45年、ニューヨーク州ロチェスターの生まれ。軍楽隊にいたおじの影響で7才の時にドラムを始める。高校卒業後は音楽学校で勉強するかたわら、夜はクラブでチック・コリアやチャック・マンジョーネらと演奏活動を行う。卒業後3年間は軍楽隊で演奏し、その後ロチェスターのビッグ・バンドで活動を始める。72年にトニー・レビン、マイク・ホルムズとトリオを結成しニューヨークに進出。バンドは解散するが、スタジオドラマーとして活躍を始める。ポール・サイモンのツアーに抜擢されたことで注目を集め、70年代後半には最も忙しいドラマーとなった。その後、スタッフやガッド・ギャングといったブルース色の強いバンドのメンバー、リーダーとして活動したが、90年頃にはあまり名前を聞かれなくなる。現在はエリック・クラプトンのツアーに同行している。
軍楽隊にいたということもあり、ルーディメントの知識が深く、それをドラムセットに発展させたスタイルは斬新であった。ドラムの奏法を飛躍的に進化させたといえる。さらには、きわめて正確なリズム・タイム感だ。それに加えて、音楽学校で学んだ読譜能力とミスの無さで、スタジオミュージシャンとしてもてはやされた。
なお、彼のフェイバリット・ドラマーは、Elvin Jones, Tony Williams, Jack DeJohnette, Buddy Rich, Louie Bellson,といったジャズドラマーである。
アーティストかミュージシャンか?
彼はインタビューの中で自分はアーティストでは無いと言っている。出来る限りオープンな感覚で、音楽に対して適切なドラムを叩くことが重要であるとの主張だ。アーティスト精神は、時にスタイルやアプローチを限定し、それが音楽において悪影響を及ぼすと考えている。ガッドはガッドスタイルで叩いているのではない。彼が考える最上のアプローチが結果としてガッドスタイルになっているのである。確かに、彼のスタイルは時代ごとに変わってきている。
私の友人は、ドラマーはアーティストたるべきと話していた。ただ叩くのではなく、楽曲を充分に理解し、音楽に自らのスタイル・アプローチを織り込むのがアーティストであるとの主張だ。ここで「アーティスト」として挙げられたのはヴィニー・カリウタだが、彼は千のスタイルを持つ男である。
さて、どちらの考えを支持しますか。でも、実は同じコトを言っているのかも知れませんね。
テクノロジーの進歩は、ガッドの仕事さえ奪っている。80年代中盤以降は、かなりクレジットが少なくなっている。
それとは無関係に、お勧めアルバムはウェックルの1枚を除いてすべて82年以前だ。これ以降のガッドはあまり好きでない。オープン・マインド故のスタイルの変化が、私の嗜好には合わなかったようだ。
教則ビデオ「Up Close」はドラマー必見。たとえリックは使わなくても、ドラムの歴史を知るために見ておく必要がある。
教則ビデオ:
1983 Up Close
1985 In Session
1990 Time Groove
1996 Live at PAS '95
2008 Master Series
お勧めアルバム:
ベスト5
1978 Mad Hatter / Chick Corea
1978 Casino / Al DiMeola
1981 Mecca for Moderns / Manhattan Transfer
1977 Finger Paintings / Earl Klugh
1979 Feel The Night / Lee Ritenour
ついでにこちらも
1977 Elegant Gypsy / Al DiMeola
1980 This Time / Al Jarreau
1982 Jarreau / Al Jarreau
1974 One / Bob James
1980 Detente / Brecker Brothers
1975 Leprechaun / Chick Corea
1978 Friends / Chick Corea
1981 Three Quartets / Chick Corea
1990 Master Plan / Dave Weckl
1980 Winelight / Grover Washington, Jr.
1977 The New York All Stars Live / Jun Fukamachi
1978 The Captain's Journey / Lee Ritenour
1979 High Gear / Neil Larsen
1975 Still Crazy After All These Years / Paul Simon
1977 Aja / Steely Dan
1980 Step By Step / Steps Ahead
1980 Smoking In The Pit / Steps Ahead
1977 Tightrope / Steve Kahn
1979 Arrows / Steve Kahn
1976 Stuff / Stuff