これを聞こうA-Z

Collaboration / George Benson & Earl Klugh

Collaboration / George Benson & Earl Klugh
(コラボレーション / ジョージ・ベンソン&アール・クルー 87年)

メンバー:
 George Benson(g), Earl Klugh(g), Marcus Miller(b), Greg Phillinganes(key), Harvey Mason(ds), Paul Jackson Jr.(g), Paulinho Da Costa(perc)

収録曲:
  Mt. Airy Road / Mimosa / Brazilian Stomp / Dreamin' / Since You're Gone / Collaboration / Jamaica / Romeo & Juliet

 最近、ソフトなフュージョン、スムース・ジャズといった音楽を聴く気になれない。方法論的に厳しい状況にあり、新しいものは生まれて来そうもないと思っている。このフォーマットでは、昔の名曲にかなう楽曲は生まれづらいだろう。

 CDの整理をしていて、ふと聴きたくなったのがこのアルバムだった。初期のアール・クルーは結構好きだ。フュージョン的な技法を使ったリズム、ハーモニーに楽器、それに乗っかるガット・ギター、というフォーマットが良かった。「フィンガー・ペインティング」は、ぜひ聴いて欲しい。しかしながら、すでにアイデアが出尽くしており、もはやアール・クルーの新作をチェックすることは無くなった。ジョージ・ベンソンの方は、フュージョン技法+フルアコ+スキャットというスタイルだ。これまた、何枚かはいい作品がある。

 となると本作は、フュージョン技法+ガット・ギター+フルアコ+スキャットというフォーマットだ。このコラボレーションを考えたのは誰なんだろう。想定だけだと相乗効果は、はなはだ疑問だ。結果的には成功を収めてはいるが、これでいこうというアイデアは、なかなか実現まで持っていきづらいだろうな。

 音作りはどフュージョンで、ほぼ完成型に達している。ちょっとデジタルくさいけど、秀逸なキーボード。ギタリスト2人のアルバムなのに、リズム・ギターにポール・ジャクソンJr.を起用して、鉄壁のリズム体を構成している。ベースはマーカス・ミラーだ。こういう楽曲での彼の存在感は抜群だ。リズムが素晴らしくいい。

 で、ドラムはハーヴィー・メイソンだ。聴く前には、ヴィニー・カリウタと記憶していたのだが、なんだか違うカンジ。カルロス・ヴェガあたりだっけかなととクレジットを見ると、ハーヴィーなんだよね。

 わりとハーヴィー・メイソンは好きでない。ドラマーとしてのアプローチが好みでない。このアルバムの楽曲だって、かなり独特のアプローチだと思う。例えばタイトルチューンの「コラボレーション」を聴いて欲しい。このオケがあって、ドラムを入れてくれと言われたら、こんな風に叩くだろうか。ヴィニーやガッドやデイブ(ウェックル)が、こうは叩かないよね。私でも叩かない。

 しかしながら、音楽トータルではこれでいいのかなと思う。確かにすっきりしたリズムの仕上がりになっており、聴きやすい。マーカスの良さも引き立っているし。こういったアプローチも、参考にしないといけないな。そう考えると、もうちょっとキーボードも整理したいな。デジタルくさすぎるし。

 ということで、ハーヴィー・メイソンの引きのドラムを堪能して欲しい。

banner
Last Update : 2009/03/17