これを聞こうA-Z

第9回:H = Hiram Bullock

From All Sides / Hiram Bullock
(フロム・オール・サイズ / ハイラム・ブロック 86年)

メンバー:
 Hiram Bullock(b,vo), Will Lee(b), Charley Drayton(d), Cliff Carter(key), Kenny Kirkland(key), David Sanborn(as), Michael Brecker(ts) 他

収録曲:
 Window Shoppin' / Until I Do / Hark! The Herald Angels? / Really I Wish I Could Love You / Say Goodnight,Gracie / Funky Broadway / Mad Dog Daze / Cactus / When The Passion Is Played

 ハービー・ハンコックと迷いに迷ったが、アイドル・ギタリストであるハイラムにした。好きなアルバムは、「From All Sides」「Way Kool」「Carrasco」であるが、前2枚は廃盤だ。悩んだ末、これにしてみた。

 ハイラムは大阪生まれのニューヨーク育ちだ。24丁目バンドでウィル・リーらとデビューし、デビッド・サンボーン、マーカス・ミラー、ジャコ・パストリアスなどのバンドで活躍する傍ら、自らのリーダーアルバムを出している。いわゆるフュージョン系のギタリストになるのだが、90年代中盤には、どロックなアルバムも出している。

 私のハイラム体験は、ブルーノート東京でのマーカス・ミラー・バンドのみである。しかし、ニューヨークで2度会っている。最初はビル・エバンス(当然saxの方)とジョー・ベックのバンドをヴィレッジ・バンガード(だったかな)に見に行った時で、客席でおんなをはべらせていた。2回目はその次の日で、帰りのケネディ空港で飛行機を待っていたら、ギターをしょって歩いていた。ブルーノート東京に出演するために、日本へ行くところだった。あーあーあーハイラムだ。あーどしよどしよ、と思っていたら視線が合い、「ハーイ」と声をかけられ、「は、はあい」と答える私。この時お話ししとけば良かったな。でもね、このおっさんこわいのよ。この頃はでぶでぶドランカー期だったし、なおさらだ。ハイラムは1本前のJALで私はノース・ワーストだったが、同じ飛行機でなかったのが残念だ。

 初期のアルバムはどれもお勧めだ。このアルバムも曲がいい。演奏もいい。また、「Carrasco」はなぜかラテンのリズム体を入れたヴォーカルアルバムで、「風のシルエット」「チュニジアの夜」なんかも入っており、なかなかいい感じに仕上がっている。

 このおっさん、酒やドラッグでどーしょもない時期があり、その時にずっと愛用していたトレードマークのストラトを売ってしまった。ローズ指板で3トーンサンバースト。ハムバッカーがついてるはげはげのやつ。なんでも、ESPのニューヨーク店にハイラム自身が持ち込み、「いくらでもいいから買ってくれ!」ってことで、まずESPが$1000で買い取った。ひどい状態だったので本来だったら$1000でも高すぎる品物だったらしいが、店に並べていたら向かいの楽器屋が売ってほしいということで$2000で売ったそうだ。そしたら、その店はなんと$5000のプライスタグを付けた。当然ハイラムが使っていたとの表記付きだ。すると日本人観光客が買っていったということだ。てなわけで、あれは日本にあるかも知れない。また、この時期に太った。すげー太った。90年代初期のライブがビデオになっているが、それはけっこうスマートなんだよね。このライブもなかなかよろしいのでぜひぜひ。

 「From All Sides」と「Way Kool」をなんとか探して聞いて下さい。しかし、なんで廃盤なんだ?

Discography
 1982 First Class Vagabond
 1986 From All Sides
 1987 Give It What U Got
 1992 Way Kool
 1994 World of Collision
 1996 Late Night Talk
 1996 Manny's Car Wash(live)
 1997 Carrasco
 1998 55 Bar Sessions
 1999 Color Me
 2000 Guitar Man
 2003 Try Livin' It

選外:

 Herbie Hancock Quartet / Herbie Hancock(ハービー・ハンコック)
  マイルスバンドのリズム体、ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスにウィントン・マルサリス。このリズム体はVSOPへと発展するが、この辺はよいねー。なお、ハンコックは1枚選ぶのが非常に難しい。初期の名盤「Maiden Voyage」は「Dolphin Dance」が好き。あとは「Empyrean Isles」「Speak Like A Child」「Mr. Hands」「Lite Me Up」などなど。でも古いのばっかりだな。

 Closs That Line / Howard Jones(ハワード・ジョーンズ)
  1曲目のザ・プリズナーがいい。打ち込みボーカルバンド用に打ち込みんだんだよな。1回も使ってない。(T_T) しかし、ハワード・ジョーンズはこのアルバムで終わるのである。

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Last Update : 2003/07/14