これを聞こう あーわ

第2回:か行 = カシオペア

メイク・アップ・シティ / カシオペア
(Make Up City / CASIOPEA 80年11月21日)

メンバー:
 神保彰(ds), 野呂一生(g), 向谷実(key), 桜井哲夫(b)

収録曲:
 Gypsy Wind / Eyes of Mind / Reflections of You / Ripple Dance / Life Game / Make Up City / Pastel Sea / Twinkle Wing

 77年に結成。ヤマハのアマチュアバンド・コンテスト「East West」に出演し、野呂一生は2年連続ベストギタリスト賞を受賞。賞品は初期のトレードマークである、ブラウンサンバーストのヤマハSG-2000だ。79年にアルバム「カシオペア」でデビュー。当時のメンバーは、野呂、向谷、櫻井、佐々木隆(ds)。80年に佐々木が脱退し、慶応大学 Light Music Society に櫻井と共に所属していた神保彰が加入し、ライブアルバム「サンダーライブ」を発表。同年傑作「メイク・アップ・シティ」をリリース。時はラリー・カールトン、リー・リトナーなどによって、クロスオーバー/フュージョンのブームが始まった頃だ。カシオペアはジャズ出の先人達よりもロックな音楽性と、リズムの仕掛けのかっこよさで人気を博す。

 81年にはプロデューサーにハービー・メイソンを迎え、LAで「アイズ・オブ・ザ・マインド」を録音。82年に名盤「ミントジャムス」をリリース。83年には、ロンドンでレコーディングし、日本に帰ってミックスを聞いたら、もこもこの出音にびっくりな「ジャイブ・ジャイブ」を発表。この80年代前半が全盛期だ。まだ世の中もフュージョンブームが続いていた。

 84年「ダウン・アップ・ビート」発表するが不発。またフロントとリズム体の音楽性の相違から、バンドの存続が危ない状況になる。しかし、85年のアルバム「ハレ」のセールスが好調でやや復活。87年にライブビデオ「パーフェクトライブ」(見るべし)発表。88年には海外ツアーを敢行し、「ワールド・ライブ88」を発表。しかし、野呂と櫻井の対立が深まり、櫻井・神保がついに脱退。第1期カシオペアがここで終焉を迎えるのであった。

 90年に鳴瀬喜博(b)、日山正明(ds) が加入し、スタジオライブアルバム「ザ・パーティ」を発表。92年に日山が脱退し、熊谷徳明が加入。96年にはその熊谷も脱退しトリオとなる。この頃、なんと東原力哉・菅沼孝三がサポートをしたこともある。力哉さんの叩く「ASAYAKE」の映像は残っている。菅沼カシオペアが見たかったな。97年から神保彰が「サポートメンバー」として復帰。正規メンバーでないのがびみょーだ。

 00年に結成20周年記念ライブの模様をおさめた「20th」をリリース。このライブには因縁の櫻井も参加している。

 そして06年。野呂と向谷の対立から、活動休止に至った。偶然にも、最後のライブを鑑賞できたのはラッキーだ。

 カシオペアを初めて聞いたのは「サンダー・ライブ」だ。これの「ブラック・ジョーク」と「スペース・ロード」にはホントぶっとんだ。私はといえば、ハードロックを脱してフュージョンに走り、ラリー・カールトン、リー・リトナーなどをコピーしていた。そんなころ、カシオペアにめぐりあった。すごいリズムのバンドが出てきたなと思ったもんだ。だって、それまでのフュージョンの名曲といえば、カールトンの「ルーム335」、リトナーの「キャプテン・カリブ」、高中の「ブルー・ラグーン」でしょ。これらとカシオペアの「ブラック・ジョーク」を比べてみなさい。いけいけギター少年だった私は、すっかりカシオペアに魅了されていた。そして予約して買ったのがこの「メイク・アップ・シティ」だ。これまたむちゃむちゃかっこい。当時はクリスマスの前にアルバムがどっと出るという商慣習があったが、こいつもその1枚。聞きまくったなー。

