これを聞こうA-Z

第4回:C = Chaka Khan

Destiny / Chaka Khan
(ディスティニー / チャカ・カーン 86年)

メンバー:
 Dann huff 他(g), Mercus Miller, Anthony Jackson 他(b), Steve Ferrone, Phil Collins 他(ds) , Philippe Saisse 他(key), Michael Brecker, Sam Rivers 他(ts), Randy Brecker 他(tp), Scritti Politti

収録曲:
 Love Of A Lifetime / Earth To Mickey / Watching The World / The Otherside Of The World / My Destiny / I Can't Be Loved / It's You / So Close / Who's It Ganna Be / Tight Fit / Coltrane Dreams

 チャカ・カーンはパワフルでソウルフルな歌声が魅力の、黒人女性ボーカリストだ。73年にルーファスに参加したのが最初の大きなキャリアになる。このバンドにおいて、5曲のNO.1シングル、2つのグラミーを獲得するなどの成功を収める。アシュフォード&シンプソンの手による「I’m Every Woman」のヒットでソロ活動を開始し、78年に1stソロ「Chaka」をリリースする。ソロにおいても成功し、ビッグ・アーティストの仲間入りを果たす。84年に発表されグラミーを取った「Feel for You」でコンビを組んだプロデューサー、アリフ・マーディンを全面的に起用して製作されたアルバムが、この「Destiny」だ。

 アリフ・マーディンは70〜90年代に活躍したプロデューサーで、手がけたアーティストは、Average White Band, Anita Baker, the Bee Gees, Judy Collins, Phil Collins, Roberta Flack, Aretha Franklin, Hall & Oates, Donny Hathaway, Melissa Manchester, Manhattan Transfer, Bette Midler, Modern Jazz Quartet, Willie Nelson, John Prine, Dusty Springfield などなどと、ビッグネーム揃いだ。特にScritti Polittiの2枚目「Cupid and Psyche '85」は、斬新なサウンドで大きく注目を集めた。

 このアルバムの1曲目「Love of Lifetime」は演奏も含めそのスクリティ・ポリッティ作で、まさにスクポリなシンセサウンド、切れのいいギターとマーカス・ミラーのベースと最高である。タイトルチューンの「My Destiny」がまたかっこいい。完璧なアリフ・サウンドだ。私はその昔、打ち込み+ボーカル+楽器少々という構成のバンドをよくやっていた。そのひとつにM'S(読みは「えむず」。通常イニシャルをとってバンド名としていた。Mさんは今や*児の母。元気かな。)という打ち込み+女性ボーカル+私のギターというバンドがあった。ここで「My Destiny」をやったことがあるのだが、たった1回しかお披露目していないのが残念だ。この曲の打ち込みはSY-77一発でやったのだが、これがかっこいいのよ。自画自賛。ベースはいわゆるDXベースなのでSYにまるはまりだし、ブラスその他もうまくエディットできた。これは私のDTM史上最高傑作なのである。ああ、誰かに聞かせたい。

 改めてクレジットを見直してみると、発見がかなりある。「Watching the World」はマイク・ラザフォードのプロデュースでドラムがフィル・コリンズ。ちょこっとだけ出てくるブラス隊にはブレッカー・ブラザーズが入っている。「My Destiny」のアレンジはフィリップ・セスで、全部打ち込みだと思っていたら、どうやらスネアとハイハットはスティーブ・フェローンだ。さらに、ベースはほとんどDXシンベなのだが、ちょっとだけエレベかも知れないなというところをアンソニー・ジャクソンが弾いていた。最後の「Coltrane Dreams」はまさにコルトレーン風のアドリブなのだが、コルトレーンの次の次のマイルス楽団におけるテナー・サックス奏者であるサム・リバースの演奏だった。ああおそろしい。むちゃむちゃ金がかかっており凝りに凝ったサウンドだが、セールスは前作の「Feel for You」より悪かったのだった。

 この豪華な顔ぶれのせいかどうかはわからないが、チャカのアルバムの中ではなぜかディスティニーだけ再発が遅れた。そのためか、レンタルショップではあまり見かけず、駅東のTSUTAYAでもこのアルバムだけぽかりと無いのである。

 打ち込みと生楽器のコンビネーションが抜群。アレンジのセンスは最高。歌もいい。このアルバムは買うしかないよ。他には「what cha' gonna do for me」(恋のハプニング)「I feel for you」(フィール・フォー・ユー)も要チェックだ。

Discography

Rufus〜
 1973 Rufus
 1974 Rags To Rufus
 1974 Rufusized
 1975 Rufus featuring Chaka Khan
 1977 Ask Rufus
 1978 Street Player
 1979 Masterjam
 1981 Camouflage
 1983 Stompin' At The Savoy

Solo〜
 1978 Chaka
 1980 Naughty
 1981 What Cha' Gonna Do For Me ?
 1982 Echoes Of An Era
 1982 Chaka Khan
 1984 I Feel For You
 1986 Destiny
 1988 C.K.
 1992 The Woman I Am
 1998 Come 2 My House


選外:

 Take It Of / Chic(シック)
  シックはこれが一番好き。シンプルなリズムとコード進行でこれだけかっこいい曲が作れるのだ。

 Over the Top / Cozy Powell(コージー・パウエル)
  ドラムはさておき、ゲイリー・ムーア、ドン・エイリーがいい。曲がいい。

 Horizon(緑の地平線) / Carpenters(カーペンターズ)
  初めて買ったLPレコード (^^ゞ だ。アルバムとしての構成がいい。

 Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach(クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ)
  トランペットの音がいい。リズム体とのコンビネーション

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Last Update : 2003/06/24