Speaking of Now / Pat Metheny Group
(スピーキング・オブ・ナウ / パット・メセニー・グループ 02年)
メンバー:
Pat Metheny(g), Lyle Mays(key), Steve Rodby(b), Richard Bona(vo,perc), Cuong Vu(tp,vo), Antonio Sanchez(ds)
収録曲:
As It Is / Proof / Another Life / The Gathering Sky / You / On Her Way / A Place in the World / Afternoon / Wherever You Go / Epilogue(日本盤のみ)
パット・メセニーは54年ミズーリ州に生まれ、幼少時からクラシックに親しみトランペットを手にする。8才で音楽の勉強を始めると、瞬く間に読み書きが出来るようになる。10才から教師に師事し本格的に勉強しはじめる。そのころジャズを聞くようになりコルトレーンに魅入られていたが、ロックにも手を出すようになる。ギターに興味を持ち始め、12才でギブソンES-140Tを手に入れ友人達とバンドを組む。14才の時にウェス・モンゴメリーを見て、ジャズ・ギタリストの道を歩むことを決意し、それからはジャズ・ギターの研究に明け暮れる。15才でジャズ・ミュージシャンとしてデビュー。それから、CMのジングルの作曲やサーカスバンドや歌伴での演奏などの経験を積む。16才でハービー・ハンコックと共演する。72年にマイアミ大に入学し5ヶ月間だけ学ぶと、その後はギターの講座を持ち教える側に回る。ここでWill Lee, Steve Morse, Hiram Bullock, Andy West, Rod Morgenstein, Michael Walden, Mark Colby, Danny Gottlieb, Mark Egan, Sid Caesar, Patti Page, Lorna Luft, Gil Goldstein らと出会う。そして73年にGary Burton と初めて共演する。
ここからは有名なハナシだ。ゲイリー・バートンに「私はあなたの曲を全部弾けます」と言った。うそこけとバートンが一緒に演奏してみたら、ホントに、それも完璧に弾けたということだ。で、その後バートンがボストンのバークリー音楽院に講師として招聘し、ゲイリー・バートンのバンドに参加すると同時にレコーディング・ミュージシャンとしても活動を開始する。
ジャコと組んだバンドの初アルバムが74年、初のソロアルバム「Bright Size Life」のリリースは76年で22才の時だ。そしてソロ2作目の「Watercolors」でライル・メイズとの運命の出会い。2人を軸にしてパット・メセニー・グループが生まれ、それからの快進撃は、ディスコ・グラフィーを見てもわかるだろう。ソロ、パット・メセニー・グループ、共作の他にも、サイド・メンとしてゲイリー・バートンやジョニ・ミッチェルなど多くのアルバムに参加している。
さて、1枚選ぶのがヒジョーに難しい。週末に音源をでーっと聞いてみた。メセニーグループの「Still Life (Talking)」「Letter From Home」「The Road To You」「We Live Here」は負けず劣らず、ちょっと毛色が変わってるけど「Imaginary Day」、新作の「Speaking of Now」もなかなか、久々のソロ名義「Secret Story」、聞いた回数でいえば「80/81」、「Question and Answer」のいい意味そっけないシンプルなところもいいし、「Trio 〜」の2枚はジャズ・ギタリスト魂を感じさせてくれる。ま、「Zero〜」「Song X」って選択は無いよね。(笑)
メセニーグループは当初、メセニー、ライル・メイズ(key)、マーク・イーガン(b)、ダニー・ゴッドリーブ(ds)、というメンバーだった。ボーカルを加えてワールド・ミュージック(無国籍?)色が強まり、「Offramp」(出たときの邦題は「愛のカフェオーレ」)からベースがスティーブ・ロドビーに変わり、「First Circle」からドラムがポール・ワーティコになっている。このリズム体で黄金時代が始まり、「Still Life」(87年)でメセニー・グループ路線の完成をみることができるだろう。その後のメセニーグループはリズム体を固定して音楽的発展を図っているように思えたが、新譜「Speaking of Now」ではポール・ワーティコ(ds)を解任しアントニオ・サンチェスを加え、さらにボーカルにリチャード・ボナを迎えている。これらのメンバーを加えてさらに地平が広がったと、メセニーはインタビューで答えている。
各音楽雑誌で新作が取り上げられている。メセニーの目指すのはいわゆる「ワールド」な音楽ではなく「シンフォニー」のようだ。アーティスト=パット・メセニーに敬意を表し、最新作を選んだ。
Discography
Solo
1976 Bright Size Life
1977 Watercolors
1978 New Chautauqua
1992 Secret Story
1994 Zero Tolerance For Silence
1996 Passagio Per il Paradiso (soundtrack)
1999 A map of the world (soundtrack)
2003 One Quiet Night
Pat Metheny Group
1978 Pat Metheny Group
1979 American Garage
1982 Offramp
1983 Travels
1984 First Circle
1985 The falcon and the Snowman (Soundtrack)
1987 Still Life (Talking)
1989 Letter From Home
1992 The Pat Metheny Group In Concert
1993 The Road To You
1995 We Live Here
1996 Quartet
1997 Imaginary Day
2002 Speaking of Now
2004 The Way Up
Leader or Collaboration
1974 Jaco / Pastorius/Ditmas/Bley
1980 80/81 / Haden/DeJohnette/Redman/Brecker
1980 As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls / Lyle Mays
1984 Rejoicing / Haden/Higgins
1986 Song X / Ornette Coleman
1989 Electric Counterpoint / Steve Reich
1990 Question and Answer / Holland/Haynes
1994 I Can See Your House From Here / John Scofield
1997 Beyond the Missouri Sky / Charlie Haden
1997 The Sign of 4 / Bailey/Bendian/Wertico
1998 Like Minds / Burton/Corea/Haynes/Holland
1999 Jim Hall & Pat Metheny / Jim Hall
2000 Trio 99→00 / Grenadier/Stewart
2000 Trio →LIVE / Grenadier/Stewart
選外:
Wings Over America(ウイングス・USAライブ) / Paul McCartney and the Wings(ウイングス)
名盤。これは聞きまくった。ウイングスの名曲がいっぱい。メガヒット、メイビー・アイム・アメイズド(邦題忘れた)も入ってる。さあ、アコギを弾いてバンド・オン・ザ・ランを歌おう。
Exit / Pat Martino(パット・マルティーノ)
正確無比。テクニカルジャズギターの王様。
The Power Station / The Power Station(パワー・ステーション)
みょーなファンク感。トニー・トンプソンのドラムが一世を風靡。
West End Girls / Pet Shop Boys(ペット・ショップ・ボーイズ)
表題曲が大ヒット。サウンドの造りが素晴らしい。
ベスト盤各種 / Paul Mauriat(ポール・モーリア)
基礎教養として聞くべきでしょう。