これを聞こうA-Z

第19回:R = RAINBOW

On Stage / RAINBOW
(レインボー・オン・ステージ / レインボー 77年)

メンバー:
 Ritchie Blackmore(g), Ronnie James Dio(vo), Cozy Powell(ds), Jimmy Bain(b), Tony Carey(key)

収録曲:
 Over The Rainbow / Kill The King / Man On The Silver Mountain 〜 Blues 〜 Starstruck / Catch The Rainbow / Mistreated / Sixteenth Century Greensleeves / Still I'm Sad

 ディープ・パープルは74年に「嵐の使者」発表するが、音楽性の不一致からリッチー・ブラックモアは新バンドの結成を画策し始める。目を付けたのがパープルのレコード会社と契約していたエルフだ。75年にこのバンドをバックにして「Ritchie Blackmore's Rainbow」をレコーディングし、パープル脱退を表明後にリリース。速攻でメンバーチェンジが行われ、2期といわれる上記のメンバーが揃い「Rising」「On Stage」が発表される。このあとはコロコロとメンバーが入れ替わる。「Long Live Rock'n'Roll」を最後にロニーが脱退し、グラハム・ボネットが加入して「Down To Earth」を発表。80年に来日し、武道館では勝戸さんが御拝聴されるが、グラハムとコージーがともに脱退。その後のメンバー・チェンジも激しく、むちゃむちゃリストラなバンドであった。

 日本でのレインボーの認知度はかなり高い。特に我々元ハードロック少年はパープル・ツェッペリン・レインボーと並び称していた。しかし、実は世界的に見るとあんまり売れてないのである。リッチーは「Long Live Rock'n'Roll」から売れセンを狙い始めるのだが、古いファンから忌み嫌われたシングル「シンス・ユーブ・ビーン・ゴーン」は全米50位。一番売れたアルバム「アイ・サレンダー」が全米30位。USのツアーはずっと誰かの前座。とその程度なのである。売れまくったパープルを脱退したのにこのセールスで、リッチーはかなりジレンマがあったみたいね。なにしろ、ロニーが辞めたときにセールスの稼げる宿敵イアン・ギランを誘ったくらいなんだもの。音楽ビジネスってそんなもん。ギター職人などといわれるリッチーやジェフ・ベックだって、昔は「売れる」ってことにむちゃむちゃ執着してたのだ。

 そんなわけで、結局リッチーは売れないバンドを自分で運営するのがいやになり、84年にパープル再編のハナシに乗ってしまって、レインボーを解散してしまう。しかしパープルでもメンバーとうまくいかず結局脱退。その後リッチー・ブラックモアズ・レインボー名義で1枚アルバムを発表している。

 高校時代は、ジェフ・ベックとリッチーがアイドルだった。2nd〜4thとこのライブは聞きまくった。しかーし、「アイ・サレンダー」から全然聞かなくなってしまった。その頃から自分がフュージョンに走ったということもあるが、このみょーなポップさにはついていけなくなってしまった。実際、ポップポップといわれる後期レインボーであるが、みょーなんだよね。ポップさと暗さとが混在してて。不思議な音造りなのである。

 さて「オン・ステージ」だが、かっこいい。ホントかっこいい。ロックはライブアルバムが好き。そしてライブはオープニングがキモだ。パープルのライブ・イン・ジャパンのオルガンからハイウェイスターとかツェッペリンの「OK, Let's Go」からロックンロールとか、達郎のスパークルとか。(^^ゞ このオン・ステージもかっこいい。ミュージカルからのSE、ドロシーの「We must be over the rainbow rainbow rainbow....」に続き「Over the Rainbow」をワンフレーズ。すかさずギターのリフに入り「Kill the King」へ。当時この曲は未発表なのにライブのトップにもってくるという大胆さ。そこから「銀嶺の覇者」メドレーへ。これと「Still I'm Sad」は1stだとしょぼい演奏だけど、こっちはとっても元気でかっこいい。その他も長い曲が多いのだが、飽きさせない。よく聞いたよなー。実家にあるアナログ盤は、すり切れてひどい音になっている。

 メンバーを固定して「Long Live Rock'n'Roll」「Down To Earth」くらいの音楽性で続けてれば、世界制覇も夢では無かったんじゃないかという気もする。ドン・エイリーもそんなようなことを言っていたらしい。ドラムはコージー・パウエル、キーボードはドン・エイリー、ボーカルはロニーかジョー・リン・ターナー、ベースは誰でもいいや。

 惜しいバンドだ。

Discography
 1975 Ritchie Blackmore's Rainbow / 銀嶺の覇者
 1976 Rising / 虹を翔ける覇者
 1977 On Stage / レインボー・オン・ステージ
 1978 Long Live Rock'n'Roll / バビロンの城門
 1979 Down To Earth
 1981 Difficult To Cure / アイ・サレンダー
 1982 Straight Between The Eyes / 闇からの一撃
 1983 Bent Out Of Shape / ストリート・オブ・ドリームス
 1995 Stranger In Us All / 孤高のストレンジャー


選外:

 The Antidote / Ronny Jordan
  彼の1stソロ。マイルスの「So What?」収録。

 Blood Sugar Sex Magik / Red Hot Chili Peppers
  レッチリ後期はどれもレベルが高い。意外とデイブ・ナヴァロのワン・ホット・ミニットも好き。

 Evil Empire / Rage Against the Machine
  1st、2ndとなかなかよろしい。

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Last Update : 2003/12/15