ライブ

04/7/17 ケイ赤城 3 at 宇都宮 ニューバリー

日程:
 04年7月17日(土)
場所:
 宇都宮 ニューバリー
  大通り1丁目交差点南 KENTのちょい北 3F
出演:
 ケイ赤城(pf), 杉本智和(b), 本田珠也(ds)

 グランママというレストランバーが清原台にあり、ジャズが好きなママさんがプロ・アマミュージシャンを呼んでライブをやっていた。もろもろの事情からグランママは移転し業種転換したのだが、今回のライブはそのママさんが主催したイベントだ。場所はニューバリーというアクセサリーやインテリアを扱うショップの本店の3階にある多目的スペースだ。このニューバリーに知り合いがいて、彼からジャズ用のドラムをレンタルさせてくれるところを知らないかという問い合わせが来た。自分がセッティングをするのであれば、自分のを貸すと伝えておいたのだが、供出が決まったのはライブの2日前。さらに、PAもいじってくれと頼まれた。

 一応、ひとそろいをクルマに積み込み、ニューバリーへと向かう。おお、こんな店があったんだね。現場に着くとピアノの調律が行われている。関係者はジャズのライブにおける楽器のセッティングに詳しくないということで、私が楽器の位置を決める。で、ドラムを含むセッティングが終了。

 赤城さん一行が到着する。赤城さんはメトロノームを取りだし、ハノンを始める。マネージャーさんの指示で、ピアノとドラムを少し中央に寄せる。

 本田さんはスネア・ペダル・シンバルを持参しているので、それらを撤去。シンバルスタンドは3本用意してあるのだが、本田さんが持参したライドは2枚。良かったら使ってくださいと数枚のライドを置いておいたのだが、 ジルジャンのBreakbeat Rideが気に入ったようで、3枚目のシンバルとして使われた。本田さんのチューニングは比較的低い。赤城さんのアルバムを参考にして、おおむねのピッチを出しておいたのだが、本田さんは今回、ちょっと高めにチューニングしていた。

 PAで拾うのはピアノのみ。ピアノにマイクをセットしてもらい、ハウリングマージンを確認する。ピアノの反対側にある右スピーカーの音量を多めにセット。まずはPAを切って演奏。かなり低域がこもる会場だ。ベースの低域を下げる。マネージャーさんの指示でPAからのピアノの音量を決める。若干低域を落とした。なお、PA卓はドラム側のステージ袖なので、ドラムを見るには絶好のポジションだ。

 あんまり宣伝されていないようなので、客の入りはどうなのかなと思ったが、会場はほとんどいっぱいで80人くらいは入っていると思われる。意外と若い人が多い。

 BGMはPAとは独立したオーディオセットから流れている。指示に従い、私が音量を下げるとメンバーが登場した。

 オープニングは「Spin Cycle」、続いてハンコックの「Dolphin Dance」だ。赤城さんの新譜「Modern Ivory」は初のカバー集である。通常ジャズ系だと、カバーアルバムはスタンダード集と呼ばれることが多いが、本作に収められている曲はいわゆるスタンダードは少なく、比較的マイナーな曲が多い。その数少ないスタンダードである「Dolphin Dance」7拍子にアレンジされている。しかし、7拍子を越えたフレージングで、ポリリズミックなアプローチになっている。

 赤城さんのピアノはバップフレーズが少なく、無機的ともいえる。テーマをリハーモナイズするあたりのリズム割りはかなり入り組んだものだが、ソロはぐいぐいと音列をぶつける感じだ。そういった意味でかなり個性的といえそうだ。個性が重要視される米国の音楽シーンで活躍されているのもわかる気がするが、マイルスは赤城さんのバップっぽさを気に入って無機的電気バンドに入れた、というハナシがあるのがおもしろい。

 本田さんは緩急自在なドラムだ。相変わらず2・4拍のハットをキープしない。ちょっと引っ込むところの雰囲気がよく、今回の選曲におけるアプローチは素晴らしかった。こういった明快な構成の曲の方が、持ち味がでるのかなと思った。またライドの音はかなりドライ。インタビューで最も影響を受けたドラマーはエルビン・ジョーンズだと語っていたが、テンポの速い曲のレガートはそれを感じさせてくれる。また、「Litha」では長いソロを決めた。

 2ステージ目は長いピアノのルバートから「Silent Partner」始まった。ガーシュイン(だったかな)の古い曲を挟んで、「タイトルは言いません」と前置きしてオーバー・ザ・レインボウ。アンコールは「A Hint of You」に収められているMISIAのエブリシング。2回目のアンコールは意外なドナ・リーだ。これのバースがむちゃむちゃかっこよかった。

 終演後、本田さんのソロプロジェクトである「Planet X」のCDにサインをもらい、しばし歓談した。寡黙な人だと聞いていたのだが、かなり気さくで朗らかだった。まあ、ドラマー同士ということもあるし、ソロアルバムを持っていることで親近感もあったのだろう。ブラシの左手がマッチドであることを話題にすると、「最近はマッチドが多い。ディジョネットもそうだ。みんなオレのマネをしているのだ。わはは。」などと語っていた。ドラムセットについても、良い状態に管理されていてやりやすかった、とのお褒めの言葉をいただいた。ちなみに、私の方がずっと年上だがそうは思われてないだろうな。

 暑い中の積み下ろしで汗びしょになったが、リハも見られたし、本番のポジションも絶好だし、ドラムのレンタル代ももらったし、とむちゃむちゃラッキーだった。

 現在、私の9000Rは珠也チューニングのまま保存されている。

Set List
1st
 Spin Cycle(Kei Akagi)
 Dolphin Dance(Herbie Hancock)
 Ivory Silhouette(Kei Akagi)
 Ad Lib On Nippon(Duke Ellington)
 Turn out the Stars(Bill Evans)
 Litha(Chick Corea)
2nd
 Silent Partner(Kei Akagi)
 (un-known)
 Someday Over the Rainbow
 Day's End(Kei Akagi)
 Stick Fingers(Kei Akagi)
encore
 Everything(MISIA)
 Donna Lee(Charlie Parker)


楽器のコーナー

ドラム:
 YAMAHA   YD-9000R 18x14BD, 12x8TT, 14x14FT
 zildjian  18' Re-Mix Breakbeat Ride
(以上は私の所有)
 Gretsch   不明 14x5 1/2 
 Sabian   20' HHX Manhattan Ride with 4 rivets, 20' AA Raw Ride, 14' HHX Groove Hats
 YAMAHA  FP-720

 スネアはグレッチのラウンドバッジ。スイッチはパールが付いている。スタジオキングかなんかだと思われる。
 ライドは右にセイビアンのRaw Ride。こんな製品があったんだね。かなりドライ。それもHHじゃなくAAだってのが意外だ。はい。買ってしまいました。(--;)
 ペダルはヤマハのFP720。昔の定番。しかし、スネア・ペダル・シンバル持参で移動はつらいね。前日は古河で次の日は黒磯だ。

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Last Update : 2004/07/22