これを聞こうA-Z

第11回:J = Jeff Beck

Wired / Jeff Beck
(ワイヤード / ジェフ・ベック 76年)

メンバー:
 Jeff Beck(g), Wilber Bascomb(b), Richard Bailey(ds), Narada Michael Walden, Ed Green(ds), Jan Hammer(key,ds), Max Middleton(key)

収録曲:
 Led Boots / Come Dancing / Goodbye Pork Pie Hat / Head for Backstage Pass / Blue Wind / Sophie / Play With Me / Love Is Green.

 私はこれを聞いてエレキ・ギターをやろうと思った。とにかく、ぶっとばされた。いまでも、白のストラトが一番かっこいいと思っている。ジャケット、しびれるでしょ?

 今回はソロアルバムを全部紹介しちゃおう。

Discography & History

1968 Truth
 いわゆる第1期ジェフ・ベック・グループ。ハードロックのはしり。主要メンバーは、ロッド・スチュワートとロン・ウッド。ヤードバーズを辞めてへーんなシングル(恋は水色とかとか)を作っていたベックが、一応アルバムを作ってみたというもの。最初、レコード会社が出してくれなかったんだけど、ライブの評判が良かったのでリリースされた。やや寄せ集め感の強いアルバムだ。でも、できは結構いい。

 しかし、後のツェッペリンと比べると、音が悪すぎるな。

1969 Cosa Nostra Beck Ola
 1期の2枚目はさらにハード。通称「ベック・オラ」or「アップル」。ちょっとギターを重ねすぎで、分離が悪い。

 この年にジミー・ペイジ率いるレッド・ツェッペリンがデビュー。ベックは「vo,g,b,dsのフォーピースで、ブルースを基本としたハードなロックをやる」というアイデアを、ジミーに盗まれたと激怒する。そして、ヴァニラ・ファッジのリズム体であるカーマイン・アピス、ティム・ボガードと出会う。ベックは第1期ベックグループを解散し、このリズム体にボーカルにロッド・スチュワートを加え、ツェッペリン打倒のために動き出す。しかし、ベックが自動車事故に遭い、この計画は流れる。リズムの2名はカクタスを結成。ロッドはフェイセズへ。ベックは「ボーカルはブロンド」ってことにこだわっていたそうな。

 しかし、このメンバーでこの時期にデビューして、プロデューサーが良かったら、ハードロックの歴史は変わっていたかも。ベックがギターを弾きすぎないというのが条件だが。

1971 Rough And Ready
 怪我から復帰して、第2期ジェフ・ベック・グループを結成。なぜかモータウンサウンド。かなりファンキーだ。結構好きなアルバムだが、セールスは芳しくなかったようだ。ドラムはコージー・パウエル。

1972 Jeff Beck Group
 2期の2枚目。前作の延長。ベックのギターはちょっと(かなり?)バンドから浮いている。

 このアルバムでバンドを解散し、念願のリズム体を得たBBAでハードロック世界制覇をめざす。残されたバックはハミングバードを結成。

1973 Beck, Bogert & Appice
 しかーし世界制覇はそう簡単にはできない。売れなかったのである。名曲「迷信」はスティービー・ワンダーからもらったはずなのに、スティービーは自分でシングルにしちゃって、メンバーは怒る怒る。アルバムの曲は結構いいと思うのだが、録音・アレンジがイマイチ。これと比較すると、ツェッペリンってホントよくプロデュースされているよ。やはり、ジミーはプロデューサー、ベックはギタリストだね。

1974 BB&A Live In Japan
 日本限定だったが、後に世界発売。これは愛聴盤だった。このくらいのすっきりしたサウンドで出せばBBAのセールスも違ったのにな。みんな実力者だけに惜しい。実に惜しい。ホントに惜しい。それと、やはりロックバンドはかっこいいボーカリストが必要だなと痛感する。ベックのこだわりもわからんではない。こいつらが歌ってもさー、のっぽさんとヒゲデブじゃなー。

1975 Blow By Blow
 ロック初のインストアルバムといわれている。ベック史上最もヒットしたアルバムで、全米4位を記録。「悲しみの恋人達」「スキャッター・ブレイン」「ダイアモンド・ダスト」と圭曲揃い。メンバーは、Phil Chenn(b), Richard Bailey(ds), Max Middleton(key)。プロデューサーは、なんとジョージ・マーチン(ビートルズで有名)だ。そのせいかはよくわからないが、よくプロデュースされている。なお、発売時の邦題は「ギター殺人者の凱旋」。(-_-;) 

 BBAのセールスの悪さで、ハードロックの王者をあきらめたベックだが、すごい方向転換だ。

1976 Wired
 多くの人が「ブロウ・バイ・ブロウ」をベストに挙げるが、私はこっちだ。本作はヤン・ハマーの影響力が強い。というより、サウンドを完全に支配してしまっている。ヤン・ハマー・バンドに凄腕のギターがはいっているという出来である。アルバムとしてのバランスはイマイチで、比較的評価が低いが、ギタリストはこれを聞くべきだろう。ベックのギター・コントロールが前作よりさらに素晴らしいし、マイケル・ウォルデンのドラムもかっこいい。ヤン・ハマーのシンセ、シンベもほんとかっこいいよ。

