イベント

06/6/4 Greg Hutchinson ドラムセミナー at 渋谷ヤマハ

日程:
 2006年6月4日(日)
イベント:
 Greg Hutchinson スペシャルジャズドラムセミナー
場所:
 渋谷ヤマハ Absolute Drum Shop
メンバー:
 Greg(Gregory) Hutchinson(ds), 椎名豊(p), Rodney Whitaker(b)

 以前は好きなドラマーはと聞かれるとジェフ・ワッツと答えていたが、最近はグレッグ・ハッチンソンだ。そのNO.1アイドルドラマーのセミナーが行われるということで、行ってきた。このイベント、ほとんどPRされてないよね。たまたま渋谷ヤマハのHPを見ていて発見した。ラッキーだ。

 場所は渋谷ヤマハ内にあるAbsolute Drum Shopだ。真ん中のちょっと高い位置にドラムをセット。まわりを聴講者が囲んだ。グレッグの左2mのポジションを確保。こんな近くで見られるなんて素晴らしい。

 まずはソロから。続いてレクチャーが行われた。事前に質問用紙を配り、その中からテーマを決めたそうだ。私は「速いレガートのコツ」と「フェザリング」を書いておいた。では、トピックスを箇条書きで紹介する。

・常に前進するパルスを出すことが重要で、もたっては絶対にいけない。ドラムとベースは「On Top」か「Medium」の位置を、入れ替えることはあってもどちらかを保ち、「Laid Back」してはいけない。また、ポジションがどこであっても、一定のパルスを保たなければならない。こういったリズムの一連の流れを「Round」と表現していた。なお、前ノリに「On Top」、ジャストに「Medium」、後ノリに「Laid Back」という単語を使っていた。
・音源をいっぱい聞こう。盗もう。ジャズの話法を覚えよう。
・有名リズム体のコンビネーションには、ドラムが「On Top」でベースが「Medium」だったり、逆だったり、両方「Medium」だったりいろいろある。グレッグは曲想や状況により、そのポジションを変えるそうだ。
・レガートは常に「どっがうぉー」(dog a walk?)と歌うそうだ。歌っていればリズムを見失うことはない。なお、日本ではレガートを「ちんちき」と表現することが多いが、これは1拍目が「ちん」だ。米国では4拍目から表現することが多いようで、一般的なのは「Ting a Ring」(てぃんがりん)らしい。2拍4拍で感じるクセは付けた方がいいかも。

 等幅フォントでお楽しみ下さい。
     ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪ 
日本   ちん ち きちん ち きちん ちき ちん ち き
米国            てぃがりん てぃがりん てぃが
グレッグ          どっがうぉーどっがうぉーどっが

・フェザリング(軽くキックで4分音符を踏むこと)はやるべし。テンポが速くなったら4分でやる必要はない。
・スローテンポこそ練習をすべき。ベースラインを歌え。
・Rodneyから、レガートのどこにアクセントを付けるのか、若いドラマーに教えてやってくれという発言があった。答えは「特定のところには付けない」だった。確かに、グレッグは比較的フラットで、アクセントを随所にもってくるという演奏をする。実際に、2拍4拍にアクセントを置く演奏と、グレッグのスタイルを演奏した。なるほど。
・盗もうシリーズでは、ビバップ、フィリー・ジョー、アート・ブレイキー、エルビン、のスタイルでの演奏が行われた。なるほど。
・ブラシだが、この日は右がジルジャン、左がヴィックファースだった。ジルジャンは柔らかくてタップに向き、ヴィックファースは堅めなのでスイープに向いているのと、ハンドルが硬いのでリムショットもできるからいいということだった。左右で違うのを使うヒトを初めて見た。
・ブラシには少し使い込んだヘッドの方がいい。現場のセットはほぼ新品。こういうときはサンドペーパーをかけるといい、ということでスティックケースの中を探したが、サンドペーパーは出てこなかった。
・とにかく練習をしろ。練習をすればするだけ自分に返ってくる。

 後半は、椎名豊トリオでの演奏だ。ピアノがエレピなのがちょっと痛い。まずはミディアム・テンポのモンクの曲。レクチャーのおさらいといったカンジの演奏だ。続いてバラード。ブラシとマレットのコントロールが素晴らしい。最後は現代ジャズタイプの曲で、椎名の1stからタイトルチューンの「ムーヴィング・フォース」。オリジナルは大坂昌彦の演奏だ。バンプと呼ばれるキメがあるのだが、その上でソロをするのが好きだと言っていた。バンプからフリーソロ、そしてバンプに戻ってテーマ、エンディング。素晴らしいダイナミクスだ。

 短い1時間半だった。ライブ行くぞ。

ライブの予定
 6/17(土) 東京・岩本町 「Tokyo TUC」 問:03-3866-8393

楽器のコーナー
 セットはYAMAHA Maple Custom Vintage 18BD,12TT,14FT これは借り物
 スネアもMaple Custom Vintageの14x5 これも借り物
 シンバルは自前のようだ。右のライドはZildjian K Custom Dry Complex Ride 22 ビル・スチュワートが開発したってやつで、すでに国内では廃番。ピッチが低く、ちょっとトラッシュ感がある。シズルが4本クラスター打ちされている。左のライドには「Zildjian Prototype」の刻印がある。その他に「Thin High」のスタンプもあることから、コンスタンチノープル系かな。サイズは20。右にK Custom Special Dry Crash 16。これは借り物かも。ハイハットには表示無し。ピッチはそんなに低くない。シンバルのセッティングは低い。
 ペダルも借り物。イスは若干高め。

印象:
 右手は人差し指支点で、けっこう握ってるなという印象だ。もう少し柔らかいかと思った。左手はほとんどレギュラーで、かなり剛性が低いカンジなんだけどね。「ムーヴィング・フォース」のソロでは、左手のマッチドも見ることが出来た。こっちは人差し指が外れた最近流行のグリップだ。ここの所を聞きたかったな。
 思ったよりカラダの軸を動かさない。腰があまり揺れない。
 キックのアクセントはビーターをヘッドに押しつけるタイプ。それ以外は、ほとんどヒールダウン。
 ハイハットのペダル踏み位置は思ったより後ろ目。キックと同じくらい。スプラッシュはヒールダウン。ハイハットの上下間隔は狭く、指2本くらい。角度は付け気味。

 気持ちのいいパルスを生み出す。フレーズは、比較的トラディショナル系やその応用が多い。ダイナミクスのコントロールに優れ、バラードの表現もいい。ま、あんまりコンテンポラリーではないよね。先鋭のプレイヤーよりもベテランやボーカルの仕事が多いのも納得だ。同タイプにはクラレンス・ペンも。この2人は最近のお気に入りだ。

 グレゴリー・ハッチンソン Gregory Hutchinson

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Last Update : 2006/06/04