これを聞こうA-Z

第5回:D = Deep Purple

Made in Japan / Deep Purple
(ライブ・イン・ジャパン / ディープ・パープル 72年)

メンバー:
 Ian Gillan(vo), Ritchie Blackmore(g), John Lord(org), Roger Glover(b), Ian Paice(ds)

収録曲:
 Highway star / Child in time / Smoke on the water / The mule / Strange kind of woman / Lazy / Space truckin'

 ディープ・パープルは、ぎりぎりリアルタイムである。パープルを聞き始めたのが75年くらいからで、4期のカム・テイスト・ザ・バンドが75年、解散が76年夏。トミー・ボーリンが年末に25才で夭逝し、ラスト・コンサート・イン・ジャパンが77年の発表だ。ラスト〜は発売と同時に買ったのだが、大いに失望した記憶がある。

 高校の頃のアイドル・ギタリストは、まずジェフ・ベック、次にリッチー・ブラックモアだった。なかなかベックをやる機会はなく、パープル・レインボー・ツェッペリンなどのコピーをやっていた。ギターはベックにあこがれて買ったグレコの白のストラトだ。当時、リッチーも白のストラトだった。ハードウェアはリッチーの影響が大きく、マネをしてセンターピックアップを取り払っていた。まあ、スキャロップはやらなかったけどね。ピックはリッチーのようなホームベース型のものを使っていた。ナカノのリッチーモデルやヤマハのシステム・ピック、当時はまだ手に入った本べっこうなどだったが、本べっこうのピックは削れると独特の臭いがした。と、昔話はこんなところで。もう誰も読んでないかも知れないな。

 初めてパープルを聞いたのはこのアルバムで、その衝撃は実に大きかった。ホントよくできてるアルバムだ。どの曲も入りがかっこいい。アルバム冒頭からハイウェイ・スターにはいっていくところや、スモーク・オン・ザ・ウォーターのイアン・ギランのMCからギターのリフへのつながり。レイジーやスペース・トラッキンのイントロ。どれをとってもライブの醍醐味を再現している。また、いわゆるインタープレイってやつがすばらしい。若い頃はアドリブが出来なくて、どうしたらこんなことが出来るのだろうと思ったものだ。レインボーも愛聴盤はオン・ステージだったように、リッチーの真価はライブで発揮されると思う。スタジオで作られた素材が、ライブで作品に仕立て上がるのだ。

 高校時代はおろか、今までの生涯でも一番聞いたアルバムじゃないかな。

 本アルバムのライブ・レコーディングは、大阪のフェスティバルホールと東京の武道館の3日間の公演において行われ、そこから抽出してできたのがこのアルバムだ。また、3日間のすべての演奏が収められている完全版が、CD3枚組で出ている。これを聞くと、どのようにこの名盤が作られたかがわかる。テイクの選択とエンジニアの仕事がいかに重要であるか思い知らされるだろう。かなりしょぼい演奏が多いのである。

 ところで、パープルとツェッペリン、あなたはどっちが好きですか? ちなみに、ツェッペリンは全部CDで持っているが、パープルはほとんど無い。高校時代もこのライブ・イン・ジャパンと3期の2枚の3組しかほとんど聞かなかったし、ファイアーボールやイン・ロックといった2期のスタジオ盤はあんまり好きじゃない。また、一般にはツェッペリンのほうがマニア度が高く、パープルが好きというとバカにされがちである。ツェッペリンはボンゾが死んで活動が止まったのも、伝説となるのに有利に働いている。現在のロバート・プラントやジミー・ペイジの状況を考えると、活動し続けていたらやばかったかも。

 少なくとも、パープルとツェッペリンの中でベストを挙げるなら、このアルバムである。また、ほとんどのドラマーはジョン・ボーナムの方を支持するが、スピード感あふれるイアン・ペイスの方が好きだ。

 ロックの歴史を知る上でも必聴盤である。アナログ時代は2枚組だったが、CDなら1枚でお買い得だ。

 しかし、ジョン・ロードも脱退してしまった。それでパープルと言えるのか?

Discography

1期
 1968 Shades of Deep Purple
 1968 The Book of Taliesyn
 1969 Deep Purple
2期
 1970 Concerto For Group And Orchestra
 1970 Deep Purple in Rock
 1971 Fireball
 1972 Machine Head
 1972 Made in Japan
 1973 Who Do We Think We Are
3期
 1974 Burn
 1974 Stormbringer
 1976 Made in Europe
4期
 1975 Come Taste the Band
再編2期
 1984 Perfect Strangers
 1987 The House of Blue Light
 1988 Nobody's Perfect
5期
 1990 Slaves & Masters
再々編2期
 1993 The Battle Rages on...
7期
 1996 Purpendicular
 1998 Abandon


選外:

 Images and Words / Dream Theater
  アレンジ力に脱帽。曲がいい。ギターのドライブ感が抜群。

 Straight to the Heart / David Sanborn
  曲がいい。マーカス・ミラーが光る。ドン・グロルニックのローズがいい。ハイラム・ブロックのギターがうなる。でも、サンボーンがあまりいいとはいえないのが、このアルバムの難点(?)だ。

 The Nightfly / Donald Fagen
  ま、まんまスティーリー・ダンだ。曲作りのセンスがいい。

 Captain and Me / Doobie Brothers
  これは名盤。やはりドゥービーは初期だ。

 Master Plan / Dave Weckl
  ウェックル様のソロはこれだけ押さえればいいでしょう。チック・コリア、ガッドとの共演もかっこいい。ブレッカー節も聞ける。1枚目なので曲もいいな?

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Last Update : 2003/06/24