 このバンドはライブが楽しい。いろいろ仕掛けがあるし、向谷のMCもおもしろい。大学時代は毎ツアー行ってたもんね。で、打ちひしがれて帰ってきたものだ。よって推奨アルバムは本作とライブ盤の「ミント・ジャムス」、それから「パーフェクト・ライブ」(DVD)
と「ジョイア」(ワールド・ライブ88の映像付き版VHSで未DVD化)だ。とにかく、ライブがいい。映像があるとなおいい。なお「ミント・ジャムス」の一部は、「AGAIN」というDVDに収録されているので、見て欲しい。

 デビュー当時の神保さんのドラムは、かなりスティーブ・ガッドだ。そのころはガッドの知識に乏しかったので、非常に新鮮に聞こえた。ガッドを聞き始めたのは大学に入ってからだもんね。ルーディメンタルな演奏。タイトなリズム。素晴らしい。近年はもうガッドから脱して、彼のスタイルを築いている。日本人としては数少ない、世界に通用するドラマーなのである。ここ数年は海外でのデモンストレーションやドラム・フェスティバルなどに参加している。

 ところで「サンダー・ライブ」発表時、神保さんは21才。彼は大学に入ってから本格的にドラムを始めているのだ。そして私は大学に入り、ギターからドラムに転向するのであった。

Discography
 1979 CASIOPEA
 1979 SUPER FLIGHT
 1980 THUNDER LIVE
 1980 MAKE UP CITY
 1981 EYES OF THE MIND
 1981 CROSS POINT
 1982 MINT JAMS (live)
 1982 FOUR BY FOUR
 1983 PHOTOGRAPHS
 1983 JIVE JIVE
 1984 THE SOUNDGRAPHY
 1984 DOWN UPBEAT
 1985 HALLE
 1985 CASIOPEA LIVE
 1986 SUN SUN
 1987 PERFECT LIVE
 1987 PLATINUM
 1988 EUPHONY
 1988 WORLD LIVE '88
 1990 THE PARTY
 1991 FULL COLORS
 1992 ACTIVE
 1992 WE WANT MORE (live)
 1993 DRAMATIC
 1994 ANSWERS
 1994 HEARTY NOTES
 1994 ASIAN DREAMER
 1995 FRESHNESS
 1996 FLOWERS
 1997 LIGHT AND SHADOWS
 1998 BE
 1999 MATERIAL
 2000 20th (live)
 2000 BITTER SWEET
 2001 MAIN GATE
 2002 INSPIRE
 2003 PLASES
 2004 MARBLE
 2005 GIG 25 (live)
 2005 SIGNAL


選外:

 After 5 Crash / 角松敏生
  初期のこれを。斬新なアレンジとシンプルなリズム。カッティングがかっこいい。リズムギターはまるまるコピーしたもんね。

 DG-581 / KEEP
  深町純のプログレフュージョンユニット。ちょっとギターが中途半端でアレンジに難あり。だいたい、曲作りがギター向きでないんだよね。和田さんが抜けた後のツアーを見たんだけど、これがなかなかよかったってくらい。ギター無しの方が絶対良い。曲がいいだけに惜しい。

 Paper Driver's Music / キリンジ
  なんじゃこりゃのデビューアルバム。古いんだか新しいんだか。ブラスのアレンジがくさくさ。そのわりにストリングスはおとなしい。ボーカルはむちゃむちゃドライ(エコーが無いの意)。でも、なんかいいカンジ。いろいろ考えるな。

 Shake It Paradise / 久保田利伸
  衝撃のデビュー作。ジャパニーズソウルの原点。初期3作は必聴。新作も良いよ。

 X-BAR Trio / クリヤマコト
  ジャズ基本のピアノトリオ。リズム体は、再編ブレッカー・ブラザーズにいたジェイムス・ジナスと大坂昌彦さん。曲も演奏もよろしい。

 Magic Monkey / Godiego
  冒頭の「Birth of Odyssey」から「Monkey Magic」はすげーかっこいい。シーケンサーというよりアルペジエーターのリフが印象的。

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Last Update : 2003/06/24