解説

J-POPS批評 Chase the Chance / 安室奈美恵

 95年12月の発売なので約8年の月日が流れていることになる。この曲は小室哲也の作詞作曲で、安室が小室ファミリーに加わったのはおおむねこのあたりからと記憶している。初めて自分で購入したCDシングルである。

 この曲はかなり好きだ。TMネットワーク時代から小室作品は結構聴いていたが、お勉強という感覚であってあまり好きな曲があるわけではなかった。でもこの「Chase the Chance」を聴くと小室おそるべしと思ってしまう。

 曲の解説をしよう。構成はシンプルで、Aメロとサビとラップの部分しかない。コード進行もごくシンプルだ。ドラムは打ち込みで、8分うらのオープンハイハットはあまり音量が大きくなく、2拍4拍も小さめで4分のパルスを強く出している。これに乗っかるのがシンセベースと切れの良いシンセである。これがかっこいい。ベースがあまり動かない3音目だけ変わるリフでモノコードっぽく鳴っているところにシンセのリフが加わり、さらにメロディをフェイクしたオブリガードがからむ。このへんが素晴らしい。シンセの音もいいし、サビのブレイクも決まっている。ただ、後半のギターのカッティングとディストーションのオブリは今一つ好みでない。これは無い方がいい。ソロとエンディングのギターは許せるが、それも音は典型的なディストーションギターで面白味に欠ける。ここはハーモナイザーでしょう。

 音楽に対するおたく度は高く、スタジオでの長時間の作業もものともせずジャンクフードでのりきるそうだ。

 一貫してダンスミュージック(というのかな)を追求しているのもえらい。実際TM時代から音楽性はあまり変わっていない。時代の方が彼に合ったと言われているようだ。そして時代は通り過ぎてしまった。

 ということで、日本の音楽界の頂点(とりあえず売り上げは)に立っていたのは音楽おたくであった。

 さて、今はおたくの時代なのか?

Chase the Chance / Namie Amuro (95年)
 music, word, arrangement: Tetsuya Komuro

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Last Update : 2003/07/22