これを聞こうA-Z

第21回:準S = Steely Dan

 では「S」の準グランプリ、2組目の発表です。(ドラムロール)

The Royal Scam / Steely Dan
(幻想の摩天楼 / スティーリー・ダン 76年)

メンバー:
 key: Donald Fagen, Victor Feldman, Paul Griffin, Don Grolnick
 g: Walter Backer, Larry Carlton, Denny Dias, Dean Parks, Elliot Randall
 b: Walter Backer, Chuck Rainey
 ds: Rick Marotta, Bernard Purdie
 perc: Gary Coleman, Victor Feldman
 horns: Chuck Findley, Bob Findley, Slyde Hyde, Jim Horn, Plas Johnson, John Klemmer
 cho: Donald Fagen, Venetta Filds, Clydie King, Sherlie Matthews, Mike McDonald, Tim Schmit

 収録曲:Kid Charlemagne / The Caves Of Altamira / Don't Take Me Alive / Sign In Strangs / The Fez / Green Earrings / Haitian Divorce / Everything You Did / The Royal Scam

 67年、ニューヨークの大学で、ドナルド・フェイゲン(19歳)とウォルター・ベッカー(17歳)が出会う。この頃から、二人は曲を作り始める。70年にジェイ・アンド・ジ・アメリカンズというバンドのツアー・メンバーとなり、そこでできたコネを元にスティーリー・ダンを結成。72年に1stアルバム「Can't Buy A Thrill」をリリースすると、1stシングル「Do It Again」が全米6位、2ndシングル「Reeling In The Years」が11位となり、早くも売れ始める。74年に3rd「Pretzel Logic」をリリース。「Rikki Don't Lose That Number」 が全米4位となり、アルバムも全米8位にランクされる。このアルバムの頃から、多くのゲスト・ミュージシャンが参加するようになり、メンバーが次々に辞めていく。76年にはフェイゲン・ベッカーの2人のみとなり、「The Royal Scam」をリリース。続く「Aja」は全米チャート3位で「Gaucho」は9位となり、ともにプラチナム・ディスクとなった。しかし、アルバムでの作り込みが災いし、ライブで再現するのが困難となりツアーをしなくなる。そして81年に解散し二人はソロ活動を開始、一旦終止符が打たれる。
 そして13年後の93年、突然にスティーリー・ダンとして活動再開しライブ・アルバム「Alive in America」を出す。しかし、スタジオ・アルバムはなかなか出ず、00年にやっと「Two Agaist Nature」がリリースされる。これに伴うツアーで来日し、勝戸さんが拝聴される。

 本アルバムは、フェイゲン28歳・ベッカー26歳の作品だ。バーナード・バーディーとチャック・レイニーの強力リズムセクション、ラリー・カールトンのギターが素晴らしい。また、この後のアルバムと比べて音が薄めで、それについては賛否両論あるのだが、私は好きだ。とかとかいつも書いてるけど、それよりなにより曲がいいのよ。

 録音おたくの方には、「Aja」のメイキング・ビデオがお勧めだ。これは99年に、そのままマルチのマスターテープを題材に2人が作ったもので、当時のレコーディング秘話が聞ける。他のギタリストでうまくいかなかったソロを、ジェイ・グレイドンがばっちり決めた話なんてのもある。このソロがそんなにいいとも思わないんだけどな。(笑)だいたい、ラリー・カールトンに弾かせりゃいいだろうに。その他、チャック・レイニーが参加したスタジオ・ライブもあり、なかなか楽しい。

 こんなビデオを出すくらいで、彼らはおたくである。「ヲ」である。このアルバムの前は、ジェフ・ポーカロがアルバムとツアーで叩いているのだが、スネアのタイミングを計測されたそうだ。「こことここのタイミングが**ms(ミリセカンド:千分の一秒)になってるからだめだ。もう一回録り直そう。」ってな具合だったらしい。なのでいやになって辞めてTOTOを結成したのである。(うそ)

 スティーリー・ダンは特にドラマーは必聴である。タワー・オブ・パワーとともに、おたく話に必ず出てくるアーティストである。ドラマーならずとも、ぜひチェックして欲しい。

 00年のライブレポートもご参照下さい。

Discography
 1972 CAN'T BUY A THRILL
 1973 COUNTDOWN TO ECSTACY / エクスタシー
 1974 PRETZEL LOGIC / さわやか革命
 1975 KATY LIED / うそつきケティ
 1976 THE ROYAL SCAM / 幻想の摩天楼
 1977 AJA / 彩(エイジャ)
 1980 GAUCHO
 1995 ALIVE IN AMERICA
 2000 TWO AGAINST NATURE
 2003 EVERYTHING MUST GO

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Last Update : 2004/01/08