PaisteのTwentyは、Kクローンに代表されるトルコ系シンバルブームに対応するために、OEM(他のメーカーで作ったのを買ってきて自社ブランドで売る)でしつらえたシリーズだ。まあ、ブームと言ったって少数のジャズドラマー向けなのだろうが、こんなにいろいろあるってことは、それなりに売れるんだろうね。そのTwentyシリーズは、Twenty Masters Collectionとなり、現在はだだのMastersという名称になっている。
Murat、İbrahimのDiril兄弟といとこのMustafa Dirilは、Istanbul(シンバルのメーカーね)で職人として働いていたが、3人は2000年に独立して地元のSAMSUNに工房を立ち上げた。きっかけは、Meinl(マイネル)からOEMの誘いを受けたからだ。彼らは、MeinlのByzanceシリーズの生産を始め、OEM専門のメーカーとしてスタートし、いろんなブランドのシンバルを作っていた。その後、このPaiste TwentyシリーズのOEMも始めたのだな。初期の歴史にはMuratの名前がよく出てくるが、営業担当だったのかな。しかし、2006年にはMustafaがSAMSUNとして独立し、2007年にMuratがMurat Dirilを立ち上げ、2008年にはIbrahimがDirilとして独立してと、バラバラになってしまった。
ということで、現在のPaiste Mastersがどこで作られているかというと、よくわからないのだが、経緯を考えるとなんとなくMurat Dirilなのではなかろうかと思われる。
ひょっとすると、この3ブランドは同じとこで作ってたりして。
シンバルの歴史は、こちらを参照のこと。
さて、なんでこれを買ったこというと、グレッグ・ハッチンソンが使っているからだ。グレッグはジルジャンからパイステに移籍したが、もともとジルジャンのエンドーサーだった時からIstanbulの方がいいよと言ってたくらいで、Istanbul系のTwentyを使うっていうのは、まあそこそこ自然な流れなんだろう。ちなみに、同じくパイステに移籍したヴィニー・カリウタはFormula 602系ね。というわけで、グレッグが現在メインで使っているライドがこれなのだ。
まあ、見た目はハンド・ハンマリングっぽい。レイシングは浅めで、ピカピカの仕上げだ。小さめのハンマーで、オーバー・ハンマリングが施してある。
では叩いてみましょう。ピッチは低めだ。ケロップの22より少し低く、かなりトラッシー。サスティンは長く、けっこう暴れる。このコンプレックスさはグレッグの好みかも。
ということで、使ってみようか。
Paiste Twenty Masters Collection Dark Ride 22
(パイステ トゥエンティー・マスターズ・コレクション ダーク・ライド)
サイズ: 22インチ
厚さ: ミディアム・シン (Medium Thin)
仕上げ: ハンド・ハンマリング
レイシングは密度が低く浅め
オーバー・ハンマリングあり
質量: 2.65kg