ドラム

ZENN DCD100NA 改

 以前、ヤマハのヒップギグを持っていた。なかなか良かったのだが、キックの深さが20インチということで、サスティンが長く使いづらかった。短く切っちゃえ、とも思ったのだが、20まんえんを超える高額セットなので改造するにも勇気がいる。結局は手放してしまった。

 そんな時、サウンドハウスからヒップギグのコピー品が出たことを知った。これなら4まん5せんえんだし、改造しちゃってもいいなと思った。それと、キックのフープがウッドなのは、ヒップギグにない長所だ。

 それから5ねんの月日が流れ、ほとんど未使用のものを某オークションで格安にて手に入れた。ラッキー。

 今回のコンセプトは低価格。なるべくおかねをかけないようにしたい。ワタクシの価値判断は(演奏レベル)÷(楽器の値段)を最大にすることなのだ。(半分うそ)なお、12のスネアは使わずに、14スネアをスタンドで使うことを前提とする。ハイハットスタンド、ペダル、シンバルホルダーも、付属のものは使わない。タムホルダーはとりあえずオリジナルを使い、だめだったらパールに変える。タムマウントブラケット、タムホルダーベース、レッグなどのパーツはそのまま使う。

 はい来ました。しかし、ちゃちいね。あらゆるところの作りが悪い。中国4せんねんの歴史はどうなっているのか。。。

 では、ばらしましょう。あー。見えないところは、もっとがひどい。ねじ穴には割れがあるし、タムホルダーの貫通する30mmの穴はがじがじだし、取り付け穴の位置もずっこけてる。ま、その辺は覚悟の上なんだけどね。しかし、ホルダーの位置とか、ラグの穴間隔とか、みんなインチだな。

 では、キックを短くしましょう。

 キックのサイズは16x20(カタログは16x18だが、間違い)で、深さ20のうち、4インチは分離する部分だ。残りは16インチとなるが、かっとばしの案は以下の3つ。

1) 16インチそのまま
  加工が一番楽だが、いらないスネアのマウントベース穴や、ジョイント用金具のねじ穴が残る。
2) 14インチ程度 スネアのマウントベース穴を残した下限
  これまたベース穴がぶさいく
3) 10インチ スネアのマウントベース穴を切り捨てる
  ちょっと浅いけど、仕上がりが一番キレイ

 ということで、3案とした。

 さらに、カットする方法は以下の3つ。

1) 業者に頼む
  楽だが費用がかかる。
2) 友人に頼む
  ドラムの改造やスピーカーの製作を趣味にしている友人が、やってくれる。
3) 自分でやる
  うまくいくのかどうか。。。

 もともと低価格がコンセプト。ということで、3案でいってみた。

 養生テープと新聞紙でシェルをマスキングし、電動丸ノコに寸法だしガイド(正式名称がわからない)を取り付け、一気にカット。思ったよりキレイに切れた。そして、半丸やすりでエッジを加工。知り合いのHPを見ると結構大変なようだが、これが意外と短時間で加工できた。材質が、柔らかいバスウッドだからかな。ややでこぼこはあるが、ま、いいか。平面度は、ま、いいか。

 タムホルダーやレッグが移動するので、パーツ用の穴開けを行う。使わないねじ穴を、ウッドパテで埋める。また、表面はラッカーフィニッシュということで、そこそこキレイだが、内面は無塗装。なのでタムも含めて、クリアラッカーを吹いておいた。目止めをしてないので、気持ちね。

 低価格がコンセプトなので、クリアラッカー、半丸やすり、木工用ドリルビットは100均で入手した。

 パーツを洗浄し、クレ・スーパーポリメイトでコーティング。各部グリスアップ。シェルのコーティングは、シュアラスター・ゼロウォーター・ドロップ。ヘッドは低価格ということで、手持ちのモノを使い、タムの表はコーテッド・アンバサダー、裏はピンストライプとした。16インチの打面は適当なものが無かったので、ピンスト・コーテッドを購入。ミュートはここだけはおごって、レモのバスドラ用ミュートにしてみた。

