これを聞こう A-Z 第2回:B = Brecker Brothers
Straphangin' / Brecker Brothers
(ストラップハンギン / ブレッカー・ブラザーズ 81年)
メンバー:
Randy Brecker(tp,flh), Michael Brecker(ts), Barry Finnerty(g), Mark Gray(key), Marcus Miller(b), Richie Morales(ds)
収録曲:
Straphangin / Threesome / Bathsheba / Jacknife / Why Can't I Be There / Not Ethiopia / Spreadeagle
ブレッカー・ブラザーズ(以下BB)はその名の通り、ランディ&マイケルのブレッカー兄弟のユニットである。レコーディングで売れっ子だった彼らが、スタジオワークでかせいだカネで自分たちのやりたいことを始めたという、否定的なイミでなくありがちなパターンである。ややハード目のフュージョン/ファンクで、ランディの書くちょっと変わったメロディラインと、2管のおどかし、マイケルのかっこいいソロが聞き物である。74年から81年までに6枚(ちょっとBBとは言い難いものがその前に1枚)のアルバムを発表し、この「Straphangin'」を最後に活動が凍結されたが、92年に復活して2枚のアルバムを出している。復活ツアーのヨーロッパ公演はデイブ・ウェックルが叩いているのだが、WOWOWで再放送してくれないかな。
通常BBというと、ソリッド・ブラス、SIAトリオ(私のバンドです)などの名演で有名な「Some Skunk Funk」が収められており、テリー・ボジオらが参加している「Heavy Metal Be-Bop」というアルバムが推薦されることが多いのだが、自分はこの「Straphangin'」の方が好きである。いかにも16ビートなリッチー・モラレスとマーカスのリズム体がいい。曲名が「エチオピア」だという噂があったのを聞いた音楽雑誌記者が「あの曲のタイトルはエチオピアですよね」とランディにたずねたら、「いや、それはエチオピアではない」(No, it is not Ethiopia)と答えたのでこんな変な曲名になったという逸話が有名な名曲「Not Ethiopia」や、SIAトリオの名演で有名な「Jacknife」が収録されている。「Not Ethiopia」のリフはギタリストにとってよいトレーニングになるので、コピーしよう。
弟のマイケルの方が一般に評価は高いのだが、やはりランディの曲作りがBB最大の魅力だと思っている。へーんなメロディなのだが、ランディの手による2管のアンサンブルとキーボードのアレンジは絶妙である。ワウワウ・ペダルを通してギター・アンプを使うというスタイルもいい。
マイケルの近年の作品はあまり好きでないし、ソロのスタイルは随分と変わってきている。70〜80年代はばりばり吹きまくり、トレードマークとなっていた変え指フレーズを初めとする手癖だらけで、誰が聞いてもマイケルというプレイだったが、最近は比較的オーソドックスな演奏になっている。現在の方が音楽的評価は高いのだが、むかしの個性的なプレイが好きだった。確かにあれだけでは音楽シーンに残れないというのは理解できるが、ちょっと寂しい。なお、マイケルはBB凍結後、マイク・マイニエリが率いるステップス(アヘッド)というバンドで活動していたので、そっちも聞いて欲しい。
しかしながら、ランディはランディでソロアルバムはなんとなく今ひとつである。トランペットのみのメロディラインは、やや説得力に欠ける。そう考えると、BBは二人のいいとこ取りだったようだ。
ということで、ランディの絶妙な曲作り・アレンジと、マイケルの初期型ソロを楽しもう。
Discography
1968 Score(通常BBのアルバムとしてカウントされない)
1974 Brecker Brothers
1975 Back To Back
1976 Don't Stop The Music
1978 Heavy Metal Be-Bop
1979 Detente
1981 Straphangin'
1992 Return Of The Brecker Brothers
1994 Out Of A Loop
選外:
Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band / The Beatles(ビートルズ)
「ビートルズでなにか」と聞かれたときに、このアルバムを推薦してはいけない。とはいえ、英国のアンケートで人気NO.1アルバムに選ばれたそうな。わかんねー。
Portrait in Jazz / Bill Evans(ビル・エバンス)
美しいピアノを。ビル・エバンスでは一番好き。
Boston(宇宙の彼方へ) / Boston(ボストン)
デビューのインパクトが大きかった。音がいい。曲もいい。
Middle Man / Boz Scaggs(ボズ・スキャッグス)
圭曲ぞろい。演奏はおおむねTOTO。
Random abstract / Branford Marsalis(ブランフォード・マルサリス)
初期の圭作。ここからドラムはジェフ・ワッツ。ドライブしてる。
Feels Good to Me / Bruford(ブラッフォード)
ホールズワースがいい。曲もいい。とはいえ、ビル・ブラッフォードのドラムはあんまり好きじゃないな?