これを聞こう あーわ

第1回:あ行 = 大坂昌彦

クロスフェイド / 大坂昌彦
(Crossfade / Masahiko Osaka 99年)

メンバー:
 大坂昌彦(ds), Nicholas Payton(tp), Brian Lynch(tp), Antonio Hart(as,ss), Mark Turner(ts,ss), David Murray(ts,bc), Anthony Wonsey(p), Onaje Allen Gumbs(p), Ruben Rogers(b), Gary Peacock(b)

収録曲:
 Don't Get Upset / Last Summer / Cold Love / Minor Mood / Simple Waltz / Scarborough Fair / Morning Dance / Fragment / In A Mellow Tone / Just Like A Woman

 66年秋田の生まれ。10歳でドラムスを始める。86年に奨学金を獲得しバークリー音楽院に留学。デルフィーヨ・マルサリス(ブランフォード、ウィントン、の実弟)のバンドで鍛えられる。90年帰国し活動開始。92年に双頭コンボ「大坂昌彦・原朋直クインテット」を結成し「Dawn Breaks」を発表。94年には1stソロをリリース。98年には、3rdソロの「Walkin' Down Lexington」がスイングジャーナル誌ゴールドディスクを受賞。01年には5thアルバム「Reborn」を自身のバンドメンバーでレコーディングし発表。現在は自身のバンドで活動する傍ら、有名ミュージシャンのライブ、レコーディングで活躍している。また、音大やドラムスクールでの講師を務めるほか、教則ビデオ3巻を発売、「リズム&ドラムマガジン」にジャズ・ドラム講座を連載している。

 ジャズ・ギタリストの岡安芳之さん曰く、テクニック・音楽性ともに日本一とのことであり、世界に通用するジャズ・ドラマーだ。また、作曲能力が高いのはバークリー仕込みだ。彼は、私が最も多くのライブをみたプロ・アーティストだ。なにしろライブの本数が多い。また、ソロアルバムはもちろんビデオも全部持っている。ちょっとだけミーハーである。

 本作はニューヨーク録音で、現地のミュージシャンとの共演である。3曲を除いて彼のオリジナルだ。とにかくドラムはかっこいい。曲もいい。他のミュージシャンもいい。ぜひぜひ聞いて欲しい。しかし、スカボローフェアって、サイモン&ガーファンクルのオリジナルじゃなくてトラディショナル・ソングなのね。知らなかった。

 おすすめはこれと「Black Box」だ。1stソロは12色というタイトル通り、12通りのミュージシャンの組み合わせで録音されている。次代の日本のジャズ界を背負うヒトばかりなので、アルバムトータルとしてはやや散漫な印象だがダイジェスト的に楽しめるかも知れない。「Walkin' Down Lexington」は若干毛色の変わったアルバムで、曲想が明るく、ボーカルをフィチャーしたりと旧モダンな感じに仕上がっている。世間の評価は高いが個人的にはあまり好きではない。最新作は今までとは異なり自分のバンドで録音している。考え方としては、セッション的なものよりも自己のバンドで音楽性を追求するスタイルのほうが好きではある。とはいえ、安易に一発どかんで作られたわけではなく、緻密な音造りがうかがえる。

 ドラムの演奏もどんどん進化しているのがすごい。ビデオやドラマガの連載からも、いろいろチャレンジしていることがうかがえる。姿勢がえらいよね。

 ぜひ、聞いて下さい。

Discography

大坂昌彦
 1994 Twelve Colors
 1996 Black Box
 1998 Walkin' Down Lexington
 1998 Crossfade
 2001 Reborn
 2008 Hommage
 2010 Funky 7

原朋直・大坂昌彦クインテット
 1992 Dawn Breaks
 1993 def
 1994 Favorites for Lovers
 1994 Favorites
 1996 Quintuplets
 1996 Street & Avenue

選外:
 Chemical Reaction / RX
  ライデン湯沢、ゼノン石川という聖飢魔2のリズム体のユニット。ゲストに渡辺香津美、和田アキラ、本多俊之らが参加。どフュージョンでけっこうかっこいい。ただ、ドラムがださいんだよな。

 TIMELY / 杏里
  杏里は古いけどこれ。角松敏生のプロデュースだ。キャッツ・アイからウィンディー・サマーへの流れがかっこいい。ドラムは江口信夫さん。

 Solidstate Survivor / Yellow Magic Orchestra
  説明不要・・・かな。ばか売れした2枚目。よくプロデュースされてる。フェイバリット・チューンは1枚目の「東風」だ。

 What You Sing Is What You Get / WYSIWYG
  矢堀・新澤組のフュージョンユニット。ちょっと音が悪いけど、なんか現代にマッチしてなくてよろしい。2枚目はずいぶん音が良くなっている。

 W.I.N.S. / W.I.N.S.
  馬券売場でもジャニーズでもない。和田アキラ、石黒彰、永井敏巳、菅沼孝三のプログレフュージョン。曲がいい。和田さんもこういうのははまる。

 LIVE / Offcource
  いいねー。歴史的記念碑です。でも、鈴木さんがやめたときに解散した方が良かったな。

 彷徨 / 小椋佳
  古いなー。誰も聞かないだろうなー。心にしみいるメロディーです?

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Last Update : 2003/06/24