これを聞こうA-Z

第23回:T = Tower of Power

Back To Oakland / Tower of Power
(バック・トゥー・オークランド / タワー・オブ・パワー 74年)

メンバー:
 Lenny Williams(vo), Lenny Pickett(ts), Emilio Castillo(ts,vo), Stephen "Doc" Kupka(bs), Mic Gillette(tp,tb), Greg Adams(tp) Chester Thompson(org), Bruce Conte(g), Francis Rocco Prestia(b), David Garibaldi(ds), 他

収録曲:
 Oakland Stroke... / Don't Change Horses / Just When We Start Makin's It / Can't You See / Squib Cakes / Time Will Tell / Man From The Past / Love's Been Gone So Long / I Got The Chop / Below Us, All The City Lights / ...Oakland Stroke

 68年、サンフランシスコに近いオークランドで、エミリオ・カスティーヨ、フランシス・ロッコ・プレスティア、スティーブ・クプカらが中心となり結成される。ファンク系であるが、黒人バンドではないのが特徴。エミリオはギリシャとメキシコの混血で、メンバーの多くはラテン系の白人だ。70年に「East Bay Grease」をマイナー・レーベルからリリースし、人気を呼ぶ。72年に名ドラマー、デビッド・ガリバルディが参加して「Bump City」をメジャーから発表すると、シングル「You're Still A Young Man」(邦題はヤングマン(笑))とともにヒット。70年代にはシカゴに代表されるブラス・ロック・ブームもあり、かなり売れた。ホーンセクションは、スタジオ・ミュージシャンとしても引っ張りだこで、多くの有名アーティストのレコーディングやツアーに参加した。

 しかし、70年代後半に強力リズム体の2名、ドラムのデビッドとベースのロッコが相次いで脱退。この頃から翳りが見え始める。79年の「Back on the Streets」でディスコ受けを狙ってこけ、80年代以降の電子音楽の隆盛により、ほとんど彼らの名前は聞かれなくなってしまった。おおむねEW&Fと同じパターンだ。80年代初頭はファンク受難の時代だったのだ。

 しかし、ヒューイ・ルイスのバンドにホーン・セクションとして参加したのをきっかけに息を吹き返し、87年に久々の好アルバム「Power」を発表。ぼちぼち売れ始め、98年にはデビッド・ガリバルディが復活し、来日時は勝戸さんが拝聴。99年にはライブ「Soul Vaccination」をリリース。現在はそこそこ売れているようだ。

 ブラスをフィーチャーしたふるーいスタイルのファンクバンドである。70年代のまんまの音で今もやっている。ふつーのファンクバンドと違うのは、リズムアレンジだ。デビッド・ガリバルディとロッコという強力なリズム体を擁し、デビッド得意のリニア・フレージング(各パートの重なりが少なく、連続するフレーズ、ってわかんないな。例えばパラディドルで右手ハイハット、左手スネアなんてのが初歩のリニアフレーズ)でパターンが作られ、正確無比な2フィンガーがそれに乗っかるのである。このタイトなリズムとサックス重視のホーン、じゃきじゃきのギター、ローズとオルガンによってTOPの音は作られている。

 本アルバムはTOP全盛期の作品である。ベスト・ライブとどっちにしようか迷ったが、こっちにしてみた。70年代ファンクのにおいがぷんぷんのアルバムだ。2枚とも、多くのプロドラマーが必聴盤として挙げている。あなたがドラマー、またはベーシストであればさっそく2枚とも買って、ドラマーは「Squib Cakes」を、ベーシストはベスト・ライブの「What Is Hip?」をコピーしよう。一般人には、最近のライブである「Soul Vaccination」も音がクリアで聞き易くお勧めだ。

 でも、生がいいよ。CDも大きな音で聞こう。

Discography
 1970 East Bay Grease
 1972 Bump City
 1972 Lights Out
 1972 Fillmore - The Last Days
 1973 Tower of Power
 1974 Back to Oakland
 1974 Funkland
 1974 Urban Renewal / オークランド・ストリート
 1975 In The Slot
 1976 Live and in Living Color / ベスト・ライブ
 1976 Ain't Nothin' Stoppin Us / 夜の賭博師
 1978 We Came to Play / オークランド・スタジアム
 1979 Back on the Streets
 1981 Direct
 1986 What Is Hip?
 1986 TOP
 1987 Power
 1991 Monster on a Leash
 1993 T.O.P.
 1995 Souled Out
 1997 Rhythm and Business
 1997 Direct Plus!
 1999 Soul Vaccination:Tower of Power Live
 1999 Dinosaur Tracks (1982)
 1999 What Is Hip? Tower of Power Anthology
 2001 The Very Best Of Tower of Power
 2002 Soul With A Capital "S"
 2002 Oakland's Own, In the Oakland Zone


選外:

 She Blinded Me With Science(彼女はサイエンス) / Thomas Dolby
  オレって打ち込み好きなんだな。このヒト、この1枚だけはかっこいい。

 IV(聖なる剣) / TOTO
  これかハイドラか迷うところです。

 Overseas / Tommy Flanagan
  エルビン・ジョーンズのブラシが秀逸。ピアノもドライブ感が抜群。

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Last Update : 2004/02/02