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第25回:V = Van Halen

Van Halen / Van Halen (炎の導火線 / ヴァン・ヘイレン 78年)

メンバー:
 David Lee Roth (vo), Eddie Van Halen (g), Michael Anthony (b), Alex Van Halen (ds)

収録曲:
 Runnin' With The Devil / Eruption / You Really Got Me / Ain't Talkin' 'Bout Love / I'm The One / Jamie's Crying / Atomic Punk / Feel Your Love Tonight / Little Dreamer / Ice Cream Man / On Fire

 ヴァン・ヘイレン兄弟はオランダ出身で、アレックスは55年、エディは57年の生まれ。サックス奏者だった父親の勧めで、幼少時から二人ともピアノのレッスンを受け始める。しかし、67年にアメリカへ移住したことで、彼らの興味はロックへと移っていく。エディは12歳になるとドラムを叩き始め、同時にアレックスもギターを始める。しかし、アレックスの興味がドラムに移り、彼の方がうまくなってしまったのでエディはギターに転向する。73年、アレックスが18歳、エディが16歳のハイスクール時代にマンモスを結成。評判になった彼らは、ロサンゼルスで人気を二分していたレッドボール・ジェッツのデヴィッド・リー・ロスを加え、75年にヴァン・ヘイレンと改名した。ハリウッドを中心に活動するうちにキッスのジーン・シモンズと出会い、彼の援助を受けてデモ・テープを作成。その後テッド・テンプルマンと出会い、ワーナーと契約し、78年に「Van Halen」をリリースすると150万枚のヒットとなる。ジャーニーやモントローズ(サミー・ヘイガー在籍)のオープニング・アクトを努めた後に発表した「Van Halen II」は、全米6位までランクを上げた。82年にはマイケル・ジャクソンからオファーを受け「今夜はビート・イット」でソロを弾いている。エディのギタリストとしての評価は高かったが、3枚目以降のセールスはそれほどでもなく、ヒットシングルはすべてカバーであった。しかし、転機は訪れる。83年に「1984」がリリースされ、シングル・カットされた「ジャンプ」が5週連続全米1位、アルバムも最高2位を記録する大ヒットとなる。続けてシングル・カットされた「ウェイト」「パナマ」もベスト10に入り、ヴァン・ヘイレンはマニアックなロックバンドからメジャー・ポップ・アーティスト(ファンのヒトごめんね)へと脱皮する。しかし85年、デビッド・リー・ロスがソロに専念し脱退。サミー・ヘイガーが加入し、以降も好調なセールスを記録するが、96年にはベスト盤の選曲を巡りエディとサミーの対立が激化し、サミーが脱退。一瞬デビッドが復帰するが、すぐに元エクストリームのゲイリー・シェローンにとって代わられる。しかし、98年の「Van Halen 3」のリリース後にゲイリーも脱退。エディがガンにかかっていることが報じられ、現在に至る。

 本アルバムには、以下のような現代ロックギター技術のエッセンスが詰まっている。

1)タッピング(ライトハンド)奏法
2)フロイド・ローズによる大きなア−ムダウン
3)ハミングバ−ド・ピッキング
4)ハ−モニクス(タッピング含む)
5)スイッチング・ミュート

 特にタッピング(ライトハンド)奏法の発案は革命的で、ロック・ギター史上に名を残すことであり、多くのフォロワーを生んだ。本アルバムの「Eruption」や「Fair Warning」(戒厳令)に収録されている「Mean Street」を聞いて欲しい。デビュー前のライブでは、この技を盗ませないように後を向いて弾いていたという話だ。また、フロイド・ローズを一般的にしたのも彼だ。まだ、このころはファイン・チューナーが付いておらず、実用上は問題があったのだが。また、アーム付きでスイッチングミュートが出来るギターはほとんど存在しておらず、「You Really Got Me」をコピーする者を悩ませたものだ。

 ハードウェアの影響力も強かった。それまでヒーローは、ギターをほとんどストック状態で使っていたし、改造していたとしてもきれいだった。しかし彼のペイントしまくりストラトや、ぶったぎりエクスプローラーはかなりきったない。彼に影響されて自分で塗ったヒトも多かろう。まあ、現在はきれいきれいなピービー製のシグネーチャーモデルを使用しているけどね。また、その前にエンドースしていたミュージックマンのシグネーチャーは、かなり売れていたと思われる。

 エディは華やかなギターヒーローであったが、兄のアレックスはドラマーとしてほとんど評価されていない。ま、しかたないかな。

 「1984」以降のヴァン・ヘイレンってどうだろう。自分は前期のストレートな方がいいと思っている。ドライブ感のあるリフでぐいぐい押し込むのが魅力だ。キーボードが入ってる曲は好きじゃない。

 ということで、ロック・ギターの歴史的分岐点を再確認して下さい。

Discography
 1978 Van Halen / 炎の導火線
 1979 Van Halen II / 伝説の爆撃機
 1980 Women and Children First / 暗黒の掟
 1981 Fair Warning / 戒厳令
 1982 Diver Down
 1983 1984
 1986 5150
 1988 OU812
 1991 For Unlawful Carnal Knowledge
 1993 LIVE: Right Here, Right Now
 1995 Balance
 1996 Vol.1 〜Best Of Van Halen
 1998 Van Halen 3

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Last Update : 2004/04/05