンプレッサーをかけるところから始めたが、そこで気付いたのはSNの悪さである。なぜかって、そう、エアコンがかけっぱなしなのである。そんな暑い所で録音なんてやってられないのだ。前記のごとくリハーサル不足で、ちょちょいと録れるわけではない。SNよりも演奏性を重視した私である。また、このコンプレッサーの加減が良くわからない。ハイハット頭落ち現象が出ないように、浅めにこんなもんかなというくらいにかけた。また、ややハイファイ感に欠けるので、エキサイターをちょこっとかけてみた。なお、キックを切るために下を切るのも試したが、タム類が鳴らなくなるのでハイパスはカットオフを低めにし、効きもかなり浅くした。

 次にスネアだが、こんなにぼけぼけの音が入っているとは思わなかった。EQしてもあまり改善されないし、エキサイターもイマイチである。補助で使うのであれば、アタック感とやや長めの音価が欲しい。結局ゲートリバーブを使ってみた。コンプレッサーで音をそろえて、ゲートリバーブの密度で音価を調整してみた。キックも同じ手法にしてしまった。ミュートが浅めのぷんという感じがやや出ていると思う。

 これにリバーブを適当にかけて、オートミックスを作って、作戦NO.1は終了である。トータルコンプもなし。というのも、今回はトラックに余裕があるのでステレオミックスを作ってないからだ。出来上がりはイマイチで、なんとなくダイナミックレンジが小さいなあという感じになってしまった。それよりなにより、演奏がひどいのだ。

今回の教訓:
 エフェクトは試行しないとわからない(5・7・5)


結果編

 落選したのは言うまでもない。

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Last Update : 2003/07/09