 では、キックにライザーをつけてと。あれ。あれあれ。パイプとペダルが着くプレートをつなぐところが、チューニングキーで回す4角のボルトなんだけど、これが効かない。そもそも構造的に無理があるよな。こういうところが安ドラムだよなあ。なので、タッピング2本で止めてしまった。しかし、このライザーのパイプ、長すぎる。キックの径は16インチだから半径は8インチ。22インチのキックだと同様に半径は11インチ。22インチのセンターに当たるように、ペダルのビーターを設定すると、半径の差は3インチだからライザーは3インチだけ上げればいい。たった76mmね。しかーし、ライザーのパイプは200mmくらいある。こんなに上げる必要ないのにね。ということで、切り落としてやった。

 ふう。ではヘッドを張りましょう。あー。チューニングがきびしい。10のタムは4テンション。フツーは6テンションでグレッチが5テンション。グレッチは剛性の高いダイキャストフープだもんね。こいつはフープもぺらっぺらだし。軸力が高くトルクもでかい。うまいこと均等に張るのに苦労する。13タムも5テンション。ジャズはピッチも高いから余計だ。こういうところが安ドラムだよなあ。キックのチューニングも、なんかうまくいかない。真円度がやや低いみたい。こういうところが安ドラムだよなあ。キックのミュートは新導入の、レモのもの。ぱっと組むとオーバーミュート。当たりを調整して完了。

 ふう。ではタムホルダーをつけてと。あれ。あれあれ。タムホルダーマウントは22mm(7/8インチ)だけど、タムホルダーベース(ややこしいな)は25.4mm(1インチ)だよ。しまった。気がつかなかった。しかし、なんでこんな仕様にするんだ。仕方が無いので、タムホルダーベースを外して、タムホルダーマウントを装着。ムダ穴が開いてしまったのはパテ埋めしたが、美観が損なわれてもったいないなあ。

 ふう。では、セッティングしてみましょう。タムの高さはフツーのセットと同等に。お。ロータム側にこけそう。レッグ2本とライザーの3点で接地するのだが、フットペダルを付けないとドラマーから見て左側のレッグには加重がかからなくて浮いてしまう。ペダルを付けるとやっと接地するが、さらに、ロータムにスティックケースを付けると、また浮いてしまう。ヤマハのヒップギグ・シニアには、転倒防止の補助足がある。しかし、パーツ代が5せんえん以上だよ。最悪、ロータムをシンバルスタンドにマウントするという手もあるが、キックに付いたタムホルダーマウントがもったいないし、コンセプト的にイマイチ。なんかいい手はないかなー、とパーツの入った箱を眺めていると、ひらめいた。カウベルホルダーだ。フープに付けるタイプのカウベルホルダーを、つっかえ棒として使えばいい。細かいパーツの箱をあさると、ロッド先端に付けるゴムキャップもあった。完璧だ。

 では、ライブで使ってみましょう。

 音量は出ないけど、小さなハコならこれで十分だ。タムの音はいかにもコーテッドな音。一応、CSが自分の標準なので、気が向いたら替えようかな。

 うーん。やはりフロアが遠い。今回はシンバルスタンドにクランプを付けて、タムホルダーをマウントした。やっぱり、キックにマウントするのはムリかなあ。それと、10のタムがデッド。裏のヘッドを変えようか。それと、キックももう少しオープンでいい。

 ということで、10タムの裏はクリア・アンバサダーに変更。13タムはシンバルスタンド・マウントとした。これでいってみましょう。

 なお、シェル3点で付属のソフトケースに収まる。重量は11kgなので、電車じゃムリだけどクルマなら十分に運べる。

ZENN DCD100NA 改 / ゼン DCD100 改
 シェル:  バスウッドかポプラ(推定) 6プライ 7mm
 カラー:  ナチュラル・ラッカー
 フープ:  スチール・プレス トリプルフランジ 1mmくらい
 サイズ:  キック:16x10 タム:10x6, 13x7
 ヘッド:
  10タム   レモ・コーテッド・アンバサダー / クリア・アンバサダー
  13タム   レモ・コーテッド・アンバサダー / ピンストライプ
  キック  レモ・エボニー / ピンストライプ・コーテッド
 重量:   約11kg
 年代:   13年

 このケースにおさまる。ケース込みで11kg。

 本体が送料込みで18k、スネアとハードウェアを4kで処分、パーツが10k、総額24kえん。ヘッドが手持ち在庫なのでこんなカンジ。

 ヘッドのロゴがSONORなのは、昔作ったセットの名残。これが残っていた。

 

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Last Update : 2003/05/20