 中学の時に友人にこれを貸してもらって、ホントぶっ飛んだ。すぐにブロウ・バイ・ブロウを買いに行ったっけ。ベックはここからリアルタイムだ。

1977 With The Jan Hammer Group Live
 これはホントにヤン・ハマー・バンドのツアーにベックが参加しただけのやつ。でも、ベック名義でリリースされた。とはいえ、内容はなかなかよい。邦題は「ライブ・ワイヤー」だ。

1980 There And Back
 ヤン・ハマー半分、トニー・ハイマス半分のアルバム。ベックのリーダーシップはほとんど感じられない。いちギタリストって感じ。この頃のサイモン・フィリップスは好きじゃないな。ヤン・ハマーのドラムはさらにダサい。

1985 Flash
 ナイル・ロジャースと組んだポップアルバム。なんで突然こんなのを出すのかわからない。スマッシュヒット「ピープル・ゲット・レディー」収録。ボーカルはロッド・スチュワートだ。気に入ったドラマーがいないということで、ドラムは電気なのだが、直後にトニー・トンプソンを聞いて、なんだいいのがいるじゃんと言ったらしい。ナイル・ロジャースがプロデュースしてんのにおかしなハナシだ。ナイルとトニーはシックの同胞だもんね。

1989 Jeff Beck's Guitar Shop
 ハードなインストに復帰。メンバーはトニー・ハイマスとテリー・ボジオだ。このアルバムはよく出来てる。曲もサウンドもいい。この頃からピックを使わなくなる。一応バンドはバンド形態を取っており、ツアーもやった。しかし、ベックがプロモーションに力を入れないので、ボジオはさっさと辞めちゃうのだった。

1992 Frankie's House
 サントラ 聞かずともよい。

1993 Crazy Legs
 なんでジーン・ビンセントのコピーを??? ロカビリーなんですよ。世界中のベックマニアを失意のどん底に突き落としたといわれている。

1999 Who Else!
 ギターインストとしては10年ぶりのこのアルバムは、全編デジタルレコーディングの切り貼りにギターを乗せたもの。この手法に、かなりのめり込んだみたい。ギターのコントロールは相変わらず素晴らしい。しかし、電子化されたサウンドは賛否両論。さらには、もろブルースをやってるのよ。やるなよなー。クラプトンに勝てないからと、やらないって誓ったはずではないのか? 私はそれの方が気に入らない。

 このアルバムの前には、トニー・ハイマスと組み、さらにスティーブ・ルカサーと組んでレコーディングしたが、どちらも陽の目を見なかった。ブートで出てるらしいね。

2000 You Had It Coming
 前作の路線をさらに進めた、ちょーっときびしめのアルバム。賛は少な目。


 さてさて、次はどこにいっちゃうんでしょうね。ヤン・ハマーとテリー・ボジオでやって欲しいな。ベースはスタンリー・クラーク以外で。(笑)


選外:

 Pick Hits Live / John Scofield
  ジョンスコ・ファンクの最高傑作。かっこいいよ。曲がいい。ギターがいい。デニチェンは叩きまくる。ジャズに帰ってしまったジョンスコが、この路線に戻ってきてくれないかなと思う人は多い。

 Jaco Pastorius(ジャコ・パストリアスの肖像)/ Jaco Pastorius(ジャコ・パストリアス)
  ジャコのファーストソロ。やっぱり天才だったな。アルバムとしての統一感が薄いが、私は2枚目よりこっちが好き。

 Shadows and Light / Joni Michell(ジョニ・ミッチェル)
  これのDVDが出た時、すぐに廃盤だろうなとプレーヤーを持ってないのに買った。DVDはビデオより何曲か多いらしいので、ぜひ買おう。

 Are You Experienced / Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)
  衝撃のデビューアルバム。生前に出た4枚は甲乙付けがたいな。久々に通して聞いちゃった。でもね、現行のCDだと、オリジナルの選曲+初期のシングル(パープル・ヘイズとか)になっていて、私が親しんだのとは構成が違うんだよね。ちょっとやじゃない? ねえ、そこのおじさん。

 Travelling Without Moving(ジャミロクワイと旅に出よう) / Jamiroquai(ジャミロクワイ)
  英国ファンクって、なんというかニセモノっぽくて、そこがいい。これとかインコグニートとかレベル42とか。

 Giant Steps / John Coltrane(ジョン・コルトレーン)
  コルトレーンから1枚も難しい。一番聞いたこれに。知り合いだと「至上の愛」ってヒトが意外と多い。

 Moodswing / Joshua Redman(ジョシュア・レッドマン)
  ブラッドー・メルドー、クリスチャン・マクブライト、ブライアン・ブレイドという未来を担うヒトたち。気合いが感じられる1枚?

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Last Update : 2003/07/21